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難聴を抱える方とその家族のための、災害への備え方&知識

  • 公開日:2017.10.01
難聴 災害 備え ヒント
防災用品

自身、または家族や大切な人が難聴を抱えているなら、防災の準備はなおさら重要です。地震や火事、自然災害…どれも起こるべきではないことですが、これらの災害に遭遇する可能性は誰にでもあります。私たちは自分自身が災害の当事者になり得ることを忘れてしまいがちですが、大切な命を守るために注意したいものです。聞こえの悩みを持つ方々が災害に備えるためのヒントをお届けします。

難聴がある場合に緊急持ち出し袋に追加すべきアイテムとは?

補聴器・人工内耳のユーザーをはじめ難聴がある方は、以下のものを緊急持ち出し袋に追加しておきましょう。

  • 補聴器、人工内耳などのための予備の電池
  • メモパッドなどの筆記用具
  • 非常時にどのような助けが必要かを記したカードなど
  • 笛や防犯用ブザーなど音を発生させるもの
  • 予備として使用可能な古い補聴器など
  • 耳や言葉の不自由な方のコミュニケーション支援として電話会社が発行している「電話お願い手帳」(NTT各社や市町村自治体の福祉課などにおいて無償配布している冊子。Webサイトやアプリもあり)」など

すべての人が緊急持ち出し袋に入れておいた方がいいものは?

  • 1日1人あたり約3.8リットルの飲料水
  • 傷みにくくて簡単に食べられる食料品
  • 懐中電灯や、光が当たると明るく見える反射材など
  • 応急手当用キット、衛生用品、消毒薬など
  • 日常服用している薬(約7日分)や薬品類
  • 万能工具
  • 本人に関する情報のコピー(薬品リスト、薬の服用に関する情報、住所情報、その他必要な文書類、保険証、免許証をはじめ本人に関する情報が記載された書面)
  • 携帯電話、スマートフォン、タブレット型PCなど
  • 緊急連絡先のメモ(携帯電話やスマートフォンが使用できないときのために)
  • いくらかの現金と付近の地図
  • 充電型のラジオ、または手動で充電可能なラジオやテレビ(難聴の方は、文字放送対応のテレビがより便利)、毛布など
  • 携帯電話やスマートフォン用の充電池や充電器。懐中電灯、ラジオ、テレビなどに使用する予備の電池

※参考:アメリカ赤十字社の推奨リスト

家族での緊急避難プランを作り、避難所や避難場所に指定されている場所に足を運んでみよう

災害が起こると、それに引き続いて大小の混乱が生じます。家族での緊急避難プランを日頃から立てておきましょう。また、家族全員が内容について理解しているか、定期的に確認する時間を持ちましょう。

火災発生時などにどのように避難するのか、集合場所を確認し、家族で避難経路の確認を行うことも必要です。災害時に家族がばらばらになった場合に落ち合う場所もあらかじめ明確にしておくと、落ち着いた行動をとるための一助となります。

難聴がある方は

  • 表玄関や勝手口などの近くに、家族の中に難聴の一員がいることや、難聴の当事者が日常使っている寝室の位置などを記した紙を貼っておきましょう
  • 近所の人々に難聴について説明し、緊急時には発生を確実に伝えていただく必要があることを知らせましょう、ふだんから地域の防災訓練に参加しましょう。
  • お住まいの市町村や自治体などで、大規模災害時のための防災ネットワークや支援ネットワークが結成されているのであれば、加入するなどして緊急時に連絡を受けられるようにしましょう。

防災メールや緊急速報メールなどが受信できるか確認を

お住まいの市町村や自治体などの防災センターなどへ連絡し、緊急時に行政機関や消防、警察などから固定電話や携帯、スマートフォンに避難勧告などの伝言を流すサービスがあるかどうか確認しましょう。

固定電話・携帯電話キャリアのサービス

電話会社では災害時に有効な通信サービスを提供しています。また、携帯電話各社の「緊急速報メールサービス」を活用して災害・避難情報を配信している自治体の数も増えています。

メールサービス

気象庁のサイトでは、各都道府県内における自治体のメールサービス情報が掲載されています。他にも気象庁が発表する「緊急地震速報」や、国や市町村によって発表される「避難情報」などの情報を配信する緊急速報メールもあります。

これらの情報を受け取るためには、あらかじめ携帯電話側の設定などが必要な場合があります。詳細についてはお使いの携帯電話会社、またはお住まいの福祉課などへお問い合わせください。

