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補聴器の機能を徹底解説!価格との関係や自分に合った補聴器の選び方

  • 公開日:2024.05.17
補聴器
電卓と電球

補聴器は聞こえを助ける医療機器ですが、実際にどんな機能があって、どのように生活が変わるのかがよくわからないという方も多いのではないでしょうか。さらに、「音を大きくするだけなのに、なぜあんなに値段が高いのか?」「自分に必要な機能はどれなのか?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
本記事では「補聴器の機能」にスポットを当て、次の4つを徹底解説していきます。
・補聴器にできること(基本機能)
・補聴器をより快適に、便利にする機能(先進機能)
・補聴器の機能と価格の関係
・自身にあった補聴器の機能の選び方

音を大きくするだけじゃない? 補聴器の基本機能

補聴器は「耳に入る音を大きくする機器」というイメージを抱きがちですが、補聴器にできることはそれだけではありません。ここでは、一般的な補聴器に搭載されている機能を大きく3つに分類し、詳しく解説していきます。

個々の聴力に合わせる機能:自分だけの聞こえにカスタマイズ

個々の聴力に合わせる機能

補聴器の最大の特徴は、自分の聞こえに合わせ音を調整できる点です。「聞こえづらい」と一口にいっても音の聞こえ方は人によって様々で、低い音が聞きづらい人もいれば、高い音が聞き取りくい人もいます。補聴器は使う人の聴力や使う場所に合わせて、その人にとって一番聞き取りやすく快適な音を作り出すことができます。

音質を改善する機能:必要な音をもっとクリアに

音質を改善する機能

補聴器はその音が「会話」なのか「雑音」なのかを分析し、使用者に必要な音だけを際立たせることができます。例えば、周囲が少しうるさくて会話が聞き取りにくい場合に、雑音など邪魔な音を抑えて、話し声だけをハッキリ聞こえるようにします。

音の方向を感知する機能:会話の聞き取りを助ける

音の方向を感知する機能

補聴器には特定の方向の音を聞き取りやすくする「指向性」という機能が備わっています。日本補聴器工業会は下記のように定義しています。

特定の方向からの音を優先して聴取するしくみを指向性処理と呼び、騒音抑制のひとつに含まれる。補聴器にこの処理を適用する目的は、コミュニケーションの基本は顔の正面方向からの音声や音を聞き取ることを第一優先として、正面以外の方向からの音声や音に対する感度を低減することにある。

出典:「補聴器用語集」日本補聴器工業会 2005年

 

指向性のイメージ

この「指向性」という機能によって、補聴器をつけると人の多い場所や騒がしい場所でも、目の前にいる相手の会話が聞き取りやすくなります。

補聴器の新しい便利な機能

補聴器は年々進化し、基本的な機能にくわえ、より便利で快適に使える機能が増えています。

スマホやテレビとつながる「ワイヤレス(無線)機能」

ワイヤレス機能の一例

近年の補聴器はワイヤレス技術が発達し、従来の補聴器にはできなかったことができるようになりました。例えば、スマートフォンと補聴器を無線でつなげることで、スマートフォンで補聴器の音量を調整したり、かかってきた電話の音声を補聴器から直接聞いたりすることができます。また、テレビと連携すれば、テレビの音声を補聴器で直接聞くこともできます。

自然な音を実現する「360°の聞こえ」

「360°の聞こえ」は、周囲360°からの音をより自然に聞こえるようにするための機能です。従来の指向性は前方からの音を優先的に聞こえるように設計されていますが、日常生活では聞きたい音が必ずしも正面にあるとは限りません。「360°の聞こえ」は周囲の音をそのまま取り込みながら、聞きづらさや不快感を排除し、自然に近い聞こえを実現します。

その他の新機能(防水・充電式など)

近年の補聴器は、使う人のニーズにあわせた機能も充実しています。例えば、スポーツなどで汗をかく機会の多い方には「生活防水」つきの補聴器が人気です。また、電池交換が面倒・困難という方向けに、充電式の補聴器も販売されています。

