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難聴の高齢者と上手にコミュニケーションをとる10のルール

  • 公開日:2018.09.25
生活 難聴
ハート

難聴を抱えた家族との日常において、同じ言葉を繰り返すことからのイライラ、無視されているような気持、家族との日常への距離感や疎外感を感じるなど思いがけないストレスに直面されているかもしれません。これらはすべて、コミュニケーションの難しさに起因する極めて正常な反応です。しかし、もしこれからご紹介する10のルールを、読者の皆さまやご家族が実践いただけたら、家族内に不和を生じさせることが少なくなるかもしれません。

1.個人攻撃と受け取らない

コミュニケーションにつまずいたら、まずは深呼吸をしましょう。敢えてあなたに対して無礼な態度をとろうとする人はいません。話についていけなくなったとしても、冷静になることが必要です。それを怒りの原因に変えてしまうことなく、気持ちを切り替えて次に進むことができます。

2.相手の関心をひきつけてから話す

誰かに話をしたいとき、特に相手が仕事など何かをしているときは、相手に優しく触れるなどして相手の注意を促しましょう。また、名前を呼ぶのも効果的です。話し始める前に、まずはあなたに相手の視線が向くまで待ちましょう。話し相手はあなたの話を聞くことに集中できますし、話し始める前に必要に応じてテレビの音を消す、また水道の蛇口を閉めるなど、聞き取りの妨げになる周囲の騒音を減らすこともできます。

3.大きな声で話すのではなく明瞭に話す

はっきりと話しましょう。大きな声で話すより、普通の声の大きさで言葉の各音節をしっかりと発音すること、これは一般的に聞こえの悩みを持つ人にとって、より話の内容の理解を高めることに役立ちます。

4.言葉と言葉の間に「間(ポーズ)」をおく

難聴のある家族に対して、会話の速さを遅くして、一つの単語をできる限り伸ばして発音すれば話をもっと理解してくれるのではないかと思いがちです。ですがこれはいわば都市伝説に過ぎません。ゆっくりと言葉を発音するのではなくはっきりと自然な速度で話すこと、単語と単語の間に少し長めの間を入れることで、全体をゆっくりと話すこと。そのほうがはるかに効果的です。

5.一言だけの回答は避ける

聴力低下のある人にとって、「はい」と「いいえ」で終わる一言の回答はどちらもそっくりに聞こえてしまいます。背景騒音がある場所、また聞き手側が話者の顔を見ることができない場合などでは、特にこれが当てはまります。一言の回答の代わりに、「はい、私がしました」、あるいは「いいえ、私たちはそうではありませんでした。」のように一言添えるように習慣づけましょう。一言加えていただくことは、とくに努力が必要でもなく、あなたの言葉を的確に伝えることにとても役立ちます。難聴のある人々にとっても、より多くの言葉から意味をとらえることができメリットとなります。

6.近づいて話す

レストラン、宴会の席など騒々しく背景騒音の多い環境では、話し相手と顔が合わせられる位置を確保しましょう。ほかの席から声をかけたくなる気持ちは抑えましょう、話したい相手がいる場所まで近づいていき、普通の大きさの声で話しかけましょう。(編集局より:相手の顔や口元が見えるだけの十分に明るい、静かな一角があればそこで会話をすることも考えてみてください。)

7.繰り返すのではなく、言い換える

誰かがあなたが話した内容が聞こえていなかったり、分からないとあなたに伝えたり、明らかに理解していない様子であったりするならば、まったく同じ言葉を繰り返すのではなく、別の言葉で言い換えてみましょう。例えば時間の1時(いちじ)、7時(しちじ)は間違えやすいものです。午後であれば13時(じゅうさんじ)と言い換える、7時(ななじ)と読み替えるなども試してみてください。

8.専門家の助けを借りる

コミュニケーションを取ることの難しさが家族間での葛藤を生み出しているとしたら、外部のサポートを得るという方法があります。言語聴覚士、カウンセラーといった人々は家族が新しいコミュニケーション方法を身につけるためのサポートを行う専門家であり、喜んで手を貸したいと考えています。中立的な第三者からのアドバイスは、家族からのアドバイスよりも受け入れやすいといったことがよくあります。

