ワイヤレス技術の登場により、補聴器はより優れた機器へと進化を遂げました。
ワイヤレス補聴器の機能について知ることは、周りの人々とのつながりを保つこと、MP3プレイヤーなどお気に入りの電子機器を活用すること、そしてご自身の世界を広げることにも役立ちます。
現代において私たちは、家族、友人、および職場と絶え間なくつながるために、携帯電話やタブレット、またその他さまざまなワイヤレス機器に頼っています。
これらの機器は、さまざまな通信技術を介して無線で受信者に音声やメッセージを届けます。
これらの技術により私たちの日常生活は大きく変わりましたが、補聴器もまた例外ではありません。
音質
補聴器にワイヤレス技術が搭載されたことにより、独立した2つの補聴器を左右が一対となった補聴システムとして動作させることができるようになりました。
左右の補聴器に入った音の情報は共有され、その情報の組み合わせにより、補聴器でどのように音の処理が行われるかが決まります。
例えば、片方の補聴器で「騒音抑制機能」が働いた際には、もう片側の補聴器も呼応して、両方の補聴器で同時に「騒音抑制機能」が作動します。
ワイヤレス補聴器のデータ転送速度はナノ秒の単位で測定されますが、これは人間の脳が検知するよりもはるかに高速です。
したがって、周囲の環境の変化に遅れをとることなくリアルタイムで補聴器の機能が働きます。
左右2つの補聴器間で信号処理が同期されることで、ユーザーの聴覚へ最良の音質を届けます。
音の方向感 ~音はどこから届いているのか~
わたしたちが、2つの耳を持って生まれるのには理由があります。
私たちは頭の両側の耳に入る音のわずかなタイミングの違いや音の大きさの違いを脳で分析して、音源の位置を捉えています。
一般的に難聴があると音の方向感が捉えづらくなりますが、これが聴覚ケアの専門家や補聴器専門スタッフが補聴器の両耳装用をお勧めする理由の1つです。
従来の補聴器では、左右それぞれの耳の難聴の程度に応じて独立して音を処理していました。
しかしこれでは、左右の音のタイミングや音の大きさの違いがしばしば失われるため、補聴器ユーザーは音源の位置の特定が困難になることがありました。
この問題に対し、高度なワイヤレス通信機能を搭載した補聴器では左右の補聴器が協働し、左右の補聴器それぞれのマイクロフォンに届く音のタイミングと音量の違いを比較して、自然な音の方向感の手がかりを保持して耳に届けます。
利便性
ワイヤレス機能を活用することによって、補聴器をもっと便利に使いこなすこともできます。
ワイヤレス補聴器の中には、プログラムボタンを押したり、片方の補聴器の音量を変更したりすると、自動的にもう片方の補聴器のプログラムや音量を同時に切り替えるように設定できるものもあります。
また、片側の補聴器は音量切り替えに、もう片側はプログラム切り替えを行うように設定することができるものもあります。
ユーザーは片側の補聴器に触れるだけで、左右の補聴器を同時に操作することができるようになります。
外部機器との通信
ワイヤレス補聴器は両耳の補聴器間で通信するのと同時に、外部機器とワイヤレスで通信できるものもあります。
これを可能にするさまざまな技術があり、その中で最も一般的なものは電磁界によるシステム、FM通信システムおよびBluetooth通信技術です。
ここでご紹介する技術のうち、たとえば電磁界によるシステムは長くにわたって使用されている補聴技術です。
この技術では、補聴器に搭載されているテレコイルと呼ばれるアンテナを使って音を拾います。
例えば室内などにヒアリングループ(磁気誘導ループ)と呼ばれる設備を設置することによっても、電磁場を作り出すこともできます。
ヒアリングループを導入した室内では、テレコイル機能を持った補聴器を装用している人なら誰でも、テレコイルモードに簡単に切り替えることでより良い聞こえを得ることができます。
多くの公共施設では、この技術を使用して、難聴を持つ人々に向けた聞こえを確保しています。
聴力に問題はあるがまだ補聴器を装用していない方では、ヘッドフォンを通じてヒアリングループを介した聞こえの補助を得ることができるものもあります。
FMシステムは、話す人が装用する送信機(マイクロフォン)と装用者の補聴器に取り付ける受信機とで構成されます。
FM送信機は、ビジネスミーティング、家族との外での夕食、または講義が行われるホールなどに持ち運ぶことができます。
送信機は補聴器のマイクロフォンの延長となり、多くの複雑な聴取環境で聞く能力を大幅に向上させます。
また難聴の子どものためのFMシステムは、学習の場である教室では不可欠です。
教師がピンマイク付きの送信機を用いることで、教室を歩きまわっていても補聴器をした子ども(または子どもたち)に教師の声をはっきりと届けることができます。
Bluetooth規格は、補聴器に大きな可能性をもたらす新しい技術です。
市場にあるほとんどのワイヤレス補聴器は、中継機器を利用してBluetooth機器とペアリングすることができます。
例えば、ワイヤレス補聴器を中継機器に接続し、その中継機器をBluetooth経由で携帯電話に接続することができます。
着信があると中継機器がそれを通知し、補聴器に直接そのオーディオ信号を届けることができます。
また、最新のBluetooth通信機能対応の補聴器は、Apple社の最新iPhoneと直接通信することができます。
補聴器におけるワイヤレス通信機能
ワイヤレス機能 | どのように機能しますか? | どこで使われていますか? |
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電磁界によるシステム (テレコイル) |
テレコイルに対応している電話機やヒアリングループシステムが設置された教室や劇場などからの信号を拾って補聴器へ届けます。 | 固定電話でも対応している製品があります。 また、ヒアリングループは日本国内でも公共機関を中心に、劇場や空港での様々な窓口などでも設置されている場所が増えてきています。 |
FM互換性 | 話者の襟元につけたマイクロフォン(FM送信機)からの音声をワイヤレスで補聴器に届けます。 | 子供たちでは学校などの教育機関で主に採用されています。 成人では会議室や、講義またレストランなど使われることもあります。 |
Bluetooth互換性 | 携帯電話やMP3音楽プレイヤーなどBluetooth機能を持った様々な外部機器などからの音声を補聴器へ届けます。 (ストリーマーなどの中継機器が必要な場合もあります) |
Bluetoothでのワイヤレス通信機能は近年とても身近なものになっています。 携帯電話(スマートフォン)、音楽プレイヤーテレビなど電化製品でも広くBluetoothに対応している製品があります。 |
ワイヤレス信号を拾うことができる補聴器によって、ユーザーは皆、再び周囲の世界と繋がることができるようになります。
左右の補聴器間で信号データをワイヤレス伝送することによりその音質や音の方向感を捉える力を向上します。
更には利便性を高め、さまざまな外部機器と接続できる可能性が大幅に広がったことにより、補聴器ユーザーの日々の生活に大きな変化をもたらします。
聞こえづらさを感じたら耳鼻咽喉科の専門医へご相談下さい。
先進の補聴器は、家族や周囲の人とのつながり、携帯電話、テレビや音響機器など様々な機器からの音声を補聴器へ届けるための高度な技術が満載されています。
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記事投稿者
ヘルシーヒアリング編集局
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