「補聴器の買い替えに補助金は利用できる?」 「条件や手続きは通常とは異なる?」 補聴器の買い替えの際に補助金は利用できます。ただし、制度ごとに補助金の利用の条件が異なるため確認が必要です。 本記事では以下について解説します。
- 買い替えで利用できる補助金の種類と条件
- 補助金で補聴器を買い替えるまでの流れ
- 買い替えの対象となる補聴器
- 補聴器を買い替えるタイミング
補聴器に不具合があり買い替えを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
なお、当社では、補聴器専門店のご紹介を承っております。買い替えのために補聴器専門店を紹介して欲しい方や店舗で補聴器を試してみたい方は、こちらからお申込みください。
補聴器の買い替えで利用できる補助金の種類と条件
補聴器の買い替えには、費用負担を軽減できる複数の補助制度があります。自分の状況に合った制度を選ぶことで、自己負担額を抑えられる可能性があります。
利用できる主な補助制度は以下の3つです。
- 補装具費支給制度
- 医療費控除
- 各自治体の補助制度
それぞれの制度は対象となる条件が異なります。
以下で詳しく解説します。
補装具費支給制度
補装具費支給制度とは、障害者総合支援法にもとづいて国が定めた公的支援の制度です。聴覚障害によって身体障害者手帳の交付を受けた方が対象です。
厚生労働省が定めた購入基準額の範囲内であれば、原則として自己負担額1割で補聴器を購入できます。
自己負担額には、所得に応じた上限が以下のように設けられています。
| 所得区分 | 自己負担上限月額 |
|---|---|
| 一般課税世帯 | 37,200円 |
| 住民税非課税の低所得世帯 | 0円 |
| 生活保護世帯 | 0円 |
なお、身体障害者や配偶者のいずれかの住民税所得割額が46万円以上の場合は、制度の対象外となるため注意が必要です。
買い替えで利用できる条件
補装具費支給制度を補聴器の買い替えで利用するには、前回の補聴器購入から5年以上が経過していることが基本的な条件となります。5年という期間は、厚生労働省が定める補聴器の耐用年数です。また、聴覚障害によって身体障害者手帳を取得していることが前提です。
手帳の取得には、以下のいずれかの聴力基準を満たす必要があります。
- 両耳の聴力レベルが70デシベル以上
- 片耳の聴力レベルが90デシベル以上、かつもう一方が50デシベル以上
- 両耳による言葉の聞き取り正解率(語音明瞭度)が50%以下
前回の補助から5年が経過しているかどうかを確認したうえで、お住まいの市区町村の福祉課窓口に相談してください。なお、たとえ耐用年数の5年が経過していなくても、個々の使用環境によっては、対象となることもあります。
医療費控除
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が10万円を超えた場合に、確定申告を行うことで所得税の一部が還付される制度です。年金収入がある方でも、非課税世帯に該当しない場合は利用できます。
ただし、補聴器の購入費を医療費控除の対象にするためには、以下を満たす必要があります。
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会に認定された「補聴器相談医」を受診する
- 医師から補聴器が医療上必要であると判断される
- 補聴器相談医から「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」の交付を受ける
また、医療費控除を受けるには、認定補聴器専門店または認定補聴器技能者が在籍する販売店で補聴器を購入する必要があります。
なお、総所得金額が200万円未満の方は、10万円ではなく「総所得金額の5%」を超えた分が控除の対象となります。
買い替えで利用できる条件
補聴器の買い替えで医療費控除を利用するには、補聴器相談医を受診し、買い替えに際しての「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」を交付してもらう必要があります。
また、再購入の場合は診療情報提供書の特記事項に以下のような記載が必要です。
- 「医師等による診療や治療を受けるために直接必要」へのチェック
- 特記事項欄への紛失や故障に関する追記事項の記載
最終的に医療費控除の対象となるかどうかは、管轄の税務署の判断となります。
各自治体の補助制度
