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家庭菜園に取り入れたい~良い聞こえにつながる野菜たち~

  • 公開日:2018.04.04
生活 聞こえの雑学 難聴
サラダ

窓際の植木鉢やプランター、家庭菜園や畑を借りて、はたまた本格的な農業展開までスタイルは千差万別ですが、自分の手で野菜や果物を育て食すことにはなんともいえない充足感があります。それだけでなく、野菜たちは聞こえの健康にもよい影響をもたらす働きがあるものがあります。その秘密はフリーラジカル。今回は野菜と聞こえについて見ていきましょう。

全米ガーデニング協会(NGA)によると、アメリカの全世帯の35%が自宅や畑を借りて自ら野菜などを生産しており、2013年以来その数は17%増加しています。日本では実はさらに家庭菜園を楽しむ人の数は多く、2017年に国内種苗メーカーが行った調査によれば日本人の約半数が「家庭菜園の経験あり」と回答し、満足度は86%とのことです。*

家庭菜園に取り入れたい良い聞こえにつながる野菜たち_緑黄色野菜

ホウレンソウやルッコラのような濃い緑色の緑 (上記写真)は、葉酸が豊富です。体内の内耳の組織に損傷を与えるフリーラジカルの数※を減らす働きがあります。

※フリーラジカルとは?:活性酸素と並んで語られることの多いフリーラジカルは、体内で作られる活性酸素の中でも不安定な分子構造を持つものです。(原子核の周りにある電子は通常2個あると安定した物質になります)。フリーラジカルはなんらかの異常によって対になっていない電子(不対電子)を1つ以上持っており、ほかの分子から電子を奪い取ろうとしこの際に食物の腐敗や体内でのたんぱく質変性やDNAの損傷などを引き起こすとされます。

聞こえの健康へ貢献できる野菜たち

窓際の植木鉢のような小さな菜園であっても、素敵なことは季節ごとのさまざまな新鮮野菜が身近なところで育つということです。野菜には、特定の種類の癌、心臓病および脳卒中といった生活習慣病の予防によい役割を果たす機能性成分とともに、繊維、ビタミンおよびミネラルなどが含まれています。下記にご紹介するような春の野菜は、食卓に彩を添えるのはもちろん皆様の聞こえの健康にとっても良い影響があります。

ホウレンソウ、ブロッコリー、アスパラガス

これらの野菜に含まれる葉酸は体内のフリーラジカルの数を減らし、私たちの耳の特に内耳の繊細な組織の損傷を防ぐ可能性があります。また、2007年にオランダで50代~70代の男女728人を対象に行われた研究によれば、葉酸を摂取した被験者は、プラセボ(有効成分が含まれない)を摂取した被験者に比較して低周波帯域の聴力損失が少なかったという結果が報告されました。**

ブロッコリー、ジャガイモ、枝豆

日常に必要なマグネシウムに役立つ野菜として挙げられるのがこれらの野菜です、枝豆は意外に家庭菜園の初心者でも育てやすい品種が揃っているとのこと。米国聴覚医学誌2003年号の記事によれば、マグネシウム欠乏症を持つ人々は、騒音による耳の傷害、投薬などによって引き起こされる耳毒性、聴覚過敏(脳過敏症の症状の一つとして聴覚も過敏になる)などを理由とする難聴の発症リスクが高まるとの報告があります。*** 家庭菜園からは少し距離がありますが、海に囲まれた日本だからこそのマグネシウムが豊富な海の野菜たちもあります。わかめ、あおさ、ひじきなど春はまた海藻もおいしい季節です。

ピーマン

家庭菜園に取り入れたいより良い聞こえにつながる野菜_ピーマン

今年こそは、子供たち(またはお孫さん!)のメニューにピーマンをこっそり加えることができるかどうかお試しください!子供たちには敬遠されがちな野菜ですが、特に季節の変わり目におきやすい耳感染症の発生リスクを下げる可能性があります。またピーマンにはフリーラジカルに対するもう一つの防御であるビタミンEが含まれており、免疫システムの強化に役立ちます。

春の庭や家庭菜園での聞こえ

春は、外に出て植物や野菜の手入れをするのが楽しい季節です。ここまで聞こえに良い野菜をご紹介していますが聞こえについて、最後に聴力検査を受けられたのはいつですか?米国国立聴覚・伝達障害研究所(NIDCD)によると、全米では18歳以上の3,750万人が何らかの聴力のトラブルを抱えていると推定しています。もしいま聞こえについて気になることがあれば、どうぞ本格的なガーデニングの季節が始まる前に耳鼻科へご相談ください。健康な聞こえでさまざまな春の鳥たちのさえずりを楽しむことができます。もし聴力低下があっても聞こえの改善につながるさまざまな対処方法があります。補聴器についてお話しするならば、補聴器は、聴力を正常に戻すことはできませんが、実は耳に届いていなかったさまざまな音に耳を傾けもっと楽に会話についていくことにも役立ちます。実際春の情景の中には聞こえにくい音もあります。

鳥のさえずりや鳴き声:

鳥のさえずり

高い周波数帯の音が聞こえにくくなる難聴に気づく最初の兆候は、鳥のさえずりや鳴き声に代表されるような高い音が聞こえにくくなることです。鳥の声はあまり大きな問題にはならないかもしれませんが、その他の高い周波数帯の音には、ドアベル、目覚まし時計、電話などがあり、これらの音の聞き取りが日常生活やまた安全上の懸念に関係することもあります。

春風にそよぐ葉の音や雨音:

春風にそよぐ若葉や春の雨音に耳を傾けたのはいつのことでしょうか?これらの音が耳に届きにくくなったとしたら、現在の聞こえの力について把握するためにも耳鼻科へ足を運んでいただくタイミングといえます。一般に年齢を重ねることで起こる加齢性難聴は、個人差はあるものの40代の後半から少しずつ聴力が下がっていくため自分自身では気が付かないこともあります。もし耳鼻科の受診などを経て難聴があるとわかった際には、補聴器専門店へ聞こえの改善についてご相談いただくこともできます、早めの対処によって春の訪れを耳でも感じていただけます。

今回は聞こえの健康につながる春の野菜についてお伝えいたしました。ご自身では野菜はやっぱり育てないという方もどうぞこの季節、店頭に並ぶさまざまな緑の野菜たちに足を止めていただけたらと思います。


■参照サイト

*タキイ種苗株式会社「家庭菜園に関する全国調査」2017年3月14日

**Effects of Folic Acid Supplementation on Hearing in Older Adults: A Randomized, Controlled Trial

***Magnesium and Hearing-Journal of the American Academy of Audiology/Volume 14, Number 4, 2003

■本記事について

本記事は米国Healthy Hearingにて掲載された記事を、一般的な情報提供を目的として意訳、また日本国内の事情に沿うように加筆再編成したものです。本記事のコピーライトはhealthyhearing.comに帰属します。本記事内に掲載された名称は、それぞれ各社の商標または登録商標です。また、出典や参照元の情報に関する著作権は、healthy hearingが指定する執筆者または提供者に帰属します。

■英語版記事はこちらから

米国「Healthy Hearing」2015年5月29日の記事「Make your garden hearing healthy」(DebbyChan寄稿)
  • 記事投稿者

    ヘルシーヒアリング編集局

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