2018.11.26公開

口腔ケアが聞こえにもたらす良い影響とは?

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健康な歯の輝きは魅力的な笑顔を作りますが、口腔ケア(オーラルケア)、すなわち歯や口の中を健康に保つ習慣があなたの聞こえまでを守るかもしれないということをご存知でしょうか? 口腔ケアがどのように難聴を防ぐことができるのか、その関係の理解は少し難しく感じるかもしれませんがこのような説明ではどうでしょうか? 口腔ケアが十分でないことによって有害な細菌が発生する可能性があり、これらの細菌が血管に入りこむことによっては、耳や脳、すなわち健康な聞こえにとって大切な動脈や血管の炎症や狭窄を引き起こすリスクにつながるということです。

聴覚はどのように働いているのでしょうか?

外から見える耳の部分、外耳は耳介とも呼ばれ、音を集めて外耳道を通じて鼓膜を通り中耳へと伝えます。内耳には聴覚すなわち聞くための感覚器官(蝸牛)および平衡バランスのための感覚器官があります。音が中耳に到達すると有毛細胞(ステレオシリア)が刺激され音は電気エネルギーへと変換されます。人の髪の毛のようにも見えることからこの名がついた有毛細胞とは、音が持つ意味を脳が認識できるように電気信号に変えて聴神経を介して脳に音の情報を届ける働きをする感覚細胞です。もう一つお伝えすべきは、音が持つ意味を理解しているのは脳の働きということですが、ここではもうしばらく有毛細胞の働きについてお伝えしていきましょう。

これらの有毛細胞は、過剰な騒音への暴露、難聴を引き起こす薬物の摂取、また内耳の微小血管への血流低下を含む様々な要因によって損傷を受ける可能性があります。有毛細胞はいったん損傷を受けると再生ができない細胞でもあり、難聴の発症へとつながります。有毛細胞の減少といったことは私たちが年齢を重ねることでも自然に起こりますが、口腔や歯の健康がきちんと保たれていないといった要因によっても加速される可能性があります。

口腔の健康と難聴との関連

聞こえの健康は、蝸牛(かぎゅう)へ豊富な血液供給にもかかっています。形状がカタツムリに似ていることでも知られている蝸牛は、音を感じるセンサーの役割をしています。蝸牛では、伝えられた音量や音質を分析し、その情報を電気エネルギーに変えて聴神経へと伝える役割をしています。

聴覚における血液の循環は非常に重要であり、心臓の健康もまた聴覚の健康と関連しています。米国ハーバード大学医学大学院の発表によると、心疾患と口腔健康との直接的な関連性の確立は難しいとする一方で、研究者たちは口腔の健康状態が良くないことはと血液の循環の妨げにつながる可能性があることを認めています。*1 歯の感染症や歯周病は、心臓病、心臓発作や脳卒中の発症につながる可能性を指摘するとともに、口からの細菌によっては、血流を妨げ、全身に関係する血液の凝固につながる炎症を引き起こす可能性があるとしています。

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良いお知らせは、これらの習慣を日常的なものにしていただくことで、適切な口腔衛生が比較的簡単に保てるというものです。

  • 6ヶ月に1回、歯科医または歯科衛生士の診察を受け専門家による歯のクリーニングを依頼してください。
  • 歯を十分に磨く:少なくとも毎日2回、1回ごとに2分の時間をかけて歯を磨いてください。
  • 歯の隙間やそして歯の裏側にフィットするような十分小さいサイズの歯ブラシを選択します。
  • デンタルフロスや歯間ブラシなどを併用しましょう。適切なサイズの選び方や使い方について歯科医や歯科衛生士に助言を求めましょう(丁寧に指導してくれます)。
  • 歯ブラシは誰とも、家族であっても共有しないでください!
  • ブラッシング後、ブラシをすすぎ、風通しの良い場所で乾かしてください。
  • 3~4ヶ月ごとに歯ブラシを交換してください。

本記事では、「口や歯を健康に保つことと健康な聞こえとの関係」は、私たちの健康のさまざまな側面がどのように相互に関係をしているのかを示す例の一つにすぎません。日本歯科医師会では、HPにおいて「高齢になっても豊かに楽しく過ごしていただくために、いつまでも自分の歯で、自分の口から食事をとることが最も大切なことであると考えて、診療所や地域におけるいろいろなお口の健康を保持・増進する活動によって8020運動を推進しています。」と述べています。この8020運動とは、1989年に厚生省(当時)と日本歯科医師会が推進を開始した「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動を指します。日本歯科医師会のHPでは『「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」との願いを込めてこの運動 が始まりました。』としています。幼児期から高齢者に至るまで、人生におけるそれぞれのライフステージで健康な歯を保つことの重要性についても触れられています。健康全体に気を配ることは、より健康で人生をフルに楽しんでいただく一助となります。口腔ケアと共に最近聞こえの状態が以前と異なるといったことがあればどうぞ耳鼻科を受診ください。また聴力の低下があると診断を受けた場合でも聞こえの改善のためにたくさんできることがあります。補聴器といった聞こえのサポートについてはこちらからもご相談いただけます。

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ヘルシーヒアリングジャパン編集局


■参照文献・サイト

*1 米国ハーバードヘルス出版ハーバードメディカルスクール(英語版)
Heart disease and oral health: role of oral bacteria in heart plaque

日本歯科医師会HP

歯は全身の健康の原点 - 8020推進財団

 

■本記事について

本記事は米国Healthy Hearingにて掲載された記事を、一般的な情報提供を目的として意訳、また日本国内の事情に沿うように加筆再編成したものです。本記事のコピーライトはhealthyhearing.com及びheatlhyhearing.jpに帰属します。本記事内に掲載された名称は、それぞれ各社の商標または登録商標です。また、出典や参照元の情報に関する著作権は、healthy hearingが指定する執筆者または提供者に帰属します。

 

■英語版記事はこちらから

米国「HealthyHearing」2018年3月15日の記事「Don't let hearing loss take away the sounds of the season」