補聴器の機能と価格のバランス

補聴器には様々な機能があることがわかっても、実際に気になるのはその価格です。一般に、補聴器は性能が良く、機能が多いほど高価になる傾向があります。ここでは、補聴器の機能と価格のバランスや、費用対効果の考え方のヒントをご紹介していきます。

価格帯に関わらず装備される機能

「周波数調整」「自動音量調整」「ハウリング抑制」「雑音抑制」「プログラム」「チャンネル数」などの機能は、価格に関係なくどの補聴器にも搭載されています。ただし、同じ機能でも性能が良くなるほど価格が高くなるのが一般的です。

例えば、音を細かく分析・処理するチャンネルはすべての補聴器に搭載されますが、チャンネルの数が多いほど細かい調整ができ、価格も高くなります。

価格に差が出やすい機能

補聴器の価格は、快適さや便利さを高める機能の充実度によっても差が生じます。例えば、テレビやスマートフォンと無線で連携できる「ワイヤレス機能」は、一般に中価格帯以上の補聴器に搭載されており、利便性が格段に向上します。さらに高価格帯になると、音質や方向感覚、環境に応じた自動調整の機能が高度になり、快適性が大幅に向上します。

自分にとって満足度の高い補聴器とは?

補聴器は価格が高いものほど高性能・多機能ですが、「安い製品は役に立たない」というわけではありません。軽度の難聴であれば、お求めやすい価格帯の製品でも十分に満足できる方も多くいらっしゃいます。

一方で、難聴が重度の方が低価格帯の補聴器を使用した結果、期待した効果が得られず、使わなくなるケースも少なくありません。また、補聴器は毎日使うものなので、少しでもストレスを感じると長く使い続けるのが難しくなります。

したがって、ご自身の難聴の程度(聴力レベル)や使用したい場所・シーンなどを専門家によく相談したうえで、予算に応じた製品を選ぶほうが不満も少なく、快適に使い続けやすいでしょう。

自分に合った補聴器と機能を見つけるヒント

さいごに、聴力レベルやライフスタイル、予算などに応じた補聴器の選び方のヒントをご紹介します。

耳鼻科で自分の聴力レベルを正確に知る

自分の聞こえと予算にマッチした補聴器を選ぶためには、現在の聴力がどの程度なのかを正しく知ることが何より大切です。自分の聴力に対して適切な性能を有した補聴器を選ばないと、期待していた聞こえの改善が得られない可能性があります。補聴器の購入に際しては必ず耳鼻科で詳しい検査を受け、自身の聴力レベルを確認しましょう。

ライフスタイルにマッチした機能を選ぶ

補聴器は、使用する環境や状況に応じて必要な機能を選ぶと、より快適に使えます。例えば、騒がしい場所にいることが多い方は、「雑音抑制」の性能が高い製品や「360°の聞こえ」に対応した製品を選ぶと、会話がさらに聞き取りやすくなります。また、音楽を楽しむ方は、「音楽モード」のプログラムを搭載した補聴器がおすすめです。このように、聴力レベルにくわえ、ライフスタイルに適した機能を探してみるとよいでしょう。

補聴器を「お試し」で使ってみる(試聴・貸し出しサービス)

補聴器の機能や選び方を理解したら、実際に補聴器を試聴することをおすすめします。多くの補聴器専門店では購入前の試聴・貸し出しサービスを実施しており、ご自宅や色々な場所で聞こえを試すことができます。試聴を通して音質や機能、使い勝手を確認することで、本当に自身が求める補聴器を手に入れることができるでしょう。

まとめ

補聴器はただ音を大きくするだけでなく、個々の聴力や使用環境に合わせて音を調整したり、会話など聞きたい音だけを強調したりする機能が備わっています。さらに近年は、補聴器をスマートフォンやテレビとつないで、より便利に使える新しい機能も加わりました。これらの機能は性能が上がるほど価格は高くなる傾向があるため、自分の聴力レベルとライフスタイル、予算のバランスを考慮して選んでいくことが大切です。

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  • 記事投稿者

    影向 美樹

    影向美樹(ようこう みき)/医療専門ライター。元医療従事者(国家資格保有)。健康・医療に関する正しい情報をわかりやすく、丁寧にお届けいたします。

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