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音の雑学:風の歌を聴け

  • 公開日:2021.02.17
音の雑学
松林を通る道

みなさんは風の音を言葉で表現せよと言われたらどうしますか?冬の寒い時期の北風なら「ぴゅーぴゅー」、先日最も早い記録を更新した、春一番のような強風であれば「ゴーゴー」と表すことができますね。風を詩や音楽として表現する例は古今東西の文化にみられることから、昔から生活の中にある身近な音として親しまれ来たことがわかります。今回はそんな風の音にまつわるお話です。

 

寒い季節に吹く北風を表す擬音(オノマトペ)の中にピープーというものがあり、童謡『たき火』では「きたかぜぴいぷう吹いている」と歌われています。

しかし宮沢賢治は『風の又三郎』の中で風の音を「どっどど どどうど どどうど どどう」と表現しています。

こちらは山を吹き抜ける強い風を表した擬音で、いかにも冬の厳しい風が表現されています。昔から人々は風を様々な言葉で表し、その音を生活の中にある音楽として感じてきました。

冬の日、風が電線などを振動させてビョォォォンと震えるような不気味な音を立てることがありますが、実はあの音にも名前が付いておりヨーロッパでは「エオルス音」と言います。

これはギリシャ神話の中で風を支配する神として登場するアイオロスに由来する名前で、1988年に徳永英明さんが歌っていたCMソング「風のエオリア」も同じ神に由来する名前です。

このエオルス音は風が電線や樹木などを巻き込み、空気の渦を作って音が発生するものですが、16世紀のヨーロッパではこの音を利用した「エオルスの竪琴(Aeolian harp)」という不思議な弦楽器が流行った事があります。

高さ1mほどの共鳴箱の表面に10本の弦が張られた楽器で、これを人が演奏するワケではなく、窓など風の通り道に置いて吹き抜ける自然の風が演奏する楽器です。風の強さによって音の高さが変化する幻想的な楽器でした。

これと同じ発想の日本語に、俳句の季語に残されている「虎落笛(もがりぶえ)」というものがあります。もがりとは竹などで出来た柵や垣根の事で、そこを吹き抜ける風の音を笛の音と考えたのです。

俳句の中には様々な風が季語として扱われていますが、その中に「松風(まつかぜ)」という特殊な風の名前も存在しています。

松林を吹き抜ける風を意味する言葉ですが、もうひとつ、茶道の時に釜のお湯が沸騰する直前の微かなシュンシュンという音も松風と呼びます。これは千利休が考案した言葉とされていますが、そのような繊細な音まで風流と感じ呼び名を考案したのです。

鳳凰

風という漢字は中に「虫」という文字が入っています。大昔、中国では風というのは伝説の鳥「鳳凰(ほうおう)」の羽ばたきによって起こる物と考えられていました。そこから最初、風を表す文字は鳳凰の「鳳」という漢字が使われていました。

その後、天候は龍によって司られているという伝説が加わったのですが、龍を含めた爬虫類は蛇のように「虫」という漢字を使う事から中の文字が「虫」に変わったと言われています。

そして漢方医学では気象現象や自然現象の「寒・湿・風・暑・火・燥」の六つが病気の元になると考えており、特に風の邪気・風邪(ふうじゃ)に気を付けなければいけないとされており、それが病気の風邪(かぜ)の漢字になっています。

ちなみに冒頭に出て来た童謡『たきび』は昭和16年12月9日にNHKのラジオ番組で初めて放送された曲ですが、その前日の8日に太平洋戦争が勃発したことから「たき火は敵からの攻撃目標になる」と軍から放送禁止令が出て、1回放送されたきり終戦後の昭和20年の秋まで放送出来なかったそうです。


寄稿者:杉村 喜光(知泉)

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    ヘルシーヒアリング編集局

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