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聞こえはより快適に進化する!最新デジタル補聴器の世界

  • 公開日:2020.12.23
補聴器
会話

補聴器は目立って恥ずかしい、ピーピー音がうるさい……こんなイメージはもう過去のもの。最新のデジタル補聴器はつけているのがわからないほど小さく、より自然で豊かな表現を手に入れています。補聴器がどのような進化を遂げたのか、その歴史を紐解いてみましょう。

ラッパ型の集音器から始まった

トランペット型補聴器
A collapsible Victorian ear trumpet made of tin by Wellcome Images, CC BY 4.0

聞き返さずにスムーズに会話をしたい、音をしっかりと聞き取りたい。聞こえの願いはいつの時代も共通していたようです。

約200年前に活躍した作曲家、ベートーベンは難聴になってからも音楽活動をするため、ラッパ型の集音器を使用していたのは有名な話です。この頃は音を集めて耳に届ける単純な装置で聞こえを手助けしていました。大きな転機になったのは1876年。電話を発明したグラハム・ベルによって、音を電気信号に変換する技術が開発され、補聴器に大きな進化をもたらしました。これにより、音を調整して耳に届けるアナログ補聴器の原型が開発されたのです。

当初は大きな装置が必要でしたがその後改良を重ね小型化しながら、アナログ補聴器は普及していきます。以前は、アナログ補聴器がほとんどでした。しかし、難聴の方が満足のいく聞こえ心地を手にしたとはいえません。聞こえ心地と使いやすさ、その双方に課題があったからです。

アナログ補聴器は、小さな音を大きくすると同じように他の音も大きくなるリニア増幅が一般的です。この方法は、しっかりとした音量感は得られますが、聞きたい音だけを大きくするといった細やかな調整はできません。例えば人の声を聞こうと音を大きくすると周囲の雑音も大きくなってしまうのです。音質にもやや難があり、ノイズが入ったり、音を大きくするほどにハウリングが発生するなどの課題がありました。

音量を調整できる回転式のダイヤルや、騒音下で音量を抑えるスイッチなども開発されましたが、慣れないと使いこなすのが困難。そのため途中で補聴器を使うのを諦めてしまう方も少なくありませんでした。当時の苦労を知っている方からすると、現在のように「補聴器自身が最適な聞こえを調整する」なんて、考えられなかったかもしれませんね。

デジタル補聴器の登場できめ細かな調整が可能に

デジタル補聴器

操作に苦労しなくても、最適な聞こえを叶える。それを可能にしたのが、デジタル補聴器です。指先ほどの小さなICチップを内蔵し、複雑な音声処理を瞬時にこなすことで、アナログ補聴器では叶わなかったきめ細かな調整を、自動で処理できるようになりました。1996年には実用的なデジタル補聴器が登場。その後はさらなる省電力化、超小型化が進み、現在の補聴器市場ではほとんどがデジタル補聴器となっています。

デジタル補聴器とアナログ補聴器の大きな違いの一つが、音の増幅方法です。アナログ補聴器では音が一律に大きくなっていたのに対して、デジタル補聴器ではノンリニア増幅、つまり聞こえにくい音は大きく、うるさく聞こえる音は小さくするという調整が可能になったのです。

補聴器に入ってくる音を複数の周波数帯域(チャンネル)に分割して調整を施す方式をマルチチャンネルといい、チャンネル数が多いほど、きめ細かく音を調整できます。アナログ補聴器では細かな区別はできず、対応できるのは2チャンネル程度でした。対するデジタル補聴器はチャンネル数が多く、最新機種では64チャンネルまで細分化した高性能な機種も登場しています。それだけ繊細で、使う人の聴力に合わせたより自然な調整が可能になっているのです。

雑音やハウリングを補聴器自身が抑制する

波形

大勢が話すにぎやかな会食での聞き取りは、難聴の方が苦手な場面の一つです。複数人が同時に話す場では、なかなか目の前の人との会話に集中できないと感じる方は多いのではないでしょうか。デジタル補聴器は、そんな場面でも聞こえを助ける機能が数多く搭載しています。

一つが騒音抑制機能です。高度な音声処理技術によって、人の声とそれ以外の音を補聴器自身が解析。人の声を強調し、逆に騒音は自動で抑えてくれるのです。また、音の方向を認識する指向性も持っており、向き合った人の声を浮き上がらせる処理もしてくれます。

加えて不快なハウリング音を抑制する機能も進化しています。ハウリングを引き起こす原因となる高音域は、聞こえに重要な役割を果たす音域でもあります。デジタル補聴器は、高音域はしっかりと増幅しながらも、ハウリングが起きると逆の周波数でハウリング音を打ち消す処理を行なっています。さらに最新機種には、ハウリングの発生そのものを予防する機能も搭載されています。

このように便利な機能が数多く盛り込まれても、使いこなせなければ意味がありません。デジタル補聴器が優れているのは、人の手を煩わすことなく、補聴器が自動でさまざまな機能を連携してくれる点にあります。

デジタル補聴器は早い段階から人工知能(AI)を搭載しており、ユーザーの音環境や好みを学習した上で、設定の切り替えなどを行っています。雑音の多い駅のホーム、静かな図書館、迫力ある演奏を楽しむコンサート会場など、その場所に応じたプログラムになっているというわけです。今後さらにAIが進歩すれば、脳波や体温などをセンサーで測定し、体の状況の変化も加味して補聴器が音量調整してくれる世界が来るかもしれません。

スマートフォンとも連動し、電話やテレビも快適に

スマホと連携

さらに現在では、補聴器は生活になくてはならないツールであるスマートフォン(スマホ)とも連携し、活用の可能性をさらに広げています。補聴器をつけたままで電話ができるのはもちろん、音楽を聴いたり、動画やセミナーなどのネット配信コンテンツを楽しむこともできます。

補聴器メーカーのオーティコンでは、コロナ禍で外出しにくい状況にあることから、毎年恒例の無料のクラシックコンサートをネット配信で開催。難聴者の方からは「わが家にいながら、生演奏の魅力を存分に味わうことができた」と好評を得ています。豊かな表現力を有するデジタル補聴器だからこそ可能な取り組みといえるでしょう。

スマホの専用アプリを使い、遠方の補聴器販売店とデータをやりとりして、自宅にいながら補聴器の微調整などのサポートを受けられる機種もあります。コロナ禍で外出に不安を感じる方にとっては頼れるサービスといえるのではないでしょうか。

さらに、今の補聴器はインターネットを介してさまざまな家電と連携することも可能になっています。1日の始まりに補聴器を装着すると、自動的にリビングの照明やテレビのスイッチが入り、ロボット掃除機が動き出して朝の支度が完了する。こんな暮らしは、すぐそこまできています。

ぜひ、先進のデジタル補聴器の世界を体験してください。

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    ヘルシーヒアリング編集局

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