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高度・重度難聴がある方のための補聴器 「パワー型補聴器」 は高度・重度難聴者の方に十分に増幅された音を届けます

  • 公開日:2022.04.06
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補聴器をつける人

補聴器にはどのような種類があるのでしょう?装用のスタイルやユーザーの難聴の度合いに応じた器種があります。今回はそのなかでも、重い難聴をかかえたユーザー(高度・重度難聴)のための「パワー型補聴器」について米国の編集者ドレイパー氏(重度難聴)の事例にふれながらご紹介します。日本のユーザーにとっても参考になる内容ですから、ぜひご覧ください。

※ 写真はドレイパー氏ではなく、パワー型補聴器「オーティコン エクシード」のイメージ画像です。

ロジャー・ドレイパーは10歳の時に、抗生物質の服用により聴力が損なわれました。最初、その知らせを彼の母親は悲しくて受け入れることができませんでした。「母は「ロジャー、お皿を洗いなさい。」と言うのですが、私が返事をしないと、無視していると非難されました。」とドレイパー氏は思い出を語りました。

ニューヨーク市で編集者として働くドレイパー氏は、すぐに重度難聴と診断されました。「叔母(母の妹)は私が聞こえないということを母に説明し納得させました。叔母も重度難聴者でした。」とドレイパー氏は言いました。彼は主に補聴器に頼っており、増幅型の電話を所有していますがめったに使っていません。

12歳以上のアメリカ人のほぼ4分の1に難聴があると言われ、難聴はよくみられる疾患なのですが、ほとんどの場合、軽度難聴です。しかし、200万人以上のアメリカ人は、世界保健機関 (WHO) が定義する重度または重度難聴者です。

高度難聴と重度難聴とは何でしょうか?

WHOによると、良い方の耳で聞こえる最も小さな音が60デシベルから80デシベルの間であれば、深刻な難聴となります。重度難聴の場合は、これが少なくとも80デシベルになります。米国では、より厳密な定義が使用されるので、90デシベル以上の音を聞くことができない人は、重度難聴と見なされます。

どちらの定義でも、重度難聴がある場合は、補聴器なしだとほとんどの日常音は聞こえません。大きな音だけは聞こえます。車の窓を開けると100デシベルの救急車のサイレンが鳴っているのが聞こえるかもしれませんが、背後から誰かに呼ばれたとしても声は聞こえません。

重度難聴では、約90デシベルより小さい音は聞こえません。普通の会話は60デシベルくらいです。

重度難聴は通常、年齢によるものではなく、先天性疾患や病気、障害が原因です。このような方の多くは、会話が聞こえないため、唇を読んだり、手話を使ったりしています。

手話も読唇も、コミュニケーション能力を高めるのに役立つ素晴らしい方法です。しかし、ドレイパー氏と同様に、高度または重度難聴者の方にも、補聴器を装用することでメリットがあります。

補聴器の選択肢

色々な補聴器

高度、または重度難聴用の補聴器は、 「パワー型補聴器」 または 「スーパーパワー型補聴器」 と呼ばれており、全ての大手補聴器メーカーは、成人子ども用の両方を提供しています。このような補聴器は、回路をより多く搭載しているため、他のタイプの補聴器よりもわずかに大きくなっています。しかし、高度・重度難聴用の補聴器は近年小型化してきており、乳児にも適応できるようになっていると、米国聴覚学会の元会長で、ピッツバーグ大学医療センターのオーディオロジー・補聴器部門の責任者を務めるキャサリン・パーマー先生は報告しています。

典型的な補聴器スタイルは 「耳かけ型」(BTE: Behind-The-Ear)と呼ばれ、耳の中にイヤモールドがぴったりとフィットするようになっています。片方の耳が大丈夫とわかっていれば別ですが、通常は両耳に補聴器が必要となる場合が多いです。

耳に装用しても見えないくらい小型の耳あな型補聴器 (ITEと呼ばれています) だと、難聴の程度が大きい耳ではうまく機能しないと、パーマー先生は言っています。

実耳測定について

オージオメーター

高度難聴者用の補聴器フィッティングでオーディオロジスト(米国の聴覚ケア専門家の名称)の最も重要な仕事は、補聴器から入ってくる音があなたに十分聞こえるくらいの大きさであることを確認し、音が大きすぎて自然な聞こえを損なわないように設定し確認することです。補聴器を調整した後、オーディオロジストは安全性と音の増幅の正確性をテストします。心配しないでください。テストは不快であったり、聴力を損なったりするものではありません。補聴器を装用している間、オーディオロジストは実耳測定で、外耳道にマイク付きの細いシリコンチューブを挿入し、補聴器からの音が耳の中でどのくらいの大きさになっているのかを測定します※1。

