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耳鳴り対応補聴器 補聴器はどのように耳鳴りを和らげる手助けとなるでしょうか

  • 公開日:2022.09.07
補聴器
耳鳴りがする女性

不快な耳鳴りに対処する方法の一つに医師の指導の下での補聴器の装用が挙げられます。この記事で紹介されているスペングラーさんは補聴器を装用することで耳鳴りを改善することができました。耳鳴りの原因、補聴器の機能について、詳しく解説します。※耳鳴りがする場合は、耳鼻咽喉科の医療機関で医師の診察を受け、ご自身に適した治療法や対処の方法についてご相談することをお勧めします。

 

リンダ・スペングラーさんは、耳鳴りがなかった頃のことを思い出すことができないでいます。

「とにかく生活すべてに耳鳴りが影響し、本当にイライラが募る思いです。」耳鳴りは常に聞こえている不快な背景雑音、とスペングラーさんは説明しています。

多くの人が耳鳴りを経験しています。事実、米国では過去1年間で、成人の10%が少なくとも数分間続く耳鳴りを経験していると推定されています。スペングラーさんのように慢性的な耳鳴りに悩まされている人もいます。

耳鳴りかも?

スペングラーさんは、悪化する耳鳴りの症状に悩んでいました。耳鳴りがあまりにも酷いので、最近受けた聴力検査で耳鳴を取り上げたことさえ覚えていないような状況でした。ところが医師の指導の下で補聴器をつけたとき、彼女は予期せぬ驚きとうれしさでいっぱいになりました。

「補聴器をつけた最初の瞬間に気づいたのは耳鳴りが聞こえなくなったことでした。」と、ニューメキシコ州在住の定年退職者であるスペングラーさんは言います。「その感動はうまく言葉で伝えることができません。」 と彼女は言い、補聴器は高齢者にとって白内障の手術に次いで優れた発明だと思います、と付け加えました。

しかもそれは1回きりではなく、補聴器を着けるたびに耳鳴りを聞かずに済むようになったのです、とスペングラーさんは述べます。

このような体験は耳鳴りに悩むすべての人に当てはまるわけではありませんが、多かれ少なかれよく耳にする話です。この記事では、難聴と耳鳴りの関係について知っておくべきことと、補聴器が耳鳴りの症状の緩和に役立つことがある理由について説明します。

難聴と耳鳴りは一緒に起こることがよくあります

難聴と耳鳴りが一緒に起こるのはよくあることです。耳鳴りのある人全員に難聴があると言うわけではありませんが、耳鳴りがあって難聴もあるというケースはよくあります、と補聴器メーカー米国法人Oticon, Inc.のオーディオロジー(聴覚学)部門長であるバージニア・ラマチャンドラン博士は述べています。

「煩わしい音やノイズが聞こえると訴える人が来院されることはよくあります。聴力検査をすると、大抵の場合、ある程度の聴力低下がありますが、聞こえの問題には気付いていないことも多いです。」と、ラマチャンドラン博士は語ります。

耳鳴りが起こる理由については未だに解明されていません。

「耳鳴りを引き起こす正確なメカニズムは、まだ完全にはわかっていません。」 と、ラマチャンドラン博士は続けます。一方で、難聴の原因となるものはほぼすべて、耳鳴りを引き起こす原因にもなりえることが、動物実験によりわかっています。

耳鳴りは脳で起きていることの結果であって必ずしも耳の問題ではないことがあります。難聴になると、脳は音の情報の欠如を体験します- オーディオロジスト(聴覚専門家)でSound Relief Hearing Centerの創設者であり、American Tinnitus Association(米国耳鳴協会)の理事でもあるジュリー・プラッツマン氏は説明しています。

「脳は失われた情報を取り戻そうと、脳内の聴覚ニューロンが過剰に活性化され誤作動を起こすのです。」その結果、耳鳴り、つまり耳ではなく脳内で幻の音が発生するのですと、プラッツマン氏は述べています。

補聴器が役立つ理由

補聴器

補聴器が耳鳴りの症状の緩和に役立つ理由はいくつかあります。

補聴器は聴覚刺激を脳に届けます

「簡単に言うと、難聴になると脳の活動が少し活発になるわけです。蝸牛神経核の背側核にある神経細胞が活発になるため、それを脳が音と誤解してしまっている可能性が考えられます。」と、ラマチャンドラン博士は言います。

理論的には、脳に届いていなかった聴覚刺激の一部を補聴器が届けることで、耳鳴りにうまく対応するのに補聴器が役立っているという可能性が考えられます、と彼女は説明します。

補聴器を使用すると、背景雑音が聞こえるようになります

補聴器のもう1つの潜在的な利点は、かすかに聞こえる背景雑音を聞こえるようにすることです。「優しいそよ風や風にそよぐ木の葉など、それまで聞こえていなかったかもしれない生活している中で発生している背景雑音や環境音を補聴器で聞けるようにすることで、耳鳴りが目立たないようになっているということも考えられます。」と、プラッツマン氏は言います。

補聴器はストレスを軽減するのに役立つ可能性があります

「ストレスによっても耳鳴りが悪化することがあります。」 と、ラマチャンドラン博士は言います。仕事、金銭、人間関係など、ストレスを引き起こす原因となりえるものはたくさんあります。周囲の人の声が聞こえず、コミュニケーションが取れないこともストレスになったりすることがあります。

スペングラーさんの難聴は高い周波数の音を聞き取る能力に影響を与えているので、人が何かを話しているということは分かっても、何を話しているのかを正確に聞き分けることができません。