全国の各市区町村が独自に設けている補聴器購入費の補助制度も、選択肢の1つです。一般社団法人日本補聴器販売店協会の調査によると、補聴器購入費の助成制度を実施している自治体は237にのぼります。
この補助制度の特徴は、障害者手帳を取得するほどの聴力低下がない方でも利用できる場合がある点です。補助金額や対象年齢、所得基準などは自治体によって異なりますが、主に65歳以上の高齢者を対象として設けられているケースが多く見られます。
東京都23区の事例では、1台あたりの補助上限額が20,000円〜140,000円と、自治体によって大きく異なります。
出典:全国の自治体における補聴器購入費助成制度の実施状況 一般社団法人日本補聴器販売店協会買い替えで利用できる条件
自治体の補助制度を買い替えで利用できるかどうかは、各自治体の規定によって異なります。多くの自治体では「過去に同じ制度を利用していないこと」を条件の1つとして設けています。
主な共通条件の一例は以下の通りです。
| 対象年齢 | 60歳以上または65歳以上が多い |
|---|---|
| 居住要件 | 申請する自治体に住民票があること |
| 難聴の程度 | 中等度難聴以上(医師の診断が必要) |
| 所得要件 | 課税・非課税によって助成額が異なる場合がある |
| 再申請 | 過去5年以内に同制度を利用していないこと |
各自治体によって条件が異なるため、お住まいの役所の福祉課窓口へ事前に問い合わせることをおすすめします。
補助金で補聴器を買い替えるまで流れ

補助金を利用して補聴器を買い替えるための手続きは、制度によって異なります。
利用する制度別の申請の流れをそれぞれ解説します。
- 補装具費支給制度の場合
- 医療費控除の場合
- 各自治体の補助制度の場合
補装具費支給制度の場合
補装具費支給制度の利用は、身体障害者手帳を取得していることが前提です。
以下の流れで手続きを進めます。
| ステップ | 詳細 |
|---|---|
| ①福祉課窓口へ相談 | お住まいの市区町村の福祉課窓口で買い替えに必要な書類(補装具費支給申請書・医学的判定意見書など)を受け取る |
| ②指定医を受診する | 耳鼻咽喉科の指定医に診察・検査を受け、医学的判定意見書を作成してもらう(診察料が発生する場合あり) |
| ③補聴器販売店で見積書を作成 | 意見書を持参し、障害者総合支援法に対応している補聴器販売店で見積書を作成してもらう |
| ④申請書類を提出する | 身体障害者手帳・申請書・意見書・見積書を福祉課窓口に提出する |
| ⑤支給決定通知書を受け取る | 審査後、自宅に「補装具費支給決定通知書」が届く |
| ⑥補聴器を受け取る | 決定通知書と自己負担分の費用を持参し、補聴器販売店で補聴器を受け取る |
注意点として、以下の点を事前に把握しておきましょう。
- 補助対象は原則として左右どちらか1個。両耳を希望する場合は、職業上や教育上の必要性があると認められる場合に限る
- 定められた購入基準額を超える補聴器を選んだ場合、差額はすべて自己負担になる。
必要書類や申請の流れは各市区町村によって異なる場合があるため、窓口で確認してください。
【関連記事】
【初めての方へ】障害者手帳による補聴器の補助金申請の7ステップ
医療費控除の場合
医療費控除を利用した補聴器の買い替えは、以下のような流れ進めます。
| ステップ | 詳細 |
|---|---|
| ①補聴器相談医を受診する | 補聴器相談医を受診し、補聴器が必要と診断された場合に「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」を作成してもらう |
| ②認定補聴器専門店で補聴器を購入する | 診療情報提供書を持参し、認定補聴器専門店または認定補聴器技能者が在籍する販売店で補聴器を購入する。購入後は領収書と診療情報提供書の写しを受け取り、紛失しないよう保管する |
| ③翌年に確定申告をする | 翌年2月16日〜3月15日の間に、医療費控除として確定申告を行う。申告方法は税務署窓口への持参・e-Tax(電子申告)・会計ソフトの3種類がある |
注意点として、以下の点を把握しておきましょう。
- 非課税世帯の方は、還付する税金がないため医療費控除の対象にならない
- 医療費控除を受けられるかどうかの最終的な判断は、管轄の税務署の判断となる
- 補聴器の電池代や修理費は控除の対象外である
【関連記事】
年金受給者向け|補聴器購入費の医療費控除を受けるまでの3ステップ
各自治体の補助制度の場合
