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冬の寒さから「聞こえ」を守る6つのヒント

  • 公開日:2017.10.18
生活
寒い日に暖かい恰好をする人

冬の寒さは時として、健康な聞こえに対する脅威となることがあります。特に寒い地域の方はさまざまなシーンで注意が必要です。気温差が激しくなる冬を迎える今だからこそ、聞こえと、そして補聴器を守るためのヒントをお届けします。

ヒント1:冬ならではの騒音「除雪車」に注意

除雪車
除雪車

工事用車両などの騒音は聞こえにとって危険な存在ですが、冬ならではの騒音源となり得る事業車両の代表格として「除雪車」があります。除雪車の騒音は100dB(デシベル)を超えることがあります。これは耳の奥の蝸牛(かぎゅう:耳から入ってきた音を脳に届ける役割を担っており、聞こえに直接的な影響を与える)に永続的な損傷を与える可能性があります。

除雪車から聞こえを守る簡単な方法は、お近くのドラッグストアで購入可能なフォーム状の耳栓を使用すること。除雪車を運転する必要がある方は、さらに騒音源が耳の近くにあることになりますから、安全チェック項目に耳栓やイヤーマフ(ヘッドホンタイプの聴覚保護具)の装着といった、聞こえを守る項目を加えるようにしましょう。

ヒント2:難聴を抱えている方は、健聴者の3倍も転倒しやすい

米国・ジョンホプキンズ大学が2014年に行った研究によると、難聴を抱えている方は、転倒のリスクが健聴者に比較して約3倍に高まるとされています。研究者たちはこの原因について、聞くことに意識が集中するため周囲の状況確認ができにくいこと、耳の奥にあって体の平衡感覚(特に頭部の位置の変化)の働きを担う前庭器官の損傷などによるものと推測しています。いずれにしろ確かなことは、道路の凍結や降雪など、冬の間は誰にとっても転倒につながる危険性が高まるということです。

もし難聴によって平衡バランスの器官などに問題があるとすれば、特に凍っていたり雪が積もっていたりする場所やぬかるみ、凍結して滑りやすい階段など、転倒につながりやすい場所はとても危険です。いつも以上に気を配るようにしましょう。

ヒント3:耳の感染症は冬に増えやすい

冬は大人も子どもも、耳の感染症が増える時期でもあります。その理由の1つに、寒さによる血行不良があげられます。痛みを伴う症状で知られている中耳炎も、この時期に増えやすくなります。

中耳炎は、鼓膜より奥にある中耳に炎症が起こる症状で、風邪から、またウイルスやバクテリアによって引き起こされる感染症です。感染によって鼓膜の裏側に炎症が生じ、外と耳の中の気圧の調整を行う耳管(じかん)をふさいでしまうことがあります。

中耳炎の症状の多くは抗生物質で治療できますが、治療をせずに放置すると、一時的に難聴の症状を引き起こすことがあります。風邪の症状があるときは無理せず、十分な休養を取って適切な治療を受けましょう。水分を十分に摂取することも大切です。耳の感染が疑われる場合はすぐに耳鼻科医を訪れましょう。

なお、耳の感染症リスクを減らすために、マフラーなどで「耳を暖かくしておく」ことや、「耳をぬらしたままにしない」などを心がけましょう。抵抗力が低下しがちなこの季節、健康的な食事と適度な運動によって血液循環を促進することも、耳を健康に保つのに効果的です。

ヒント4:冷たい風や水が原因の「サーファーズイヤー」にも注意!

サーフィンをする人
サーフィンにより長時間冷たい水にさらされることが耳へのリスクとなる

非常に冷たい空気や風、冷たい水に耳がさられている状態が長時間続くと、「外耳道外骨腫(がいじどうがいこつしゅ)」につながることがあります。

サーファーズイヤーとしても知られるこの症状は、冷たい水の中で長時間を過ごすサーファーや漁師・海女さんなどの間で起こりやすいことが古くから知られています。冷水や冷気の刺激にさらされ続けることで耳の外耳道の奥(骨部外耳道)の骨が増殖し、外耳道が狭くなる(骨増殖性隆起)状態を指します。

外耳道が狭くなると水分などが耳の中に残りやすく、感染症のリスクが高まります。手術によって治すことができますが、スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツを楽しむ際には、耳を保護して暖かくし、乾いた状態を保って、耳を保護するようにしましょう。

普段でも気温が極端に低い日には、耳あて、帽子、マフラーやスカーフなどを活用することをおすすめします。

ヒント5:補聴器を使っている方は、結露防止を忘れずに

補聴器もまた、寒い冬の影響を受けます。風、雨、冷気や凍てつくような寒さは、電池寿命が短くなるなどの影響を与えたり補聴器に結露を生じさせる場合があります。帽子や耳あてによって補聴器を冷やさずドライな状態に保つのは良いことですが、汗をかいてしまうほどの過度な防御は、逆に補聴器に結露を生じさせることにつながるので注意しましょう。

効果的な解決策として、補聴器を外した後は電池を外し、補聴器をドライケースに収納いただくことをおすすめします。また、補聴器に汗カバーを装着する方法もあります。イヤギヤ社製の汗カバーはウェットスーツにも使用されるスパンデックス素材で作られており、補聴器を汗から守るようにデザインされています。

冬に降雨量の多い地域にお住まいの方は、日常防水仕様の補聴器を選択する方法も検討すると良いでしょう。

ヒント6:室内でのスポーツ観戦は騒音対策をして

アイスショー
アイスショー
Photo by Michael Bernath - Art on Ice(2005) / CC BY-SA 2.0

冬の季節、バスケットボールやバレーボール、フィギュアスケートやアイスショーなど、お気に入りのチームや選手を応援するために室内でのスポーツ観戦に足を運ぶ方も多いのではないでしょうか。しかし、これらの室内競技施設の騒音レベルは、危険なレベルに達することが少なくありません。

観客を動員した大会などで一部の室内スポーツ施設の喧騒は120db(デシベル)に達することもあり、ただちに耳を傷める可能性もあり得ると専門家は述べています。たとえすぐには問題を生じないとしても、騒音によるダメージは長きにわたって聴覚に対する影響を蓄積します。シンプルな方法ですが、ドラッグストアなどで簡単に手に入るフォーム素材の耳栓を着用することが、騒音や振動の影響を減らし、将来にわたって聞こえを守ることにつながります。

これらのヒントを活かし、いつもより少しだけ耳の健康に気を配ったり、ときには適切な耳の保護具の着用することで、冬の影響から耳を守ることが可能になります。いずれも簡単に行えることですので、ぜひ参考にしてみてください。


出典:米国「Healthy Hearing」2016年12月1日の記事「Tips to protect your hearing this winter」(Lisa Packer寄稿)

※本記事は米国Healthy Hearingにて掲載された記事を、一般的な情報提供を目的として意訳、また日本国内の事情に沿うように加筆再編成したものです。本記事のコピーライトは healthyhearing.comに帰属します。本記事内に掲載された名称は、それぞれ各社の商標または登録商標です。また、出典や参照元の情報に関する著作権は、healthy hearingが指定する執筆者または提供者に帰属します。

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    ヘルシーヒアリング編集局

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