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難聴についてのよくある5つの都市伝説

  • 公開日:2017.12.25
難聴
聴力のイメージ

聴覚の医療は、過去10年間で大きな発展を遂げました。けれど難聴については未だに多くの誤解が存在しています。たとえば…難聴は高齢の方のみに発症すると思っていませんか? もしもあなたが難聴になったら、定期健診などで医師が教えてくれる?補聴器をつけることで正常な聴力をとり戻せる?片方側の耳の聞こえが悪くなっても健康には影響がない? 難聴は老化よるものだから治す手立てはない?…もしも上記5つのいわば“都市伝説”を信じているとしたら、ぜひ視点を変えてみてください。思い違いや誤解によって、健康な聞こえが妨げられる、あるいは私たちが本来持っている“聞く力”を発揮できないとしたら、あなたにとっても、社会にとっても損失です。

都市伝説①難聴は高齢者のみに起こること

難聴はどの年代にでも起こりうる可能性があります。アメリカでは、国内の総人口のうち、約20%にあたる4,800万人に、何らかの難聴があることが報告されています。さらに毎年アメリカ国内の新生児1,000人のうち5人が生まれつきの難聴です。

難聴は、薬物、環境、疾患、遺伝といった数多くの要因によっても引き起こされるほか、原因不明という場合もあります。

若くても難聴を発症することがあります。もっとも一般的な原因のひとつが「騒音性難聴」で、アメリカでは20歳~69歳の約2,600万人がこの問題を抱えているとされています。

騒音性難聴は、コンサートや工事現場などで、長時間にわたり騒音にさらされることによって起こる聴力の低下のことを指します。「アメリカ疾病予防管理センター(CDC)」によると、12歳から19歳までの若者の実に16%において、騒音に起因した難聴の可能性があることが報告されています。

都市伝説②定期健診で、聴力が低下している場合には教えてもらえるはず

聴力の問題は、「聞こえていますね?」といった定期健診でのやりとりやかかりつけ医を受診することで発見されるものと考えがちです。けれど実際は、聞こえに問題がある場合は、私たち患者のほうから「聞こえにくい」と医師に告げることが必要です。

定期健診で聴力検査を行わない場合、聴力の低下を発見することは困難です。かかりつけ医もまた、それぞれ専門分野が異なります。視力検査は眼科へ、歯科検診は歯科医院でそれぞれ通うように、聴力検査のためには定期的に耳鼻科を訪れる必要があります。

聴覚ケアの専門家である耳鼻科医は、聴力検査の実施、難聴の診断、および治療の処方にあたっての具体的な教育やトレーニングを受けています。聞こえが悪くなったと感じたら、地域の耳鼻科に予約を入れましょう。耳鼻科医と信頼関係を築くことで、自分にとっての心強い聞こえの専門家ができるというわけです。定期健康診断と同じように、1年に1回、定期的に聴力を調べることは問題の早期発見につながります。

都市伝説③一方の耳の聞こえが悪くても、もう片側はきちんと聞こえるから大丈夫

脳は不思議です。一方の耳の聞こえが衰えてくると、脳は少なくともある程度まで、その変化に適応しようとします。そのため、「聞こえが悪くなった」と自分で気づく前に、難聴が進行してしまう可能性があります。

補聴器が必要だと最終的に自覚するまで、難聴の程度について無関心だったと話す人は多くいます。定期的な聴力検査で、変化を確認することが大切です。

脳については他にも伝えるべきことがあります。それは、脳は聴覚と極めて密接に関わっているということです。音が脳に到達するまでの経路である「聴覚路」が傷つくなどした場合、難聴がそのまま放置されると、脳が特定の音を聞く方法を「忘れる」ことがあります。だからこそ定期的な聴力検査だけでなく、難聴と診断された時点ですぐにケアを行うことが重要になります。

難聴を放置することと、社会的な孤立、鬱、不安、認知症との関連についての研究結果も発表されています。聞こえが悪くなったことに気づいたら、ただちに聴覚医療専門家にかかりましょう。

都市伝④補聴器をつけると正常に聞こえるようになる

現代の補聴器には驚異的な技術が搭載されています。高感度のマイクは、会話に集中することができるように背後の雑音を除去。さらに先進の補聴器であれば、スマートフォンで補聴器のプログラムやボリュームを操作できるなど、多くの電子機器と連動しています。

ところが補聴器にできないことがひとつだけあります。それは、“聴力を正常に回復させること”。聴覚の機能についての理解は深まったものの、人間の聴覚を完全に複製できる人工機器は存在しません。

補聴器の働きに限界はあるとはいえ、補聴器は聞こえをサポートして、家族、友人、同僚とのコミュニケーションを高めさせることができます。活用するためには耳鼻科で現在の耳の状態を知ること、補聴器が必要となったら専門家に相談して、本来持っている「聞く力」を最大限に発揮できるようにしっかりと調整することが重要です。

都市伝説⑤難聴には手立てがない

難聴について聴覚専門家に尋ねたことはありますか?

外科手術、投薬治療、あるいは単に耳垢を除去することによって、難聴が改善されることがあります。聞いてみるまでは何もわかりません。また前回耳鼻科を受診したのはいつのことでしょうか? 最後の受診から数年が経っている場合は、もう1度受診をしてみるといいかもしれません。

聴覚医療の領域は、急速に変化しています。わずか数年前には処置が困難であった難聴が、今では治療可能となっているものもあります。

なにより信頼できる聴覚医療専門家を見つけることが最初のステップになります。ぜひ近くの耳鼻科を探してみましょう。また、補聴器販売店などでも聞こえについて相談することできます。


出典:米国「Healthy Hearing」2016年4月5日の記事「Top five myths about hearing loss」(Debbie Clason、スタッフライター寄稿)

※本記事は米国Healthy Hearingにて掲載された記事を、一般的な情報提供を目的として意訳、また日本国内の事情に沿うように加筆再編成したものです。本記事のコピーライトは healthyhearing.comに帰属します。本記事内に掲載された名称は、それぞれ各社の商標または登録商標です。また、出典や参照元の情報に関する著作権は、healthy hearingが指定する執筆者または提供者に帰属します。

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    ヘルシーヒアリング編集局

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