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中耳(ちゅうじ)は音の振動を増幅して伝える:聞こえのしくみ②

  • 公開日:2017.12.21
補聴器 健康
耳の模式図

エレベーターで耳がキーンとする理由とは…耳という器官は上図のように、「外耳(がいじ)」、「中耳(ちゅうじ)」、「内耳(ないじ)」の3つの部分に大きく分かれます。音はこの耳の中をどのようにして伝わり、私たちはそれをどうやって言葉として認識しているのでしょうか。そのしくみをご紹介する連載第2回目は、「中耳」の働きについて解説します。

体の中で最も小さい3つの骨が音を増幅

外耳(がいじ)」と「中耳(ちゅうじ)」は「伝音部」とも呼ばれ、音の振動を内へと伝える働きをしています。外耳と中耳とは鼓膜で仕切られていて、鼓膜より奥にある空間を中耳と言います。

中耳には「ツチ骨」「キヌタ骨」「アブミ骨」という、体の中でいちばん小さい3つの骨(耳小骨:じしょうこつ)がつながっており、耳小骨連鎖と呼ばれています。鼓膜にはツチ骨の長い突起がくっついており、アブミ骨の底板(アブミ骨底)は内耳との間の窓のような部分にはまっています。

外耳から伝達された音は、鼓膜をふるわせ、耳小骨連鎖を通じて内耳へと伝わります。このとき音は増幅していくため、元の音(振動)よりも大きくなって効率よく内耳へと伝えられます。

エレベーターで耳がキーンとするのは中耳の気圧トラブル

中耳の中は空洞になっており、耳管という細い管を経由して鼻に通じる出口があります。普段は閉じていますが、物を飲み込むときには開きます。これによって中耳に空気が出入りし、鼓膜で隔てられた外耳と中耳の空気圧が等しくなるように調節されます。

エレベーターやトンネルに入ったときに耳が詰まるように感じたり、飛行機内で耳が痛くなったりするのは、大気圧と中耳の気圧に差が生じて、鼓膜が押し込まれたり引っ張られたりするためです。

外耳から中耳への音の伝達は、大気と中耳の気圧に差がなく、鼓膜が基本位置にあるときが最も効率的です。中耳内に何かトラブルが起きて圧力が高くなったり低くなったりする場合、またはその他の特定の条件があるときは鼓膜が自由に動くことができず、音がきちんと伝わりません。そのため風邪をひいたときなどには、音がいつもと違って聞こえる場合があります。

中耳に最も多いトラブルは中耳炎です。中耳炎は細菌やウイルスの感染によるもので、一般的な感染症または風邪などによって引き起こされます。特に小さな子どもに多く、2歳までに約9割の子供が、1度は中耳炎を経験しているとされています

中耳炎になると鼓膜の自由な動きが妨げられ、音の振動が正常に内耳に伝わらなくなることがあります。

この他、中耳のトラブルには鼓膜に穴が開いてしまう、耳小骨連鎖が離断するなどの物理的な障害が起きることもあります。

このような中耳の障害は、程度の差はありますが、音の伝達にも悪影響をおよぼす可能性があります。といっても、このタイプの難聴は症状を改善することが可能である場合がほとんどです。原因が取り除かれればほぼ完治する場合が多いので、心当たりがある場合はすぐに病院を受診されてください。

  • 記事投稿者

    ヘルシーヒアリング編集局

    ヘルシーヒアリング編集局

    1. ポータルサイト「ヘルシーヒアリング(healthyhearing.jp)」の運営
    2.「安心聞こえのネットワーク」連携サポート

  • 記事監修者

    高島 雅之先生

    『病気の状態や経過について可能な範囲で分かりやすく説明する』ことをモットーにたかしま耳鼻咽喉科で院長を務めている。■詳しいプロフィールを見る■

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