人や動物に本来備わっている感覚機能のうち聴覚、視覚、触覚、嗅覚、そして味覚の五つについて昔から五感と呼ばれています。「聞く」「見る」「触る」「嗅ぐ」「味わう」、これらの感覚機能は年齢とともに低下していくことは否めないとされますが、いま持つ五感を守ってさらにはそれらを高めていくために、どんなことができるのでしょうか?今回はヘルシーヒアリングの代名詞ともいえる聴覚の低下の予防についてご紹介します。
米国北テキサス大学の音楽教授として教鞭をとりつつ、テキサス舞台芸術健康センターのセンター長を務めるクリス・チェスキー教授(58歳)は、著名なジャズトランペット奏者でもある彼についてお話しします。チェスキー氏は聞こえを守るために日ごろから耳栓を愛用しています。家で芝刈り機を使うときや、飛行機に乗る際に使用するそうです。耳栓の他には、ステージ上の演奏時においても、ともに演奏を行うバンドメンバーに対して音を静かに抑えた“ピアニッシモ”で演奏するように依頼することもあるとか。その理由として米国退職者協会に向けた文章のなかで次のように述べています。「気にしすぎだという人がいるとしても、これまで自分が大切にしてきた聞こえをできるだけ長く保ちたいと思っているのです。」
米国シカゴ大学の最近の研究によると、全米では数千万の人々が五感のうち少なくとも一つの感覚機能について年齢に関連した衰えがあることが報告されています。五感におけるこのような変化は、栄養不良、転倒、うつ傾向または認知機能低下などといった健康問題のリスクを増大させる一方で、聞いたり、味わったりといった日常の何気ない楽しみを味気ないものにさせかねません。
聴覚 ~聞くこと~
- 大きな騒音のある場所にできるだけ近づかない!
- 大きな騒音がある場所ではフォーム素材の耳栓や防音ヘッドフォンなどの聞こえの保護具を使用する。フォーム素材の耳栓は薬局やドラッグストアなどで簡単に手ごろな価格で入手できます。
- 体重の変化、血糖値、血圧の変化などに注意しましょう。耳の内耳にある有毛細胞が必要とするエネルギーを送るためには、小さな動脈を健康に保つことが必要です。
- 毎日の食事や栄養に気を配ることも耳の健康に貢献します。
- 難聴があることが分かったら、携帯電話やテレビの音をより良く聞くために補聴器や聞こえのサポート機器(聞こえを助ける専用のスピーカーなど)の採用を検討する。米国ニューヨークのコロンビア大学が2016年4月に行った調査では、補聴器ユーザーは認知テストと記憶テストで難聴に対して対処を行っていない被験者よりも優れた結果を得ることが報告されています。**
今回は聴覚についてお伝えしました。聞こえの変化が思わぬところに影響を与えることもあります。聞こえについて気になることがあれば、「難聴の兆候とは?」もご覧ください。ヘルシーヒアリングでは補聴器や聞こえについてご相談いただける補聴器専門店もご紹介しています。
■参考文献
ACADEMIA「The contribution of the five human senses towards the perception of space」Sustainable Design Unit, 2013
米国退職者協会HP(英文)
SEE WHAT I’M SAYING: THE EXTRAORDINARY POWERS OF OUR FIVE SENSES
米国コロンビア大学「Hearing Aid Use Is Associated with Improved Cognitive Function in Hearing-Impaired Elderly」2016年4月
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記事投稿者
ヘルシーヒアリング編集局
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