2019.12.25公開

うるさい場所でも聞けるのは何故でしょうか?

パーティ

がやがやとした場所で、たくさんの人が一斉に話をしているのにも関わらず、誰かがあなたの名前を呼ぶと、それに気づくことができるのはなぜと不思議に思ったことはありませんか?非常に賑やかな場所など難しい聞こえの場面でも聞くことができる能力、これは私たちの耳と脳との緊密な連携の結果であり、長きにわたって研究者たちを魅了してきました。

米国ペンシルベニア大学ペレルマン医学大学院でおこなわれた研究では、この現象の背後にどのようなメカニズムがあるのかについて研究しました。

ことばを理解できることは、人の進化にとって不可欠なことです。私たちの聴覚は、同じ単語が、異なる速さや高さで話された場合でもこれを捉え理解することができ、予期せぬ音の発生に対してはさらに敏感に反応します。同大学のこの研究により、聴覚器官の欠かすことのできない重要な機能が脳によってどのように管理されているかが明らかになりました。

音の情景の中の優先順位付け

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周囲の聞こえの情景を理解するためには、脳は、実際にどの音が自分に関連しているのかを区別する必要があります。同大学の研究チームは、脳内の「刺激特異的順応 stimulus-specific adaptation:SSA」として知られる知覚反応が、雑踏でも自分の声を呼ばれたらこれを捉えられる、このプロセスがどのように機能しているかを探るパズルの重要なピース(手がかり)になり得ることを発見しました。

「このような基本的な聴覚プロセスの根底にあるメカニズムを理解することは、私たちが日常生活でどれだけ聴覚に依存しているかを理解することはとても重要です」とこの研究の執筆者であるマリア・N・ゲフェン博士は述べています。

順応とは、耳や目といった人の感覚器で起こる反応低下を指します。「刺激特異的順応」は、他の感覚にも影響を与えます。「刺激特異的順応」では、その音が何であるか予想できる音として知覚されるものに対しては、脳が反応を積極的に低下させます。

このことは、車のブレーキのきしみ音や誰かが自分の名前を呼んでいるといった、予想外の、しかし潜在的に重要な音の発生に対して脳は非常に敏感に感度を高めることを意味します。

「日常会話では、私たちは会話のやり取りを続けながら、誰かが自分の名前を呼んだらこれを同時に認識したいのです」とゲフィン博士は説明します。

耳に手を当てる女性 しかし、難聴を抱える人々にとっては、こうしたことが出来ないために日常のさまざまな聞こえの場面をスムーズに過ごしていくことがますます困難になり、一部の音は聞き取りの妨げとなる背景騒音の中で失われてしまいます。幸いなことに、この問題に対して、補聴器を利用して解決する方法があります。

いつもと聞こえが違うと感じたら、耳鼻咽喉科を受診ください。また、定期的な医療機関での聴力検査は、耳の健康状態や現在の聞く力を知る目安となります。もし難聴があることが分かっても多くの場合、補聴器をはじめとする聞こえのサポートを得ることができます。当サイトで補聴器についてや最寄の販売店についてご案内することも可能です。

参考文献;University of Pennsylvania, Penn Medicine Researchers Discover Hidden Brain Pathways Crucial to Communication. Accessed November 25, 2015.

https://penntoday.upenn.edu/news/penn-medicine-researchers-discover-hidden-brain-pathways-crucial-communication


■本記事について
本記事はDemantグループの傘下にある補聴器ヘルスケアグループAudikaが提供しNew Zealand Audikaの運営するHearing news Blogにて掲載された記事を、一般的な情報提供を目的として意訳、また日本国内の事情に沿うように加筆再編成したものです。本記事のコピーライトはhealthyhearing.com及びheatlhyhearing.jp及びAudika NZに帰属します。本記事内に掲載された名称は、それぞれ各社の商標または登録商標です。また、出典や参照元の情報に関する著作権は、healthy hearing及びAudikaが指定する執筆者または提供者に帰属します。

■英語版記事はこちらから
ニューランドAudika、Hearing News Blog、2019年4月19日掲載記事「How are we able to hear in difficult listening situations?

記事監修:
白石 君男 先生

九州大学 名誉教授、福岡大学医学部 客員教授、一般財団法人曽田豊二記念財団 代表理事、
医療法人永聖会 松田病院 言語聴覚士