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骨伝導補聴器の先駆け!?難聴克服のためにベートーヴェンの行った工夫:音の雑学

  • 公開日:2021.06.23
音の雑学
ベートーヴェン

18世紀を代表する名音楽家のベートヴェンは56年の生涯のなかで多くの名曲を残していますが、20代後半で難聴になっており、その半生は難聴との戦いでもありました。では、なぜ彼は難聴を抱えながらにして作曲を続けることができたのか、それは歯で噛みしめた指揮棒でピアノの振動を感じとったのだそうです。これは現代の骨伝導補聴器と原理的に共通するものでした。今回はベートーヴェンの難聴にまつわるお話です。

 

今でも高い人気を誇る作曲家のルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンですが、現在の音楽に多大なる影響を残しています。

ベートーヴェン以前の音楽家のほとんどが宮廷などに仕えており、その作品は式典などで演奏されるために作られるものがほとんどでした。しかしベートーヴェンは主従関係に縛られることを嫌い、自分が望んだテーマで作曲を行い、大衆のための音楽を始めた人です。

そのことからそれまでの作曲家は肖像画でよく見かけるようなカツラを被るのが宮廷でのマナーでしたが、ベートーヴェンの肖像画はモジャモジャの地毛で描かれているのです。

そしてベートーヴェンは「音楽家は支配者の為に作曲をする職人ではなく、心の赴くままに作品を作る芸術家である」と公言した最初の作曲家なのです。

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ベートーヴェンは常に音楽のことばかり考えており、作曲のヒントは散歩の時に思いつくことが多かったそうです。そのために散歩中によいメロディが浮かび、それを考えながら歩き続けて気がついた時はまったく知らない土地に立っていたこともあり、その時は着の身着のままのボロボロの服、そしてお金も持っておらず、空腹のあまり食事中の家を覗き込んでいたことから浮浪者として掴まったこともあるそうです。

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そんなベートーヴェンでしたが20代後半から難聴に悩まされることとなります。32歳の時にはかなり悪化しており、絶望のあまり弟に宛てて遺書めいた手紙を書き残しています。

正確な音階などはすべて頭の中に入っていますが、自分の弾くピアノの音すら聞こえなくなっていきます。そしてピアノの音を聞くために指揮棒を歯で噛みしめ、その尖端をピアノに押し当て振動として音を聞く方法、いわゆる骨伝導を実践しています。 

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19世紀のオーディフォンのパンフレット19世紀のオーディフォンのパンフレット

骨伝導というものはそれより200年ほど前、16世紀から研究が始まっていました。

複数の研究者が同時期に研究していたことから、誰が元祖なのかは不明ですが、耳の奥に鐙骨(あぶみこつ)という小さな骨があり、これが発見されたことがキッカケだったとも言われています。

鐙骨は人体の中でもっとも小さな骨とも言われていますが、脊椎動物が進化の中で最初に手に入れた骨で、この骨は音を脳に伝える為に重要な役割を持っています。

16世紀の研究で棒を歯で噛みしめることで音が聞こえるという現象がすでに記されています。

17世紀には聴覚障害を持った方が歯を介した骨伝導で楽器の振動を感じることが可能だと発表されており、18世紀のベートーベンはそのことを知っていたのではないかと考えられています。

そして19世紀に入ってアメリカでオーディフォン(Audiphone)と呼ばれる最初の骨伝導補聴器の特許が取られています。 

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ベートーヴェンはそのような形で作曲を続けていますがさらに難聴が酷くなり、最後はピアノに直接かじりついて音を聞いていたと言われ、愛用のピアノには歯形が残っています。 

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ベートーヴェンが関わったものとしてメトロノームもあります。メトロノームは1816年ドイツで発明家メルツェルによって特許が取得されていますが、その友人だったベートーヴェンは絶賛してすぐに愛用し、普及のために宣伝もしています。

メトロノームは演奏の時に使えるだけでなく、曲のテンポを数値化できたことで、曲のイメージを伝えやすくなったのです。 

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ベートーヴェンは最晩年、ほとんど音が聞こえなくなっていたのですが、56歳で亡くなる直前まで作曲を続けています。

演奏会でもオーケストラの音はまったく聞こえていませんでしたが、演奏が終わり指揮者が促したことで振り返ると会場一杯のオーディエンスが拍手喝采をしており、感激の涙を流したそうです。 

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現在の医学ならば手術や補聴器などで、もっと幸せな人生を歩むことが出来たのかも知れませんが、そのような苦難を乗り越えて作りあげた多くの楽曲にはベートーヴェンの人生が込められており、今でも愛され続けているのです。 


寄稿者:杉村 喜光(知泉)

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