聞こえの総合情報サイト

仕事上での聞こえにくさのためのヒント

  • 公開日:2024.01.31
補聴器
戸惑っている人

難聴が軽度だと、補聴器をすすめられないことがあります。しかし、会議が多いなど、聞き取りが重要な仕事に就いている方は補聴器が有効な可能性があるのです。本記事では軽度難聴の方が補聴器を使用して仕事への良い変化をもたらした事例をご紹介します。

若くても難聴になる可能性がある

難聴になる原因には、加齢以外にも以下のようなものがあります。

  • 音響外傷
  • メニエール病
  • 耳硬化症
  • 突発性難聴
  • 遺伝
  • 中耳炎

たとえ年齢が若くても聞こえにくさを感じたら、早いうちに耳鼻科を受診することをおすすめします。早めの治療が予後に影響することがあるためです。

関連記事:聴力低下の原因と治療・対処方法|放置すると生じやすいリスクとは?

難聴の程度は4段階

難聴の程度は「平均聴力レベル」で決まります。

平均聴力レベルとは、会話を聞き取るのに最も大切な、3つの高さの音(500、1,000、2,000Hz)の聞こえを平均したものです。

聞こえの検査では、音の大きさは「dBHL」で、高さは「Hz」で表します。検査では、低い音から高い音までそれぞれの高さで、どのぐらいの大きさの音が聞こえるかを測定します。

聞こえの検査の数値(dBHL)は、小さいほど聞こえが良く(小さい音でも聞こえる)、大きいほど聞こえが悪い(大きな音だと聞こえる)ことを意味するのです。

表のように、難聴の程度は平均聴力レベルの値に応じて、軽度~重度までの4段階に分かれます。

難聴程度 平均聴力レベル
軽度難聴 25dB以上40dB未満
中等度難聴 40dB以上70dB未満
高度難聴 70dB以上90dB未満
重度難聴 90dB以上
出典:難聴対策委員会「難聴対策委員会報告(PDF)」から一部抜粋して表を作成

 

健聴の方の聞こえは0dB~25dB未満が目安になります。本記事でお伝えする「軽度難聴」は、平均聴力レベルが25dB~40dBの方です。

補聴器は良い方の耳が中等度以上の難聴で検討されることが多い

補聴器をすすめる厳密な基準はありませんが、良い方の耳が中等度以上の難聴だとすすめることが多いようです。

「中等度の難聴」といわれても、どの程度の状態なのかわかりにくい方もいらっしゃるでしょう。難聴の程度によって、どの程度生活に支障が出るのかを表した表をご覧ください。

難聴程度 聴力レベル
(dBHL)
聞こえの障害状況
軽度難聴 25~39 小さな声が聞きづらい
騒音下での会話が聞きづらい
中等度難聴 40~69 普通の会話が聞きづらい
高度難聴 70~89 普通の会話が聞き取れない
重度難聴 90以上 耳元で話されても聞き取れない
自分に声が聞こえない
出典:公益財団法人テクノエイド協会「高齢者介護のための聞こえの基礎知識と補聴器装用(PDF)」から一部抜粋して表を作成

 

補聴器をすすめられるのが一般的となる40dBは「普通の会話が聞きづらい」、つまり日常生活にも支障をきたす程度だといえます。

軽度難聴の方が困る場面

口に手を当てる人

軽度の難聴は、中等度以上の難聴のように、日常生活全般に支障をきたす状態ではありません。しかし以下のような場面で聞こえにくさを感じる可能性があります。

軽度の難聴で困るシーンの例

  • ささやき声を聞き取る
  • 騒音や雑音が多いところで会話する
  • 大勢の会議で声が小さい人の声を聞き取る
  • 音源が別の場所にある講演会や映画を聞く
  • 固有名詞や専門用語、電話番号の数字などを正確に聞きとる
出典:公益財団法人テクノエイド協会「高齢者介護のため聞こえの基礎知識と補聴器装用(PDF)

常に「静かな環境を整えて、対面で会話をする」のは難しいものです。困るシーンが多い方の場合には、聞こえに関して何かしらの工夫をすることで聞きやすくなる効果が見込めます。

軽度難聴の方が聞こえに関してできる工夫

軽度の難聴の方が、生活上で聞こえにくさを感じた場合にできる工夫をお伝えします。

会話時に自分でできる工夫と補聴器を使う方法があります。1つずつ見ていきましょう。

会話時に工夫する

対面する2人

誰かと対面して会話する際の工夫では、以下の方法があります。

  • 相手と正面を向く(聞こえやすさに左右の耳で差がある場合には、聞こえやすい耳を話し手に向ける)
  • できるだけ相手と近づく
  • 相手の口元や顔を見ながら話す
  • 周囲に難聴であることを伝えておく
  • できるだけ静かな場所を選ぶ

周囲の環境や相手と話す位置で、聞きやすさが変わります。聞き取れなかった際に言い直しを依頼しやすくする、聞き取りやすく話してもらうなどのために、周囲の方に難聴があることを伝えておくのも1つの方法です。

関連記事:片耳難聴とは?気づきにくい症状と原因、治療法、周囲の配慮の仕方 

補聴器を使用する

軽度の難聴だとしても、仕事や生活の場で困ることがあれば、補聴器の使用が有効な可能性があります。日本聴覚言語医学会の難聴対策委員会の報告では、「会議などでの聞こえを改善するためであれば、軽度の難聴でも補聴器が適応となることもある」(出典:日本聴覚医学会 難聴対策委員会報告「難聴(聴覚障害)の程度分類について(PDF)」)と軽度難聴の程度について補足説明しています。

