行楽シーズンにはバスツアーという方は多くいらっしゃると思います。手軽に観光地を回ることのできるバスツアーの利用客は年々増加しているようです。ときには長時間の乗車で、体が固くなることや、乗り物酔いになってしまっては楽しみに水を差します。そこで今回は、旅行を満喫するために、座りっぱなしの体をラクにするストレッチや、乗り物酔いを防ぐコツ、山道やトンネルでの耳痛対策などをご紹介します。
座席に座ったままできるお手軽ストレッチ
バスツアーは日帰りの場合でも2~3時間、座っていることが多いもの。同じ姿勢のままでいると体がかたくなるのを感じてきます。乗車中の合間に座ったまま簡単なストレッチを行って、筋肉を緩やかに伸ばしてあげましょう。
腰のストレッチ:下半身は前を向いたまま、上半身を後ろにひねります。このとき、ひねる方向の太ももに両手を添えてゆっくりと無理なく伸ばしましょう。左右各20~30秒ずつ行うと脇腹が伸びてきます。
首と肩のストレッチ:頭に左手を置き、背中を曲げないようにしながらゆっくりと頭を左斜め前に倒します。このとき、下げている右手を伸ばすとより首筋が伸びますが無理のないようにしましょう。同様に右側も伸ばします。
下半身のストレッチ:片方の脚をもう片方の太ももの上にのせ、足の指を手でつかんだらぐるぐると足首を回しましょう。時計回り、反時計回りで各20回ずつ行います。足首がほぐれてきたところで、無理のない程度につま先を上げて、かかとで強めに床をたたいてかかとを刺激します。ふくらはぎもよく伸ばしましょう。
バスツアーが長時間にわたる場合は、携帯用スリッパなどを持参するのもおすすめです。車内で履き替えると足元が楽になり、リラックスできます。
乗り物酔いを防ぐには、前日の休息も大事
そもそも乗り物酔いはなぜ起こるのでしょうか?実はそこにも耳の存在があります。私たちの身体には、よろめいたり倒れたりすることを防ぎ、体のバランスを取る調整機能である、平衡機能(へいこうきのう)が備わっています。この平衡機能には、耳のいちばん奥内耳にある、三半規管(さんはんきかん)と呼ばれる器官が大切な役割を果たしています。乗り物特有の予測のつかない揺れや動き、細かな振動が続くと、平衡機能で感知している体の傾きと目で見ている光景にズレが生じてきます。耳や聞こえは脳と密接な働きがありますが、慣れない刺激が脳に伝わることで脳が混乱し自律神経が乱れ、冷や汗やめまい、ひいては嘔吐を引き起こすこともあります。
乗り物酔いが心配な場合は、酔い止めの薬を乗車前に飲むのが効果的。水無しで服用できるものやドリンクタイプもあるので、念のために自分に合うものをカバンに入れておくと安心です。
薬以外では、どこに座るかについても気を付けてみましょう、体の傾きを予想しやすいように進行方向が見える座席に座る、頭を背もたれにあずけてなるべく振動を感じない姿勢をとることで酔いを防ぐなどの方法があります。バスの大きさにもよりますが前方に近い4~5番目の座席を選ぶ、またタイヤの上など直接振動が伝わる座席は避けることもおすすめです。
そして旅を楽しむコツは出発前から!旅行など長時間バスに乗る前の日は十分な睡眠をとり、食べすぎは避けましょう。
耳の痛みの対処法。耳栓で気圧差に対応
山道の走行やトンネルを通過するときに耳がキーンと痛くなることがあります。これは空気圧が急激に変化することで、耳の中の気圧が急激に上昇(もしくは下降)するため。気圧差によって鼓膜が引っ張られ、音がこもって聞こえたり耳に痛みが生じたりします。このとき、鼻の奥から耳につながっている「耳管」もつぶれて空気が送れない状態が生じています。耳管を開いて耳に空気を送り、気圧差を解消することが必要となります。
もっとも簡単な対処法は、つばを飲み込むこと。また、あくびをする、飴をなめる、ガムを噛むなども効果的です。鼻炎や風邪による鼻づまりも耳管を詰まらせる原因になりますので、症状がひどいときは、参加を見合わせるほうが良いかもしれません。また気圧差による耳の痛み対策として、気圧調整機能つきの耳栓も注目されています。バスツアーだけではなく飛行機に乗る機会が多い方は、使ってみてもよさそうです。
症状が改善されず、長時間にわたって耳の違和感が残るようであれば、放置せずに耳鼻科に足を運んでください。
■参考
日本耳鼻咽喉科学会
HealthyHearing掲載の記事「飛行機と耳の痛み:なぜそれが起こり、そしてどんな対処ができるのでしょうか?」
メイヨー・クリニックセルフケアガイド 心とからだを自分で守る健康辞典
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記事投稿者
ヘルシーヒアリング編集局
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