穏やかで過ごしやすくなる秋はスポーツやアウトドアの機会が多くなる季節です。補聴器を装着しながらのアクティブな活動は、補聴器の落下や汗による影響が心配されます。補聴器の落下対策や汗対策、補聴器のケア方法について知り、前もって補聴器を保護する対策をとりましょう。汗や埃に強い補聴器、風の音などに影響されにくい補聴器についてもご紹介します。
補聴器を落とさないための対策方法
補聴器を落とさないための対策方法として、補聴器用の落下防止アイテムの使用や、耳かけ型に比べて落ちにくい形状の耳あな型の選択が挙げられます。
落下防止アイテムの使用
スポーツ時に気をつけたいのが補聴器の落下です。落下による補聴器の破損や紛失対策として、補聴器用のストラップコードなどを付けて、補聴器の落下を予防する方法があります。
ストラップコード
補聴器にコードを装着して、衣服の後ろ襟などにクリップを挟み、補聴器が地面に落ちることを防ぎます。
イヤモールド
耳かけ型の補聴器の先に、耳の形状に合わせた耳栓を作成して、耳穴にフィットさせます。
イヤーバンド(ヘアバンド)
頭に通したバンドで耳に装着した補聴器を固定します。
耳あな型の補聴器の選択
耳かけ型の補聴器よりも、個人の耳の穴の形に合わせてフィットするように作成されている耳穴に装用する耳あな型の補聴器の方が落とす心配は少なくなります。ただし、補聴器の左右や向きが適切でなかったり、しっかり奥まで入っていない場合は外れてしまいやすくなるので、向きや方向を正しく合わせて奥まで入れる必要があります。※耳の形状などには個人差があるため、必ずしも耳かけ型より外れにくいとは限りません。
スポーツ中の汗への対策方法
汗が補聴器に影響する場合や、屋外でのスポーツ時に砂埃や突然の雨などが補聴器に付着することもあります。補聴器は精密機器ですので、水分や塵には弱く、対策が必要です。
補聴器のタイプは、日常的にスポーツに取り組まれている方には、額や頭皮から滴る汗で補聴器が濡れにくい耳あな型が好まれる傾向にあります。耳かけ型の補聴器の場合は、専用の汗カバーやイヤーバンドなどで汗が補聴器に侵入するのを予防する方法があります。そのほかにも、あらかじめ、防水・防塵機能の付いた補聴器を選択するのもひとつの方法です。
スポーツ後は補聴器に水分や湿気が残らないようやわらかい布などで汗をよく拭いていただき、就寝する際には乾燥ケースなどで乾かすようにしましょう。
補聴器の防水防塵性能の見方
補聴器のカタログに記されている「IP〇〇(数字)」は塵や埃と水に対する保護等級を表していて、数字が大きくなるほど、保護性が高くなります。
IPに続く1つ目の数字は0~6までで埃や塵に対する保護等級を表しています。
- 「5」は機器の動作に支障をきたしたり安全を損なったりするほどの粉塵が侵入しません。
- 「6」は粉塵の侵入が完全に防護されています。
2つ目の数字は0~8までで水に対する保護等級を表しています。
- 「7」は水面下15㎝〜1mの深さで30分間水中につけていても水が浸入しません。
- 「8」は水面下でも使用が可能です。
※ 国際保護等級取得の有無にかかわらず(IPX8を取得していても)補聴器は日常防水仕様であり、完全防水ではありませんのでご注意ください。
スポーツの後の補聴器のケア方法
汗などで補聴器が湿っているときは、乾いた布で水分をふき取り、乾燥剤入りの補聴器ケースに入れて保管しましょう。
風などの自然音を抑え、聞こえをアップ
屋外でのスポーツやアウトドア時には風の影響を受けて聞きとりにくくなる場合があります。風切り音抑制機能搭載の補聴器や、環境音の変化に合わせて周囲360°の音を伝える補聴器などを選択すると、ウォーキングやジョギング、サイクリング、ハイキング、ゴルフなどの屋外でのスポーツ時にも聞こえを保ちやすくなります。
補聴器の落下対策や汗対策でスポーツも楽しんで
補聴器を装着したままスポーツやアウトドアも楽しめます。補聴器の落下や補聴器への汗の侵入を防ぐアイテムの活用や、屋外でのアクティブな活動に適した補聴器選びにより、スポーツの秋を満喫しましょう。
-
記事投稿者
丹野 愛
フリーライター。医療・介護系のサイトコンテンツやコラムなどを執筆。作業療法士。福祉住環境コーディネーター2級。認知症ライフパートナー2級。