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聴力低下の原因と治療・対処方法|放置すると生じやすいリスクとは?

  • 公開日:2021.09.16
難聴
耳に手を当てる人

会話などにおける円滑なコミュニケーションはもちろん、日常生活においても聴力が維持できていることはとても大切です。難聴は高齢者だけでなく、若年層でも起こる可能性があります。聞こえにくさや耳の違和感をおぼえたら、放置せずに耳鼻咽喉科の病院やクリニックを受診するようおすすめします。

ここでは、聴力低下の主な原因に加えて、治療法や対処方法についてお伝えします。また、聞こえの問題を放置すると生じやすいリスクについても解説するため、ぜひ参考にしてみてください。

聴力が低下する主な原因

聴力が低下する原因として、主に考えられることをご紹介します。もし聞こえにくさを感じたら、耳鼻咽喉科医に相談し、思い当たる点を伝えましょう。

加齢

音を聞き取る役割を持つ有毛細胞の数は、加齢とともに減少します。有毛細胞は、内耳の蝸牛という器官の中にある、音を電気信号に変える細胞です。加齢に加えて、糖尿病・動脈硬化・高血圧などの生活習慣病は、加齢による難聴を悪化させると考えられています。

音響外傷

音響外傷では、大きな音を聞いた際に有毛細胞がダメージを受けて聞こえにくくなります。耳に痛みを伴うこともあります。長時間にわたりヘッドホンやイヤホンを使用するケースでは、「ヘッドホン難聴」に注意が必要です。年齢が若い方でも発症し、徐々に聞こえが悪くなるため自覚しにくい点に気をつけましょう。

メニエール病

メニエール病は、回転性のめまい・難聴・耳鳴り・耳閉感などの症状が繰り返し起こるのが特徴です。場合によっては、数年以上にわたり続いたり、難聴が進行したりするおそれがあります。

耳硬化症

耳硬化症(じこうかしょう)では、内耳にある「アブミ骨」と呼ばれる耳小骨が硬くなって、動きにくくなります。鼓膜の振動を伝えられず、聴力が低下する病気です。手術によって聴力の回復が期待できます。

突発性難聴

突発性難聴は、突然聞こえが悪くなるのが特徴です。一般的に片耳の聴力が低下しますが、まれに両耳に症状が見られるケースもあります。その後の難聴や耳鳴りを予防するためにも、早期治療が必要です。

遺伝

先天性の難聴のなかには、遺伝的な要因によるものも存在します。耳鼻咽喉科の医療機関で詳しい検査を受けた結果、難聴の原因が明らかになるケースがあります。

ストレス

はっきりとした原因はわかっていませんが、ストレス・疲労・睡眠不足といった要因で、突発性難聴が起こりやすくなると考えられています。過労を避け、生活習慣を見直すことが大切です。

中耳炎

中耳に炎症が起こる中耳炎では、耳の痛みやつまった感じのほか、難聴の症状が見られる場合があります。聴力の低下が起こる中耳炎には「急性中耳炎」「慢性中耳炎」「滲出性中耳炎」などが挙げられます。

耳垢栓塞

耳垢栓塞は、耳垢が外耳道を塞ぎ、聞こえが悪くなった状態です。耳鼻咽喉科の医療機関で耳垢を取り除くと、聞こえが改善されます。

聴力の低下に有効な主な治療・対処方法

医師の診察

聴力が低下した状態は、大きく「感音難聴」「伝音難聴」「混合性難聴」の3つの種類に分けられます。ここでは、それぞれの症状や特徴、治療法や対処方法についてご紹介します。

感音難聴の治療・対処方法

感音難聴とは、主に内耳が正常に機能しないことで起こる難聴を指します。「メニエール病」やストレスによる「突発性難聴」では、内服薬や注射による病気の治療が有効とされています。加齢による難聴(加齢性難聴・老人性難聴)や、音響外傷による難聴(騒音性難聴)では、必要に応じて補聴器を利用する選択肢もあります。補聴器を装用するには、耳鼻咽喉科の医療機関の受診後、専門店で聞こえの状態に合わせてフィッティング調整を行いましょう。

伝音難聴の治療・対処方法

伝音難聴とは、外耳や中耳における何らかの障害で起こる難聴を指します。耳の形状・鼓膜・外耳道など、障害が生じている部分が異なりますが、いずれも投薬や処置、手術などによって改善できる可能性があります。

混合性難聴の治療・対処方法

感音難聴と伝音難聴の両方が起こるのが、混合性難聴です。高齢者の難聴は、混合性難聴であるケースが多いといわれます。治療方法は症状によって異なりますが、上記の難聴と同様にできるだけ早期の対処が必要です。また、難聴の程度によっては補聴器の利用を選択する場合もあります。

聴力の低下を放置した場合に生じやすい主なリスク

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聴力が低下し、難聴の状態のままでいると、ほかの病気や危険にさらされるおそれがあります。早期発見に努め、速やかに耳鼻咽喉科の医療機関を受診することが重要です。ここでは、聴力の低下によるリスクを解説します。

認知症

老化にともない、音を認識する側頭葉の機能が低下すると、言葉を聞き取りにくくなります。聴力の低下は、高齢者のコミュニケーション能力にも影響を与えかねません。他人との会話が減ると孤独感につながり、心理的な影響が、認知症のリスク増加と関係していると考えられています。難聴の治療を受けると、認知症の要因を改善できる可能性があります。

【参考】「認知機能低下および認知症のリスク低減 WHOガイドライン」

https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/detail/20200410_theme_t22.pdf

(令和元年度 厚生労働省老人保健健康増進等事業「海外認知症予防ガイドラインの整理に関する調査研究事業」 WHOガイドライン『認知機能低下および認知症のリスク低減』邦訳検討委員会)

うつ症状

うつ症状は、気分の落ち込みなどの精神症状や、疲れやすさなどの身体症状が特徴です。聴力の低下によって円滑なコミュニケーションが取りにくくなると、人間関係に影響をおよぼすおそれがあります。こうした精神的なストレスが、うつ症状の要因となる場合があります。

危機察知能力の低下

聴力が低下すると、日常生活で危険を知らせる、さまざまな音に気づきにくくなります。たとえば、道路を走る自動車や自転車の音、非常ベルの音などです。音によって危険を察知し、速やかに避けるのが難しいと、事故に巻き込まれるリスクが高まります。

聴力の低下では医療機関を受診し、適切に対処しましょう

今回は、聴力が低下する主な原因や、難聴の治療・対処法についてお伝えしました。聴力が低下すると、別の病気や事故などのリスクが懸念されます。ご自身やご家族の聞こえにくさに気づいたら、速やかに耳鼻咽喉科の医療機関を受診し、治療を検討しましょう。

  • 記事投稿者

    ヘルシーヒアリング編集局

    ヘルシーヒアリング編集局

    1. ポータルサイト「ヘルシーヒアリング(healthyhearing.jp)」の運営
    2.「安心聞こえのネットワーク」連携サポート

  • 記事監修者

    高島 雅之先生

    『病気の状態や経過について可能な範囲で分かりやすく説明する』ことをモットーにたかしま耳鼻咽喉科で院長を務めている。■詳しいプロフィールを見る■

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