テクノロジーも上手に活用しましょう

聴覚障害者向けのラジオや受信機器、警報機器などについて

自然災害に備える追加的方法として、聴覚障害を前提とした警報機器などを導入する方法もあります。文字放送対応のラジオや聴覚障害者向け緊急信号を受信する受信機など、さまざまな聴覚障害者用情報受信装置が発売されています。

これらの機器は補聴器とあわせた使用が可能で、耳が聞こえない方や重度難聴の方々に向けては、光の点滅や振動などをはじめとする特別な通知・警告方法で対応できるようデザインされています。多くの機器が手頃な価格で手に入るので、災害の発生時に備えてぜひ用意しておきたいアイテムです。

ソーシャルネットワーク

ツイッターなどのソーシャルネットワークを通じて、インターネット上でさまざまな情報を発信する個人や組織・団体が増えています。聞こえの悩みを抱える方をはじめ、災害弱者*に向けた有益な情報をタイムリーに受け取ることが可能です。

ただし、緊急時には大量の情報が流れるためにかえって混乱したり、ときには不正確な情報が混在したりしていることもあります。インターネットをお使いの方は、どのような情報が入手可能なのかあらかじめ確認をしておくことも大切です。

*災害弱者とは:災害の発生時に自力での避難などが比較的難しく、避難行動などの際に支援を要する人々を指します。身体的な弱者に加えて、日本語での意思疎通が十分でない外国の方などもこれに相当します。

火事への備えも忘れずに

火災が発生したときは、炎は言うまでもなく、煙からも身を守ることが大切です。難聴の問題がある場合、一般的な煙探知器では十分聞こえない場合があります。火災報知器(煙探知器)などについても、聴覚障害に対応した機器の導入を考慮する必要があるかもしれません。

これらの機器はホームセンターやインターネットなどで購入可能です。聴覚ケアの専門家や自治体の福祉課などで、その方の身体状況に応じた適切な機器の紹介が受けられます。

  • 煙探知器には大音量の低音で警報が鳴るものがあります。こういった警報器は難聴の方にとってより聞き取りやすくなります。煙探知機はベッドの側に取り付けることが推奨されます。
  • 火災や一酸化炭素の発生をフラッシュライト(閃光)で視覚的に知らせる警報器や、警報内容によって点滅の仕方を変える設定ができるものもあります。
  • 煙を探知するとベッドや枕などを振動させて知らせるタイプの煙探知器もあります。これらの多くは持ち運び可能で、使用は外部電源を利用します。

ここで紹介しました警報機器類の多くは、電池や外部電源によって動作します。定期的に電池などを交換する習慣をつけましょう。

国内では2006年6月から、すべての住宅、アパート、共同住宅に火災報知器の設置が義務付けられました。自治体の定める条件を満たした場合、聴覚障害に対応した日常生活用具の購入に際し給付・助成事業を行っているところもあります。購入検討時にはお住まいの市区町村にお問い合わせください。

補聴器について気をつけたいポイント

補聴器装用者が家族にいる場合、家族や周囲の人々も補聴器について理解しておくと災害時の対応に役に立ちます。

  • 補聴器の保管場所を決めておきましょう。必要なときにすぐに装用できるよう、手の届くところに保管しておくことをおすすめします。また、家族も補聴器の保管場所を知っておくと、夜間の災害発生時などでも落ち着いて補聴器の装用を確認することができます。
  • 災害の発生時には、補聴器の消耗品、特に電池がすぐに手に入らないことがあります。あらかじめ予備の電池を用意しておくことが大切です。人工内耳についても同様です。

なお、補聴器を装用している方に話しかける時は、なるべく顔や口の動きが見える正面から普通の大きさの声で話しかけましょう。


出典:米国「Healthy Hearing」2015年10月13日の記事「Helping your loved one prepare for disasters 」(Debbie Clason寄稿)

※本記事は米国Healthy Hearingにて掲載された記事を、一般的な情報提供を目的として意訳、また日本国内の事情に沿うように加筆再編成したものです。本記事のコピーライトは healthyhearing.comに帰属します。本記事内に掲載された名称は、それぞれ各社の商標または登録商標です。また、出典や参照元の情報に関する著作権は、healthy hearingが指定する執筆者または提供者に帰属します。

  • 記事投稿者

    ヘルシーヒアリング編集局

    ヘルシーヒアリング編集局

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    2.「安心聞こえのネットワーク」連携サポート

  • 記事監修者

    高島 雅之先生

    『病気の状態や経過について可能な範囲で分かりやすく説明する』ことをモットーにたかしま耳鼻咽喉科で院長を務めている。■詳しいプロフィールを見る■

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