
「最近音が聞こえづらい」「会話が聞き取れなくて不便」など耳の聞こえに不安を感じたとき、頭に浮かぶ解決法の1つに補聴器の使用があります。しかし、いざ「補聴器を使ってみたい」と思っても、最初にどこに相談して、どういう流れで購入すればいいのかわからずお困りの方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では「補聴器の購入が初めて」という場合に気になる次の3つのポイントについて、詳しく解説していきます。
- 補聴器を購入する前にやっておきたいこと
- 補聴器専門店ではどんなことをするのか(来店から購入までの流れ)
- 補聴器専門店で相談・購入する際の注意点
はじめにこの3つをおさえておけば、お店に来店しても落ち着いてご自身の希望に合った補聴器を購入しやすくなります。さらに後半では、補聴器の選び方のポイントについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
【お店に行く前に】初めての補聴器を買う前にやっておきたいこと
補聴器は「使ってみたい」と思い立っても、前準備や下調べもなくいきなり購入するのはおすすめできません。補聴器は安易な購入によるトラブルも多いため、国民生活センターでは消費者へのアドバイスとして、購入前に次の2点を推奨しています。
お店に行く前に「耳鼻科」を受診して医師の診察を受ける
補聴器を使いたい場合はまず耳鼻科を受診し、本当に補聴器が必要かどうか医師の診察を受けます。自身では「聞こえが悪い」と感じても、耳鼻科で検査してみたら耳垢がたまっていただけだったり、中耳炎で治療が必要だったりするケースも実は少なくありません。したがって、自身の聞こえの悩みが本当に補聴器で解決できるのかを、専門家に相談することが大切です。
補聴器に関する専門的な技術や設備の整った販売店を探す
医師から補聴器の使用をすすめられたら、次は実際に補聴器を購入する販売店を探します。補聴器は医療機器なので、専門スタッフが在籍し設備も整った「認定補聴器専門店」、または「認定補聴器技能者」が在籍する店舗での購入がおすすめです。
補聴器専門店ではどんなことをする? 来店から購入までの流れ
ここでは、補聴器専門店に来店してから補聴器を実際に購入するまでの流れをステップごとにご紹介します。
ステップ①問診・カウンセリング
はじめに、聞こえに関する悩み(いつ・どんなときに困るのか)や補聴器を使用する目的(どこで使うか)などをスタッフに具体的に伝えていきます。耳鼻科の診断書がある場合は、そちらもあわせてスタッフに渡してください。補聴器の使用についてわからないこと・不安なことも遠慮せずにしっかり伝えていきましょう。
ステップ②聞こえ方の測定
次に、補聴器専門店では「オージオメーター」という測定器を使って聞こえ方を詳しく調べていきます。調べる内容は大きく次の2点です。
◆聴力測定(音の聞こえ具合)
「どれぐらい小さな音が聞こえるか」や聞こえ方の具合など、補聴器を調整するうえで必要な測定を行います。
◆語音明瞭度測定(言葉の聞き取り具合)
「ア」「キ」「シ」などの単音を用いて、どのくらい言葉が聞き取れるかを調べていきます。
ステップ③補聴器の選択・調整(フィッティング)
補聴器の使用目的や生活環境、予算などを参考に、自身に合う補聴器を選んでいきます。次に、その補聴器をパソコンに接続し、②の測定データをもとに専用のソフトを使って聞こえ具合を細かく調整する「フィッティング」という作業を行います。
ステップ④補聴器の試聴
③のフィッティングで細かく調整した補聴器も、店舗の試聴だけでは本当に使いたい場所で聞こえが良くなるかが確認できません。そこで補聴器専門店では、補聴器を一定の期間だけ貸し出す「試聴期間」を設けています。貸し出し期間中は、普段の生活環境や職場など色々な場所で補聴器を使ってみて、聞こえ方の変化や効果を確認してみましょう。
ステップ⑤補聴器の効果の確認
最後に、補聴器をつけた状態で聞こえ方を測定します。補聴器をつける前とつけた後で聞こえ方がどのぐらい変わるのか、本人の評価と測定器による評価で調べていきます。
ステップ⑥アフターケア
購入が決まったら、補聴器の取り扱いやお手入れの方法、電池の交換などの説明を受けます。補聴器は「購入したら終わり」ではなく、購入後も定期的に点検や調整が必要になるため、アフターケアについてもよく確認しておきましょう。