自治体の補助制度を利用する場合の手続きの流れは、以下を参考にしてください。
| ステップ | 詳細 |
|---|---|
| ①自治体窓口へ相談する | お住まいの役所の福祉課窓口にて、条件を満たしているかどうかを確認し、必要な申請書類を受け取る |
| ②耳鼻咽喉科を受診する | 自治体が指定する医師のもとで診察・検査を受け、補聴器が必要と診断された場合は申請書内の医師記入欄に記載してもらう |
| ③申請書類を提出する | 医師の記入が済んだ申請書を窓口に提出する |
| ④交付決定通知を受け取る | 審査後、申請者に通知書が届く。補聴器は通知書が届いたあとに購入する |
| ⑤補聴器を購入する | 指定された認定補聴器専門店等で補聴器を購入し、領収書を役所に提出する |
| ⑥助成金の振り込み | 確定通知が届いたのちに、指定口座へ助成金が振り込まれる |
注意点として、以下の点を把握しておきましょう。
- 各自治体によって条件や補助額、対象となる補聴器の範囲が異なる
- 補聴器を交付決定前に購入してしまった場合は、補助の対象外となることがある
- 管理医療機器として認定されていない補聴器は対象にならない
買い替えのための補聴器専門店をお探しの方は、こちらから検索してください。
補助金で買い替えの対象となる補聴器
補助金で買い替えの対象となる補聴器の種類は、制度によって異なります。
例えば、補装具費支給制度の場合は、以下のように種類と購入基準額が定められています。
| 種類 | 購入基準額 |
|---|---|
| 高度難聴用ポケット型 | 44,000円 |
| 高度難聴用耳かけ型 | 46,400円 |
| 重度難聴用ポケット型 | 59,000円 |
| 重度難聴用耳かけ型 | 71,200円 |
| 耳あな型(既製品) | 92,000円 |
| 耳あな型(オーダーメイド) | 144,900円 |
| 骨導式ポケット型 | 74,100円 |
| 骨導式眼鏡型 | 126,900円 |
この購入基準額の範囲内であれば、原則1割の自己負担額で購入できます。
医療費控除の場合は「一般的に支出される水準を著し く超えない部分の金額」とされています。自治体の補助制度に関しては、管轄の市区町村のホームページや窓口から確認してください。
買い替えのタイミングは、以下のような症状が補聴器に出ている場合です。
- 音が聞こえたり聞こえなかったりする
- 電源を入れると雑音が聞こえる
- 空気電池を交換しても音が聞こえない
- 以前よりも音が小さくなった
- ハウリングが鳴り続ける
- 音量の調整ができない
- 装用すると耳が痛い
これらの症状が出ていても、必ずしも買い替えのタイミングであるとは限りません。修理で改善できる場合もあるため、まずは補聴器販売店の専門スタッフに相談することをおすすめします。
【関連記事】
補聴器の寿命(耐用年数)は約5年|寿命または故障が疑われる症状を解説
補助金を利用して補聴器の買い替えの出費を抑えよう

補聴器の買い替えで利用できる補助制度には、補装具費支給制度・医療費控除・各自治体の補助制度の3つがあります。補装具費支給制度は、身体障害者手帳を持つ方が原則1割の自己負担で購入できる制度です。
医療費控除は、補聴器相談医による診療情報提供書を取得し、認定補聴器専門店で購入したうえで確定申告を行うことで、所得税の還付を受けられます。各自治体の補助制度は、障害者手帳の取得基準を満たさない方でも利用できる場合があり、幅広い方に有効な選択肢です。
利用できる制度を正しく把握し、補助金を上手に活用することで、補聴器の買い替えにかかる自己負担を軽減できます。認定補聴器専門店または認定補聴器技能者が在籍する販売店で補聴器を購入することが、補助金の利用の条件となる場合があるため注意が必要です。
当社では、補聴器専門店のご紹介を承っております。補聴器専門店を紹介して欲しい方や店舗で補聴器を試してみたい方は、こちらからお申込みください。
参考
厚生労働省 補装具の種目、購入等に要する費用の額の算定等に関する基準
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記事投稿者
吉沢仁(よしざわひとし)
看護専門学校を卒業後、病棟看護師として従事する。2021年からWebライターの活動を開始。医療・健康分野を専門にしており、生活習慣病や精神疾患、呼吸器疾患、循環器疾患、小児疾患などさまざまな分野で執筆経験がある。医療系の総執筆数は200本以上。現在は医療系メディアでSEOライティングを中心に対応中。