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薬が原因の難聴について解説!薬の種類は?何の病気に対して使われている?自己判断はNG!

  • 公開日:2023.02.22
難聴
薬とおくすり手帳

「最近、なんだか聞こえが変だな」と違和感を覚えたとき、一般的にまず思い浮かぶ原因としては、大きな音を聞いたことによる一時的な難聴、加齢等による永続的な難聴、あるいは中耳炎等の耳の病気などが挙げられます。しかし今回ご紹介するのはそのいずれでもなく、薬が影響している可能性があるものについてです。なお、この記事を読んで自己判断で投薬を中止することは適切ではありません。違和感を覚えたらすぐ主治医に相談することが、病気の治療と聞こえの両面において最善です。

聞こえに影響する薬

聞こえに影響する可能性がある薬についてご紹介します。服用した後いつ頃から影響が出るか、聞こえが改善するかどうかは、薬の種類によってさまざまです。もし、これからご紹介する薬を使っていて聞こえに違和感がある場合は、主治医にご相談ください。

利尿薬

「ループ利尿薬」と呼ばれる種類の薬で、ごくまれに聞こえが悪化する場合があります。心不全や腎不全の方、胸水や腹水が溜まっている方、むくみの強い方など、非常に多くの方が使用しています。あらゆる症状のコントロールに、とても重要な薬です。

この記事で紹介しているような、聞こえに影響する薬と一緒に使用すると、単独で使用する場合と比べて難聴を起こすリスクが少し高まります。

ループ利尿薬による難聴は、服用を始めた時に生じることが多く、長く使っていて急に聞こえに影響することは少ないです。使用をやめれば聞こえは改善します。

成分名 商品名
フロセミド ラシックス
トラセミド ルプラック
アゾセミド ダイアート

抗てんかん薬

抗てんかん薬の1つである「カルバマゼピン(商品名:テグレトール)」は投与することで、音の聞こえ方が変わることがあります。「半音下がって聞こえる」と表現する方が多いです。

てんかんの他、神経痛や双極性障害の治療に使われることもあります。

飲み始めてから2週間までの間に症状が出やすく、ほとんどの場合は服用をやめれば自然と回復しますので、ご安心ください。男性よりも、女性の方が聞こえに影響しやすいようです。

抗菌薬

「アミノグリコシド系」と呼ばれる抗菌薬の投与によって、聞こえが悪化したり、めまい・耳鳴りを感じたりすることがあります。聞こえの変化よりも先に、めまいや耳鳴りを感じることが多いです。

以下にあげる薬の投薬頻度は低いのですが、感染性心内膜炎や結核など、特殊な感染症のときに他の抗菌薬と組み合わせて使われることがあります。血液検査で、これらの薬の影響があるかどうか判断することができ、難聴の副作用が起きないよう、定期的に採血で確認することも多いです。医師や薬剤師も聞こえについて注意していますので、変化を感じたら伝えるようにしましょう。

遺伝的に、アミノグリコシド系の抗菌薬で聞こえが悪化しやすい方が稀におられます。

ほとんどが注射薬ですが、カナマイシンは内服薬もあります。ゲンタマイシンには塗り薬もありますが、塗り薬で難聴の副作用を気にする必要はありません。

成分名 商品名
ゲンタマイシン ゲンタシン
アルベカシン ハベカシン
トブラマイシン トブラシン
イセパマイシン エクサシン
カナマイシン カナマイシン

抗がん剤

「プラチナ系」と呼ばれる抗がん剤は、難聴を引き起こす可能性があります。胃がん、肺がん、子宮体がん、膀胱がん、前立腺がんなど、全身のあらゆるがん治療に使われる重要な薬です。治療の回数が多いほど聞こえに与える影響が高くなります。1日の使用量や、合計の使用量が多くなると、ほぼ必ず聞こえに影響することがわかっています。

プラチナ系抗がん剤で生じる難聴は回復の難しいことが多いので、聞こえの変化を感じたら早めに主治医やスタッフに伝えることが大切です。

成分名 商品名
シスプラチン ランダ
カルボプラチン パラプラチン

変だな?と思ったら病院へ

医師

今回は、聞こえにお薬が関与するということをご紹介しました。

繰り返しになりますが、「聞こえが変だな」「いつもと違うな」と感じたとき、自己判断でお薬を中断せず、かならず主治医に相談するようにしてください。今回ご紹介した薬は、どれも治療のためにとても重要なもので、中断すると症状が悪化してしまうかもしれません。

薬の影響かそうでないかに関わらず、聞こえを維持するのは、健康に生きていくために大切です。聞こえに変化があったときには、医師に相談しましょう。

  • 記事投稿者

    中山 アユム

    森崎アユム

    「誰もが自分の体をいたわれる社会」を目指し、薬剤師として勤務する傍ら、わかりやすい情報発信を心がけています。

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