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その運動は、耳にとっても良い運動ですか?

  • 公開日:2017.11.05
生活 健康
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運動するときに耳への負荷や空気圧の影響を気にするという方は少数派かもしれません。適度な運動が心身の健康増進に役に立つことは言うまでもありませんが、一方で運動の種類によっては、聞こえのリスクとなりうることに気を付けたいものです。健康な聞こえを保っていくために、耳にとって良い運動、注意が必要な運動についてご紹介します。

体を限界まで追い込むトレーニングは耳にとってはNG!

全米を中心に熱狂的なファンを増やしつつあるフィットネスプログラムの1つに「クロスフィット」と呼ばれるトレーニングがあります。もともとは警察や軍の特殊部隊などで採用されていたもので、ウェイトリフティングやカーディオと呼ばれる有酸素運動、体幹トレーニングやその他の有酸素・無酸素運動を織り交ぜたトレーニングです。

クロスフィットは体を限界まで追い込むことによって、身体能力を非常に高いレベルまで引き上げます。しかし一方で、これらのトレーニングで高い代償を払うことになった人々がいることも忘れてはいけません。高い運動強度を持ったトレーニングは注意を怠ると、聞こえにとってよくない結果をもたらすことがあります。

「息を止めて力む」動作は耳の中の空気圧を急激に上げる

「エクササイズがどう耳に影響を与えるのだろう?」と思っている方もいるでしょう。例として、クロスフィットトレーニングで行われる、ウェイトリフティング(重量挙げ)に関連した2つの動きについてみていきましょう。

1つ目の動きは力んだり、いきんだりすることです。力みは頭蓋骨(ずがいこつ)内部の圧力に影響を与えます。力みによって圧力が上がり、結果的に耳にも圧がかかります。

2つ目の動きは、息を止めることです。ウェイトリフティングでは気合とともに息を止めて筋肉を固め、背骨を支えることで限界を超える力を出そうとします。息を止めると耳の奥にある内耳の圧力も増加します。

通常であれば、耳の中(鼓膜より奥の部分)の気圧と周囲の気圧は同じか、もしくはトラブルの原因になるほどの差異は生じません。しかし、急激な変化により気圧を均一にすることができなくなると、耳にトラブルが生じる場合があります。息を止めて力むこともこの状態を引き起こす原因の1つです。

耳への負荷によって起こりうるトラブルとは

内耳の気圧が上がると、激しい運動の最中や後に、耳の病気の1つである外リンパ瘻(がいりんぱろう)を引き起こす可能性があります。外リンパ瘻とはごく簡単に言うと、耳の奥の内耳にある窓(正円窓と卵円窓)が損傷されることで発症します。この窓は普段は閉じていますが、力んで内耳の圧が上がることで穴が開いてしまうのです。さらに、この穴から外リンパ液が中耳にもれ、聞こえに変化が生じることがあります。

激しい運動の他にくしゃみやせき、重い荷物を持ち上げるなどのタイミングで発症することもあります。ふとしたことで突発的に発症するため、すぐには気が付かないことが多いのも特徴です。

もちろんクロスフィットだけが耳に悪いわけではありません。クロスフィットトレーニングに代表される激しいトレーニングの多くは、自身の限界を目指していくことが奨励されていますが、こうした運動を行う前にいま一度、聞こえへのリスクについても関心を寄せてみてください。

器具が立てる衝撃音や大音量のBGMも要注意

ランニングや高い集中力を必要とするヨガのポーズ、エクササイズも、聞こえのトラブルにつながる可能性はあります。ウェイト器具類がたてるガチャンという大きな音や大音量のBGMなどは、スポーツジムではおなじみの光景ですが、こういった衝撃音や騒音もときに騒音性難聴や耳鳴りなどの原因になります。

以下は、米国・バルチモアのマーシーメディカルセンターに勤務し、フィットネスインストラクターとしても公的な資格を持つオーディオロジスト(聴覚ケアの専門家)、レイチェル・ラファエル氏のコメントです。

「ウェイトトレーニングを行う部屋で聞こえるガチャンガチャンという音が、どのくらいの音量なのか測ったことはありませんでした。しかし、ウェイトが落下するなどして起こる一瞬の大きな音でも、銃の発射音や車のエアバッグが開くときの衝撃音に匹敵するレベルです。感音性難聴や耳鳴りといった、爆音にさらされることで引き起こされる難聴につながりかねない音量なのです」

健康な聞こえのために運動中にすべきこと、すべきでないことを知っておこう

すべきこと

  • 運動の前後に何らかの聞こえの変化を感じた場合は、ただちに耳鼻咽喉科を受診してください。
  • ベンチプレスやウェイトなどを使用するトレーニングをする際は、ウェイトは少し軽めのものを選択しましょう。力みによって生じる内耳圧を減らすことは、外リンパ瘻の発症のリスクを軽減します。ウェイトの正しい使い方についてスポーツの専門家のアドバイスを仰ぐのも一案です。
  • 運動中や運動後に聞こえに変化を感じた場合は、聞こえに影響を与えない適切な運動レベルについて専門家に相談しましょう。
  • スポーツジムで流れるBGMの音量が大きすぎる場合は耳栓を。また、イヤホンでお気に入りの音楽を聞きながら運動する場合は、適切な音量を心がけましょう。
  • 年齢や経験に応じて、ウェイトリフティングやベンチプレスのような力みが必要なエクササイズは減らしましょう。

すべきでないこと

  • より力を入れるために息を止めるのはNG。息を止めることは耳の中の圧を高めてしまいます。
  • ウェイトリフティングやベンチプレスをはじめとする重量系のトレーニングで力むのも、できるだけ避けましょう。
  • もし聞こえに変化を感じた場合、また、過去に内耳に関連する病気の経験などがある場合は、ボクシングやレスリングといった頭部に直接衝撃を与えるスポーツは避けましょう。
  • ウェイトリフティングの際などに、ウェイトを大きな音を立てて落としたり、乱暴に器具を元の位置に戻すのはやめましょう。これらの衝撃音は時に140db(デシベル)にも達し、爆発音や銃声音などにも匹敵します。
  • 激しい運動を行った後に耳に圧迫感やこもり感、めまいやふらつきといった症状がある場合は、何かしらの問題が生じている可能性があります。ためらうことなく医療機関を訪れてください。

何はともあれ、健康のためには体を実際に動かしてみることが大切。ウォーキングやストレッチなど、比較的簡単に始められる運動もたくさんあります。ただし、どのようなスポーツをする場合でも健康な聞こえを守ることをお忘れなく!


出典:米国「Healthy Hearing」2016年1月25日の記事「Could your exercise program be causing hearing loss?」(Lisa Packer寄稿)

※本記事は米国Healthy Hearingにて掲載された記事を、一般的な情報提供を目的として意訳、また日本国内の事情に沿うように加筆再編成したものです。本記事のコピーライトは healthyhearing.comに帰属します。本記事内に掲載された名称は、それぞれ各社の商標または登録商標です。また、出典や参照元の情報に関する著作権は、healthy hearingが指定する執筆者または提供者に帰属します。

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