【安心して購入するために】補聴器専門店で相談・購入する際の注意点
補聴器専門店の来店に際しては、あらかじめ次の4つのポイントをおさえておくとお店での購入がスムーズに進みます。
ポイント①「聞こえの悩み」を書き出しておく
補聴器専門店に来店する前に、聞こえの悩みや補聴器を使用したい目的・場所などを整理しておきましょう。その際に「家族の会話を聞こえるようにしたい」「職場で使いたい」「電話がうまく聞き取れない」など、より具体的な内容を書き出しておくのがおすすめです。そうしておくと、相談やカウンセリングのときに自身の悩みや要望を相手に伝えやすくなります。
ポイント②おおよその「予算」を決めておく
補聴器の購入に際しては、あらかじめ「予算」を決めておくのもポイントです。補聴器の価格はメーカーや製品によって異なりますが、価格帯として多いのは10万円~30万円ほどで、高額なものでは50万円を超えるものもあります。お店ですすめられた高額な製品をよくわからないまま購入することがないように、ある程度の予算は決めておくほうがよいでしょう。
ポイント③来店前に電話で連絡しておく
補聴器の購入はカウンセリングや測定などにある程度の時間がかかってしまいます。したがって、来店前にあらかじめ店舗に電話で連絡しておくと、待ち時間も少なくスムーズに対応してもらいやすくなります。
ポイント④できれば家族や友人と一緒に来店する
補聴器専門店の来店に際しては、可能なかぎり家族や友人など第3者に付き添いをお願いしておきましょう。これは、色々な測定や製品の説明・試聴を繰り返すうちに疲れてしまい、説明を聞き逃したり忘れたりするのを防ぐためです。また、補聴器を使用していくうえでは周囲の理解や協力が必要なため、付き添いをお願いすることは本人と同行する方の双方にメリットは大きいといえます。さらに、一人では決めにくいことでも第3者の意見を聞くことで、正しい判断がしやすくなるでしょう。
補聴器の選び方のポイント
最後に、自分に合った補聴器の選び方のポイントを簡単にまとめます。より詳しい内容を知りたい方は以下のページをご参照ください。
使う「目的」や「場所」で選ぶ
補聴器は機種やグレードで備わる機能が異なります。実際に補聴器を使用する場所や状況、目的などをふまえ、それに見合った機能・性能なのかをチェックしてみましょう。
補聴器の「タイプ」で選ぶ
補聴器には「耳あな型」「耳かけ型」「ポケット型」の大きく3つの種類があり、それぞれに特徴やメリット・デメリットが異なります。補聴器の目的や使用環境と照らし合わせながら、どのタイプが自分にピッタリなのかもスタッフに相談してみましょう。
「価格・予算」で選ぶ
補聴器は一生ものではなく、その寿命は5年程度といわれているため、どこかのタイミングで買い替えが必要になります。その点もふまえ、価格や予算で補聴器を選ぶのもポイントの1つです。
「メーカー」で探す
同じような性能や価格の製品で迷ったときは「メーカー」で選んでみるのも方法の1つです。とくに補聴器が初めての場合は、世界シェアの高い有名メーカーのものを選ぶと安心でしょう。
まとめ
補聴器が初めての方は、最初に耳鼻科で補聴器が本当に必要かどうか医師の意見を聞いて購入を検討しましょう。実際の購入では「認定補聴器専門店」または「認定補聴器技能者」が在籍する店舗での購入がおすすめです。このような販売店では専門スタッフが聞こえ方や使用目的、予算に応じて購入をサポートしてくれます。
それでもやはり「初めてだから不安」という場合は、本サイトの『無料相談』を活用するのもおすすめです。ヘルシーヒアリングでは、補聴器に関するご相談やお近くの補聴器専門店のご紹介などを承っています。ご興味のある方は、ページ下の『無料相談』からお気軽にお申込みください。
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記事投稿者
影向 美樹
影向美樹(ようこう みき)/医療専門ライター。元医療従事者(国家資格保有)。健康・医療に関する正しい情報をわかりやすく、丁寧にお届けいたします。
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記事監修者
若山 貴久子 先生
1914年から100年以上の実績「若山医院 眼科耳鼻咽喉科」院長。■詳しいプロフィールを見る■