「誰の言うこともさっぱり理解できず戸惑い....皆に『え?何て言ったの?』と尋ねて回るというようなとても困った状況でした。」と、スペングラーさんは語ります。

補聴器をつけることは、難聴に伴うストレスの軽減に役立つ可能性があります、とラマチャンドラン博士は説明します。「音がよく聞こえるようになるので、さまざまなことに努力を費やす必要があまりなくなります。」 と、彼女は続けます。「例えば、聞こえないことでたくさん質問したりして努力しないと食堂で朝食を注文したり、郵便局で切手を買ったりというごく単純なことができなかったかもしれませんが、そのような努力を費やす必要が減ります。」

補聴器にも役に立つ機能があります

補聴器をつけるだけで耳鳴りの症状が軽減されることはよくあります、とラマチャンドラン博士は言います。この他にも、耳鳴り対策に役立つ補聴器機能があります。

例えば、多くの補聴器には耳鳴り緩和機能が付いています。これはホワイトノイズのような音 (例えば急な川の流れの音や雨音など)です。こういった音は耳鳴り用サウンドジェネレーター (TSG: Tinnitus Sound Generator ) として知られています、とプラッツマン氏は述べます。

この機能を有効にすると、ピー、キーン、あるいはザーというような不快な耳鳴りの音が気にならなくなることがあります。「通常この機能は、管理された方法に従って使用すると耳鳴りに慣れることができるようになっています。」 と、ラマチャンドラン博士は説明します。

補聴器に搭載された耳鳴り用サウンドジェネレーターや耳鳴りの音を遮蔽するマスキング機能に加えて、多くの補聴器は携帯電話に簡単に接続できるので、アプリの音源(リラクゼーションのためのアプリやさまざま種類のホワイトノイズを出すことのできるアプリなど)を補聴器にストリーミングすることで、補聴器から聞くこともできます。

その他の耳鳴治療

現実問題として、残念なことに耳鳴りには確固たる治療法がまだ確立されていません、とラマチャンドラン博士は言っています。ですが、他の音で耳鳴りの音を覆うと、一時的に耳鳴りが聞こえなくなることがあります。

「だだし、耳鳴りが永久になくなるわけではありません。」 とラマチャンドランは述べます。スペングラーさんが経験したように補聴器が非常に役立つ人もいます。しかし、万人に効果があるという保証はなく、確固たる治療法とも言えません。

耳鳴りに対処するもう1つの一般的な方法に、認知行動療法 (CBT) があります。この治療法は、自分では変えられないことに対処する方法を見つけるのに役立ちますと、ラマチャンドラン博士は言います。耳鳴りを気にしなくても良くなるストラテジーを提供する耳鳴再訓練療法 (TRT) も治療選択肢の1つですし、リラクゼーションや視覚化エクササイズ、瞑想などの対処ストラテジーなどもあります。

「耳鳴りに対する反応は個人によって千差万別なので、様々な対処方法を試して、自分にとって最も効果のあるものを見つけることが重要です。」と、プラッツマン氏は述べます。

医師の診察と聴力検査は重要な第一歩

難聴を起こしている医学的な原因 (耳鳴りの原因となるような薬などの副作用) についてわかることがあるので、耳鳴りを経験したらまずは医療機関で医師の診察と聴力検査を受けることが大事です。

「いずれにしても聴力検査を受けるに越したことはありません。」 と、ラマチャンドラン博士は語っています。片方の耳だけで耳鳴りがする場合は特に医師の診察と聴力検査を推奨します。「聴力検査はとても簡単で、耳鳴りを引き起こす医学的な原因の可能性を検知するのに役立ちます。」 と、彼女は言っています。聴力検査で難聴が明らかになった場合には、補聴器を装用することで耳鳴りを軽減できる可能性もあります。

「かつてのように、耳鳴りに悩む人は何も成す術がないので耳鳴りとどうにか上手くつきあいながら生活する必要はありません。耳鳴りの問題に取り組み症状を緩和できる方法を提案できるような知識と経験のある専門家を見つけることが必要です。」と、プラッツマン氏は結びます。

耳鳴りがするときは、耳鼻咽喉科 (補聴器相談医)を受診する

耳鳴りは、難聴による聞こえにくさを脳が補おうとして起こるケースが多く、ほかにも加齢やストレスなどのさまざまな原因が考えられます。はっきりとした原因が分からない耳鳴りに対しては、訓練によって耳を順応させる治療法や、補聴器を使ったリハビリテーションが行われることもあります。ご自身やご家族に耳鳴りの症状が見られたら、耳鼻咽喉科の医療機関で医師の診察を受け、ご自身に適した治療法や対処の方法についてご相談することをお勧めします。

 

■本記事について

本記事は米国Healthy Hearingにて掲載された記事を、一般的な情報提供を目的として意訳、また日本国内の事情に沿うように加筆再編成したものです。本記事のコピーライトはhealthyhearing.com及びheatlhyhearing.jpに帰属します。本記事内に掲載された名称は、それぞれ各社の商標または登録商標です。また、出典や参照元の情報に関する著作権は、healthy hearingが指定する執筆者または提供者に帰属します。

■英語版記事はこちらから

米国「HealthyHearing」2022年2月28日の記事「Hearing aids for tinnitus」(Debbie Clason 寄稿)

https://www.healthyhearing.com/report/53312-Hearing-aids-for-tinnitus

  • 記事投稿者

    ヘルシーヒアリング編集局

    1. ポータルサイト「ヘルシーヒアリング(healthyhearing.jp)」の運営
    2.「安心聞こえのネットワーク」連携サポート

  • 記事監修者

    田中ちえみ

    田中 智英巳

    デマント・ジャパン株式会社 アドバンスト・オーディオロジー・センター・センター長、ハワイ大学マノア校 Adjunct assistant professor, 静岡県立総合病院 客員研究員、ASHA認定オーディオロジスト、ハワイ州オーディオロジスト。■詳しいプロフィールを見る■

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