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難聴とうつ

  • 公開日:2023.12.15
難聴
メンタルヘルス

耳の聞こえが低下してきていても、「補聴器はまだいいかな」「大げさ」などと感じて補聴器の使用を先延ばしにしてしまう方は少なくありません。しかしながら、難聴は「うつ」の発症リスクも高くなることがわかっています。今回は、難聴と心の健康との関係について解説します。

加齢性難聴とメンタルヘルス

加齢に伴って生じる難聴は、誰にでも起こりえるものです。難聴の現状と、メンタルヘルスへの影響についてご紹介します。

加齢による聞こえの低下は40代から

聞こえの低下は、皆さんが思っているよりも早く始まります。一般的な経過について、年代別にみていきましょう。

40代ごろから、日常生活に支障のない範囲での聴力低下が少しずつ生じるようになります。高い音から聞き取りにくくなることが多いですが、まだ自覚するほどの聴力低下にはなりません。

60代ごろからは、聞こえにくさを自覚するレベルの聴力の低下が始まります。これは軽度難聴に該当します。国立長寿医療研究センターでおこなわれた調査によると、60代では約40%、80代では約80%の方に、程度の差はあれど難聴があるそうです。「聞こえ」の問題は、誰にとっても関わりのあるものといえます。

最近では、ヘッドホンなどを使って日常的に大音量で音楽などを聞く人も増えていることから、若い方での難聴も問題となってきています。

軽い難聴でもメンタルヘルスに影響あり

今回は、難聴がメンタルヘルスに与える影響に着目し、現在までにわかっていることをご紹介します。

調査

アメリカで、約4,000人の難聴者を対象として、過去1年間にうつ(気持ちの落ち込み)や不安、気持ちの不安定さなどを感じた事があるかについて、調査がおこなわれました。

調査によると、難聴が進行している人ほど、うつ(気持ちの落ち込み)や不安、気持ちの不安定さなど、あらゆる精神的な不調を感じる割合が多くなるという結果でした。

中でも注目したいのは、補聴器の有無による症状の差です。

うつ症状を感じた人と自分の健康状態を「とてもよい」と感じている人とを聴力低下の度合いによって、対象者を軽度〜高度までの5段階、かつ補聴器のあり・なしで分けてそれぞれの割合を以下に示します。

<うつ症状を感じた人>

軽度
(1)

(2)
中等度
(3)

(4)
高度
(5)
補聴器あり 11% 10.1% 16% 20.8% 27.7%
補聴器なし 18.7% 19.8% 26.7% 31.7% 33.7%

<健康状態が「とてもよい」と感じている人>

軽度
(1)

(2)
中等度
(3)

(4)
高度
(5)
補聴器あり 56.3% 46% 49.5% 43.4% 34.3%
補聴器なし 43.7% 44.8% 26.7% 36.3% 19.1%

補聴器をつけていない人は、つけている人と比べて、軽度の聴力低下であってもうつ症状を感じやすいようです。また、自分は健康だと感じられない人の割合も、補聴器をつけていない人の方が高いという結果でした。

うつ症状は、対応せずに放置していると「気分が落ち込んだ状態が当たり前」となってしまい、症状が治りにくくなることがわかっています。

難聴の程度が軽い段階から、補聴器でしっかりと聞こえをサポートすることで、心の健康を保つことに繋がります。聞こえに違和感を覚えたら、早めに耳鼻科で検査をしてみましょう。

難聴の予防・発見のために

難聴は、軽度の段階からしっかりと対処することが大切だとお伝えしました。予防や、早期発見のためには、何に気をつければよいでしょうか?

難聴の予防として、以下の点を意識してみてください。

生活習慣病の管理

たとえば、糖尿病の方はそうでない方より2倍も難聴になりやすいことがわかっています。高血圧や脂質異常症など、動脈硬化を進行させる病気も、難聴のリスクです。動脈硬化によって耳の神経や血流に障害が起こり、難聴をきたすと考えられています。

適度な運動

ランニング

無関係と思われるかもしれませんが、適度に運動することも難聴予防になります。運動によって体全体の老化が抑えられることや、血流が維持されることなどが、耳の聞こえにもよい影響を与えているようです。

禁煙

タバコは、本数が多いほど、喫煙をしている年月が長いほど、難聴のリスクを高めます。禁煙して5年以上経過すると、難聴のリスクは非喫煙者と同じにまで回復するので、「もう遅い、意味がない」と思わず、今からでも禁煙をご検討ください。

大きい音にさらされる時間を短くする

工事現場やライブ会場など、大きな音のなる場所で長時間過ごしている方は、早い年代から難聴をきたしやすいことがわかっています。「イヤーマフ」などを着用し、音の刺激を減らすことが大切です。音を感じる「有毛細胞」は傷つくと再生しないため、意識して守る必要があります。

聞こえの悪化に早く気がつくため、日常のちょっとした違和感を見逃さないようにしましょう。以下のような兆候があれば、聴力低下のサインかもしれません。

  • 喫茶店などザワザワしたところで会話が聞こえにくい
  • 電話で声が聞き取りにくい
  • テレビの音量が大きいと指摘された
  • 聞き返すことが増えた
  • 電子レンジや洗濯機の音が聞こえない時がある
  • 後ろから呼びかけられると気が付かないことがある

まとめ

今回は、難聴がメンタルヘルスに影響を与えることをお伝えしました。高齢になると、程度の差こそあれ、多くの方に難聴が生じます。早いうちに補聴器で聞こえをサポートすることで、精神面への悪影響を抑えることが可能です。

日頃から、難聴にならないように耳に優しい生活を意識し、聞こえの違和感があれば耳鼻科を受診するようにしてください。

  • 記事投稿者

    中山 アユム

    森崎アユム

    「誰もが自分の体をいたわれる社会」を目指し、薬剤師として勤務する傍ら、わかりやすい情報発信を心がけています。

  • 記事監修者

    若山 貴久子 先生

    若山 貴久子 先生

    1914年から100年以上の実績「若山医院 眼科耳鼻咽喉科」院長。■詳しいプロフィールを見る■

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