2019.04.01公開

あなたにぴったりの補聴器を届けるために、聴覚の専門家ができることとは?

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補聴器を購入する際には、聴覚の専門家へ足を運びます。そこでは補聴器の専門スタッフが迎えてくれます。彼らの役割を例えるなら、テーラーメイドの紳士服をあつらえる仕立屋です。仕立屋を訪れる方の身長、体重が一人ひとりで異なるように、補聴器を買い求める方の聞こえも個人差があります。あなたの聞こえに合わせた補聴器は、一日を通じて快適に装用できる上にとても聞き取りやすく、あなたの生活の質(QOL)を向上してくれることでしょう。聴覚の専門家や補聴器の専門スタッフは補聴器に関して研鑽を重ねており、あなたの聞こえの状態や好み、そしてライフスタイルを考慮した最適な補聴器を仕立ててくれます。

 

あなたの聞こえにぴったりと合った補聴器を届けるために

聞こえの状態には個人差があります。例えば年齢を重ねたことで起こる加齢性難聴は、一般に高い音から聞こえにくくなりますが、どのようなことばが聞き取りにくくなるかは一人ひとりで異なります。聴覚の専門家や補聴器の専門スタッフは、その方ごとに異なる聞こえづらさを改善すべく補聴器選びを行っていきます。これは仕立屋がオーダーメイドでスーツを仕立てるのと似ており、補聴器の調整はフィッティングとも呼ばれます。

あなたの聞こえにぴったりと合った補聴器を手にするために、あらかじめ耳鼻咽喉科にて聴力検査を受けることは大切です。耳鼻咽喉科における聴力検査では、難聴の程度やまたどのような高さの音が聞こえづらいのかなどが分かります。この聴力検査の結果は、オージオグラム(聴力図)と呼ばれる図で表します。耳鼻咽喉科では聴力はもちろん、耳の状態やあなたの難聴の種類や原因などについても説明を受けることができます。

聴覚の専門家や補聴器の専門スタッフは、オージオグラムに基づいて聞き取りを改善できるだろう補聴器を何種類か選び出します。
難聴の症状が個々で異なるのと同様に、一つの補聴器があらゆるタイプの難聴に対処できるわけではありません。例えば高~重度難聴と呼ばれる重篤な難聴がある場合は、補聴器での音の増幅時に起こりがちなハウリング(補聴器本体から発せられるキーンという音)をしっかりと抑える高精度なハウリング管理機能を備えた補聴器を選ぶことが求められます。

オージオグラムから片耳だけに補聴器を装用するか、または両耳に補聴器装用するべきかどうかも判断できます。通常、聴覚の専門家は両耳に聴力の低下がみられた場合、両耳の補聴器装用を勧めます。その理由に、聞こえにおける耳と脳との関わりがあります。耳は音を集めて脳へ送る役割を持ち、脳は届いた音の意味を理解する役割を持ちます。つまり耳と脳は協調して働いているのです。両耳への補聴器装用では、音の位置を特定し、会話を理解し、音の大きさの知覚を高めることを助けます。
 

好みに合った補聴器を選びましょう

57-7鼻には高い・低いがあるように、耳にもさまざまな形・大きさがあります。そして、補聴器にもさまざまな種類や形状があります。聴覚の専門家は、あなたが求める音質を提供できるかだけでなく、耳にしっかりとフィットし、快適に装用できるかを確認していきます。

形状についてはどうでしょう。聴覚の専門家や補聴器の専門スタッフは、お客様との対話を通じて好みやニーズに応じた形状を選んでいきます。手先の器用さなども確認のポイントです。

中にはできるかぎり小さな補聴器を好む方もいます。耳穴の中に入れて使う耳あな型補聴器の中で最小サイズのCIC(シーアイシー)は、外耳道内にすっぽりと収まるため極めて目立たちにくい製品です。ただ小さなサイズの補聴器は目立ちにくい分だけ、妥協が必要となる部分があります。耳あな型補聴器は使う電池のサイズが小さいため、頻繁に電池交換をする必要があります。また本体サイズも小さいため、音量調節ボタンや補聴器のプログラムを切り替えるボタンをつけるスペースを確保できない場合があります。