9.補聴器を装用する

ご自身に難聴があり、補聴器を持っているなら、補聴器はできるだけ毎日装用しましょう。補聴器の装用そのものが家族や身近な人とのコミュニケーション取りやすくするためにご自身ができる役割を果たしているということになるのです。補聴器は持っているが、その装用に難色を示している家族がいらっしゃる方は、あなたとのコミュニケーションのために補聴器を装用してくれたなら、そのことに感謝を示してください。また補聴器を装用している家族のために電池を買っておくことは、コミュニケーションを取ることを気にかけていることを示す優しい思いやりでもあります。

10.事実を知る

あなた自身または家族のどなたかが聞こえに問題を感じているとしたら、聞こえに何が起きているのかについて知っておく必要があります。(耳垢の蓄積によっても聞こえは低下します。)耳鼻咽喉科の医師、或いは医師の指導のもと聴覚ケアの専門家が、耳の状態についての診察や聴力検査を行うことができます。もし難聴があるということが分かった際も適切な聴覚ケアについての助言を行ってくれます。聴力検査は痛みを伴うものではありません、我慢をすることなく医師にご相談してみてください。家族や周囲とのつながりは聞こえの問題によって阻害されるべきものではないのです。

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さらなるサポートが必要ですか?

既に補聴器を使用されており、ここでご紹介した10のルールも実践しているが、まだ会話の聞き取りに苦労されている場合、どうぞお買い上げの販売店にご相談ください。補聴器は定期的なメンテナンスが必要です。聞こえや聴力への変化、また補聴器が正常に機能しているかどうかを確認する場合は、再調整を行う必要があります。補聴器の専門スタッフは、現在の聞こえの状態を確認したり、聞き取りが難しい環境について特定の補聴器プログラムを設定したり、例えばテレビの音声を補聴器に直接届けることができるようなアクセサリーを取り入れるなどの助言もできます。

家族とのつながりは、精神的、身体的、そして感情面からも健やかに過ごしていくために欠かすことのできないものです。聞こえの問題は、そのままにしておくと家族との距離や壁を生み出しかねません。ご自身やご家族が難聴と診断され、もし補聴器の使用を勧められたならば、どうぞご自身と家族のために最初の一歩を踏み出してください。補聴器は、年齢にかかわらず、聴覚といった聞こえのことだけでなく、家族や社会での人との関わりについてもより良くするためのサポートをします。難聴が適切にケアされ、より良いコミュニケーションのルールを取り入れていただくことでご自身、そしてご家族の双方がメリットを実感できます。先進の補聴器や補聴器専門店などについては、こちらからもご相談下さい。

本記事そしてこれに先立つ第1部となる「聞こえの問題は家族全体へ影響するということ」との2編にわたり、2児の母であり自身が難聴の当事者でもある、米国ヘルシーヒアリングのカスタマーサポートマネジャーのスザンヌ=ジョーンズによるエッセイをご紹介しました。ジョーンズは米国における認定補聴器スペシャリストの資格を有する専門家でもあります。ご自身や身近な方の聞こえがいつもと違うと感じたら、どうぞ現在の耳の状態や聴力について正しく理解するためにも耳鼻科医の受診をお勧めします。

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■本記事について

本記事は米国Healthy Hearingにて掲載された記事を、一般的な情報提供を目的として意訳、また日本国内の事情に沿うように加筆再編成したものです。本記事のコピーライトはhealthyhearing.com及びheatlhyhearing.jpに帰属します。本記事内に掲載された名称は、それぞれ各社の商標または登録商標です。また、出典や参照元の情報に関する著作権は、healthy hearingが指定する執筆者または提供者に帰属します。

 

■英語版記事はこちらから

米国「Healthy Hearing」2018年5月24日の記事「Ten rules for improving family communication」(Susanne Jones寄稿)
  • 記事投稿者

    ヘルシーヒアリング編集局

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