補聴器を使うことで次のような改善が見込まれる可能性があります。

  • 聞き誤りが減少して仕事がスムーズになる
  • 講演会や会議などで声が聞きとりやすくなる
  • 少しずつ使用しておくことで、将来本格的に必要になる前に慣れておける

補聴器は、常につけずに、仕事や会議の時だけつける方法もあります。周囲に補聴器をつけていると気づかれにくい、小型の補聴器もあります。

なお、軽度難聴の場合は耳あな型、耳かけ型どちらの補聴器も選択可能です。さまざまな観点から比較して選ぶことをおすすめします。

参考までに、耳あな型、耳かけ型の補聴器、それぞれで向いている方の例を見てみましょう。

耳あな型補聴器が向いている方の例

  • マスクやメガネをかけている(耳掛け型だと邪魔になりやすい)
  • スポーツをする(耳にフィットして落ちにくい)
  • 目立ちたくない

耳かけ型補聴器の方が向いている方の例

  • 早くレンタルしたい(オーダーメイドでないものは早くレンタルできる)
  • 耳閉感(耳がこもった感じ)が苦手
  • 細かい動作が苦手で少し大きめの機器の方が扱いやすい

上記はあくまでも参考で、その方の状況によって適した補聴器は異なります。購入を検討する際には、補聴器販売店に希望するポイントをすべて伝えておくとよいでしょう。

なお、補聴器は高価なものが多く、効果が見込めるかわからず購入するのはご不安な方がいらっしゃるかもしれません。

そのような場合には、無料のレンタルで効果を確かめてから検討する方法があります。補聴器販売店によっては、購入の前に無料でレンタルできるところがあります。効果を実感できなければ購入しなくても問題ないため、ご興味があれば一度試されてはいかがでしょうか。

【関連記事】
補聴器のタイプとスタイルを知る
つけていることが目立たない補聴器選び

【事例紹介】軽度難聴が残存した会社員の男性が補聴器をつけたら会議が聞きやすくなった

CASE

最後に、言語聴覚士、かつ医療ライターである筆者が以前勤めていた耳鼻科外来を受診された患者様についてご紹介します。

その方の難聴は最終的に軽度となり、補聴器をすすめられずに仕事に戻られました。

しかし仕事上で聞こえにくさに関する不便を感じられ、補聴器を試したところ聞こえやすさが改善したそうです(具体的な状況などはプライバシー保護のため変更を加えています)。

参考にしてください。

片耳の突発性難聴を発症した会社員男性

40代会社員男性が、片耳が突然聞こえにくくなったとおっしゃり来院されました。複数の検査をした結果、片耳の突発性難聴(高度)との診断でした。

入院して点滴の治療を受けた結果、難聴は軽度まで改善して退院され、すぐにお仕事にも復帰されています。

その後は薬を内服しながら通院を継続されていました。聴力の改善が止まった半年~1年くらいたった頃、聞こえに関して困っていると、以下のご相談を受けました。

  • 会議や複数人での会話が聞き取りにくいことがある
  • 小さな声が聞き取りにくい

男性の耳は、時期や原因は不明でしたが良い方の耳もごく軽度の難聴がありました。その影響もあったと推測されます。

聞こえを補助するための機器として補聴器があること、軽度の難聴でも補聴器が有効である可能性があることをお伝えしました。また、無料で補聴器をレンタルできる販売店があり、効果がある場合だけ継続すればよいこともご説明しました。その結果、試したいと希望されたため、補聴器販売店にご紹介したのです。

補聴器をレンタルして試したところ仕事での聞こえやすさが改善された

数か月後の次回受診時に、補聴器の状況についてうかがいました。レンタルして仕事上の聞こえが改善したため、補聴器を購入されたとのことでした。仕事上でのストレスが減り、購入して満足されているそうです。「購入する前にレンタルできたのが良かった」とおっしゃっていました。

軽度の難聴でも聞こえに困ったら補聴器もひとつの選択

難聴が軽度だと補聴器をすすめられないことが多くあります。しかし大勢での会議や電話が多い仕事などでは、聞こえにくさで仕事に支障が出る可能性があります。

仕事や生活での聞こえをできるだけ良い状態に保ちたい方は、補聴器を試すのもひとつの方法です。仕事の間だけ補聴器をつける方法もあります。

聞こえの相談窓口検索から、補聴器のレンタルをしているお近くの店舗を検索していただけます。「店舗の特徴」の中に「購入前視聴貸出し対応」の表記があれば、対応店舗です。

  • 記事投稿者

    言語聴覚士ライター大井純子

    言語聴覚士として病院・訪問でのリハビリに約20年間従事。
    「コトバの力で誰かをサポートする」をモットーに、言語聴覚士として働くかたわら、医療記事作成や電子書籍出版サポートなどに取り組んでいる。

  • 記事監修者

    若山 貴久子 先生

    若山 貴久子 先生

    1914年から100年以上の実績「若山医院 眼科耳鼻咽喉科」院長。■詳しいプロフィールを見る■

無料相談・お問合せ

WEBフォームからお問合せいただけます。

いますぐお問合せ

ヘルシーヒアリング

ヘルシーヒアリング(以下当サイト)の使命は、聞こえや難聴への理解を深めていただくこと、また補聴器を軸に難聴への対処や解決策についての情報提供を通じて、聞こえに悩む人々の生活の質(QOL)を高める一助となることです。 当サイトのご相談窓口検索では、認定補聴器技能者が在籍する専門店、認定補聴器専門店、また補聴器カウンセリングに重きを置いた補聴器専門店・取扱店を中心とする安心聞こえのネットワークの補聴器販売店の情報を掲載しています。

ヘルシーヒアリング マスコットキャラクター
: ;