一方で、扱いやすく手入れのしやすい補聴器を好む方もいます。耳かけ型補聴器では補聴器本体は耳の後ろにかけ、また音の出口に当たる耳栓部分を耳の中に入れて使います。耳あな型の補聴器と比較すると周囲の人には少し見えやすいタイプの補聴器ですが、小型で目立ちにくいタイプの製品もあります。
例えば、耳かけ補聴器は音量やプログラムを切り替えるボタンが大きくて使いやすく、電池も容量の大きなものを使用できるため経済的です。また本体サイズが大きいため、より大きな回路を搭載することができ、さまざまな機能を使用できるというメリットがあります。

最終的にご自身の好みと聴力にあった補聴器の形状を選び購入した後も、聴覚の専門家や補聴器の専門スタッフとの二人三脚は続きます。補聴器を使い始めて何回かは調整が必要です。調整を行った施設の環境は、自宅や職場などといった毎日を過ごす環境とは異なります。新しい補聴器を着け始めてしばらくは、「補聴器がどんな時に役立ったか、一方どんな場面では再調整が必要か」などメモを取ってみてください。より細かい記録があればあるほど、再調整時にこれらの情報を活用することができます。あなたの好みに合うよう補聴器の調整を行っていく際には、ご自身からの情報提供が欠かせません。
 

ご自身のライフスタイルについて、また予算についてもどんどん質問してください。

聴覚の専門家や補聴器の専門スタッフにとって、あなたのライフスタイルや予算に関する情報は、できるだけ良い補聴器を探し出す重要な手がかりとなります。もしかしたら考えていた予算で、掘り出しものの製品を見つけられるかもしれません。価格が問題となる場合は、購入方法や支払い方法についての選択肢についても質問してみると良いでしょう。

予算に関する情報に加えて、ご自身のライフスタイルや補聴器に対する希望について率直に伝えてください。これからも続けていきたい楽しみたいやこれから経験してみたいこと、また趣味や習い事などについてもお話すると良いでしょう。聴覚の専門家や補聴器の専門スタッフは、お話を通じて得た情報をもとに、ライフスタイルに合わせた補聴器選びをサポートします。

テーラーメイドで仕立てた服が、素晴らしい着心地であなたを輝かせるのと同様に、あなたにぴったり合わせた補聴器はそれ以上のメリットを提供します。難聴に適切に対処していくことは、健康維持や長生き、そして生活の質(QOL)の向上に役立つということが研究によって示されています。補聴器について相談したいことがありましたら、こちらから簡単に補聴器専門店を探すことができます。本サイトからも先進の補聴器やお近くの店についての情報をお知らせすることができます。どうぞお気軽にお問い合わせください

ヘルシーヒアリングジャパン編集局


■本記事について
本記事は米国Healthy Hearingにて掲載された記事を、一般的な情報提供を目的として意訳、また日本国内の事情に沿うように加筆再編成したものです。本記事のコピーライトはhealthyhearing.com及びheatlhyhearing.jpに帰属します。本記事内に掲載された名称は、それぞれ各社の商標または登録商標です。また、出典や参照元の情報に関する著作権は、healthy hearingが指定する執筆者または提供者に帰属します。
 

■英語版記事はこちらから
米国「Healthy Hearing」2019年1月14日の記事「How an audiologist recommends the perfect hearing aids for you by Debbie Clason」(Debbie Clason 寄稿)
 


記事監修:
新田 清一 先生
済生会宇都宮病院 耳鼻咽喉科 診療科長, 聴覚センター長
 
鈴木 大介 先生
済生会宇都宮病院 耳鼻咽喉科 言語聴覚士