※1 実耳測定を行うと、補聴器からの音が耳の中でどのくらいの大きさになっているのかがわかります。日本ではまだ広く普及していない測定方法ですが、実耳測定を実施している熱心な聴覚ケアの専門家も日本にいらっしゃいます。

「人は耳にダメージを与える可能性のある大きさの音でも受け入れている場合があります」 と、パーマー先生は言っています。「ですので、音がどのように聞こえているのかを補聴器ユーザーに聞くよりも、聞こえている音を実際に測定することは大事です」

その他の重度難聴治療

パワー型補聴器が最良の選択肢ではない方もいます。高度・重度難聴に対する他の治療には、埋め込み型骨導補聴システムや人工内耳があります。

ぴったりと耳にフィットしていることが重要

次に重要なのはハウリング(補聴器で増幅された音が耳から漏れ補聴器のマイクに届いて再び増幅されるピーという音)を最小限にすることです。「ハウリング制御システムは洗練され、かつてないほど優れています。耳に物理的にフィットしていないイヤモールドではハウリングが生じるので、慎重にフィッティングすることが必要です。」とパーマー先生は言っています。オーディオロジストはシリコンを使ってあなたの耳の正確な型を取ります。子供たちは耳が成長するたびに新しい耳型が必要になります。5年後にはオーディオロジストが耳のスキャン画像を使って、より正確にフィットできるようになるとパーマー氏は考えています。「現在、スキャン装置は高価ですが、将来的には価格は下がるでしょう。」とパーマー先生は言っています。

「また、オーディオロジストは、難聴者の方が聞こえにくい高い音程の音を、 「周波数低下」 と呼ばれるプロセスによって、聞き取れる音域に移動させることもできます。」

補聴器を選ぶ時は、補聴器の電力供給、ハウリング抑制、電子回路について、オーディオロジストと検討しましょう。異なる方向から聞こえてくる音の区別に役立つようにマイクが2~3つ付いている補聴器もあります。テレコイルが補聴器に搭載されていると、多くの劇場、教会、空港、主要会場に設置されている磁気誘導ループシステムと補聴器を接続することができます。ほとんどの補聴器はこのような重要機能を搭載しています。他の考慮すべき事項としては、耐湿性や防塵性、保証期間、修理実績などがあります。

補聴援助技術

スマートフォン

騒がしい環境で音を聞くには、聞きたい音の近くにマイクを置き、そのマイクで拾った音信号を補聴器に送るという方法をパーマー先生は推奨しています。

補聴器はスマートフォンにワイヤレス接続できますが、高度・重度難聴者には、自動字幕機能付きの電話 (またはアプリ) が必要な場合があります。「FaceTime」 、 「Facebook Messenger」 、 「Teams」 などのビデオアプリを使うと、顔の表情を見たり、唇を読んだりすることができます。

携帯電話では、テキストメッセージを送ったり、振動させたり、ライトを点滅させたり、煙探知機、ドアベル、電話、目覚まし時計の音を拾うために低い音を出したりすることができます。FMシステムや振動式アラームなど、補聴機能を拡張するための補助援助システムもたくさんあります。

オーディオロジストにはいろいろなことを相談しましょう!平日や週末、朝から晩までのあなたの聞こえの状況について詳しく説明することをパーマー先生は勧めています。聞き取りにくい状況を特性し、解決策を探りましょう。オーディオロジストは、補聴器を調整し、補聴器機能を最大限に活かす方法を教えてくれるはずです。

相談しましょう

定期的な聴覚ケアはとても大切です。日本においては、聞こえに対し気になることがあれば、耳鼻科医の受診をお勧めします。聞こえや補聴器についてのご相談は、お近くの補聴器専門店でも承っています。

■本記事について

本記事は米国Healthy Hearingにて掲載された記事を、一般的な情報提供を目的として意訳、また日本国内の事情に沿うように加筆再編成したものです。本記事のコピーライトはhealthyhearing.com及びheatlhyhearing.jpに帰属します。本記事内に掲載された名称は、それぞれ各社の商標または登録商標です。また、出典や参照元の情報に関する著作権は、healthy hearingが指定する執筆者または提供者に帰属します。

■英語版記事はこちらから

米国「HealthyHearing」2022年2月15日の記事「Hearing aids for profound hearing loss」(Temma Ehrenfeld 寄稿)

https://www.healthyhearing.com/report/52948-Hearing-aids-for-profound-hearing-loss

  • 記事投稿者

    ヘルシーヒアリング編集局

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  • 記事監修者

    田中ちえみ

    田中 智英巳

    デマント・ジャパン株式会社 アドバンスト・オーディオロジー・センター・センター長、ハワイ大学マノア校 Adjunct assistant professor, 静岡県立総合病院 客員研究員、ASHA認定オーディオロジスト、ハワイ州オーディオロジスト。■詳しいプロフィールを見る■

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