聞こえの総合情報サイト

聞こえづらさと疲れの関係

  • 公開日:2018.01.23
健康 難聴
32-1

人生には幾多の試練があり、我慢と忍耐が試されるものなのかもしれません。ですが健康に何の問題もないにもかかわらず一日の終わりに、ずっと疲れがたまっていることに気づいたとしたら、そろそろ耳鼻科の受診を考えていただく時期なのかもしれません。聞こえづらさに起因する疲労というものが存在するからです。代表的な難聴症状の一つ感音性難聴になっていると、話を聞いて内容を理解するのに必要な努力が増えてしまい、疲れやすくなります。

聞くことは脳の働き

私たちの脳は、聞くこと、理解すること、そし周囲の人と会話することにおいて大切な役割を担っています。内耳にある有毛細胞は、外耳を通して届いた音を電気信号に変える働きを担っています。この電気信号は、聴神経を通して脳に伝えられます。有毛細胞一つひとつは、特定の音の高低もしくは周波数を処理する役目を持っています。有毛細胞が損傷を受けると、音や声といった音響情報が正しく脳に伝わらなくなります。したがって脳は不足した情報を補って音の意味を理解しようと一所懸命に働くことになります。

健康な聞こえでは、以下の3つの脳の領域が外耳から脳まで、聞こえを伝える聴覚経路とともに言葉の意味を理解する働きを担っています。

  • 側頭葉は耳の後ろにあり、脳の両側に伸びています。ここには、内耳から感覚情報を受け取る一次聴覚野があります。
  • ウェルニッケ野は、脳の左側の側頭葉に位置し、音声言語を理解する役割を担っています。
  • ブローカ野は、左前頭葉の下部に位置しており、ことばを発する機能を担当する運動言語中枢を指します。

難聴があると、音が持つ意味を理解するために脳が激しく働くことになり、これが疲れを生み出します。

補聴器が助けに

補聴器

難聴があることが判明した場合、どのようなケアができるでしょうか。難聴の程度によって補聴器または人工内耳は、聞こえや会話の理解を改善し、聴覚疲労を効果的に減らすことができます。

米国ヴァンダービルト大学の研究者が2011年に行った研究では、軽度から重度の感音性難聴をもつ47歳から69歳までの16名の被験者を対象に、補聴器が聞くための努力および精神的な疲労に与える影響を調べました。この研究では、被験者に対し補聴器を使用した場合と使用しない場合のそれぞれでデュアルタスク(二つの課題を同時に行う)という条件下での単語認識、単語想起および反応時間を測るテストを行いました。実験の結果、被験者は補聴器の装用時に、より良い単語想起(複数のタスクを行う環境下で覚えた言葉を思い出す)を実現し、また反応時間も有意に早いことが示されました。

聞くことからの疲れとどのように折り合いをつけていくか

女性

健康な聞こえでもあっても、集中して聞くことは疲れを生じさせます。聴力の低下のあるなしに関わらず、一日を通じ聞くことの疲れへ上手に対処するためのヒントをお届けします。

  • 騒音から離れましょう。補聴器を着用していない場合、自然の中や静かな通りを散策すること、またそれが難しい場合でも目を閉じて数分間リラックスできる場所を探しましょう。仕事など忙しい毎日をお過ごしでも、静かな場所で昼食を食べることで、日中に必要なエネルギーを補給できます。テレビを観る代わりに読書をすることも耳を休めることになります。補聴器を装用している方は、毎日数分間だけ補聴器を外してみてください。
  • 深呼吸をしましょう。ストレスを感じたり落ち込んだりしたとき、また精神的に圧倒されるような出来ごとがあった場合は、数分間深呼吸に集中してみてください。ゆっくりとした深い呼吸は、ストレスや血圧を下げて頭をすっきりさせることに役立ちます。
  • 可能な限りバックグラウンドノイズ(背景騒音)を減らしましょう。人は、背景騒音と会話との聞き分けに難しさを感じる場面が良くあります。ご自身の耳と脳が処理しなければならない背景騒音が少ないほど、より楽に会話に耳を傾けやすくなり、会話そのものを楽しむエネルギーに余裕が生まれます。
  • 昼寝の習慣を取り入れてみましょう。米国睡眠財団(National Sleep Foundation)によると20分~30分の昼寝は、午後に疲れを引きずったり、夜間の睡眠を妨げたりすることなく注意力を高め仕事などの効率を改善することができます。昼寝によって活力を高まるだけでなく、静かな時間を得ることによる、追加的なメリットも得られます。

より良い聞こえで疲れと戦う

米国難聴協会(Hearing Loss Association of America) によると4,800万人の人々が何らかの聴力低下を経験しているとされます(日本では人口の約11%ないしは約1,400万人とされる**) 聞くことの疲れに加え、難聴をそのままにしておくことによって、落ち込みを感じる、社会的な孤立や認知機能の低下につながるなどのさまざまなリスクが報告されています。健康に問題がないにもかかわらず慢性的な疲れを感じる、またいつもと聞こえ方が違うなどの場合は、どうぞ耳鼻科医を受診してください。補聴器の装用を含む適切な聴覚ケアによって、疲れを減らして、積極的に会話に加わるなど精神的なエネルギーを一日フルに活用することができます。

相談イメージ

ご自身が以前のように、あるいはそうあるべきと思っているようには聞こえていないときには、聞こえによる疲労の可能性があります。どうぞ一度お近くの耳鼻科医へご相談ください。当サイトでご紹介している補聴器専門店へ聞こえについて相談いただくことも可能です。また、補聴器を検討されている方に向けて、現在の補聴器は聞こえとコミュニケーションのよりよいパートナーとして健康で活力のある生活をお過ごしいただく助けとなるでしょう。


■参照サイト

■本記事について
本記事は米国Healthy Hearingにて掲載された記事を、一般的な情報提供を目的として意訳、また日本国内の事情に沿うように加筆再編成したものです。本記事のコピーライトはhealthyhearing.comに帰属します。本記事内に掲載された名称は、それぞれ各社の商標または登録商標です。また、出典や参照元の情報に関する著作権は、healthy hearingが指定する執筆者または提供者に帰属します。

■英語版記事はこちらから
米国「Healthy Hearing」2017年11月16日の記事「Hearing loss and listening fatigue」(DebbyChan寄稿)

  • 記事投稿者

    ヘルシーヒアリング編集局

無料相談・お問合せ

WEBフォームからお問合せいただけます。

いますぐお問合せ

ヘルシーヒアリング 聞こえの総合情報サイト

ヘルシーヒアリング(以下当サイト)の使命は、聞こえや難聴への理解を深めていただくこと、また補聴器を軸に難聴への対処や解決策についての情報提供を通じて、聞こえに悩む人々の生活の質(QOL)を高める一助となることです。 当サイトのご相談窓口検索では、認定補聴器技能者が在籍する専門店、認定補聴器専門店、また補聴器カウンセリングに重きを置いた補聴器専門店・取扱店を中心とする安心聞こえのネットワークの補聴器販売店の情報を掲載しています。

ヘルシーヒアリング マスコットキャラクター