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子どもの言葉が遅い場合には聞こえが問題のこともある|原因と対応

  • 公開日:2024.05.29
難聴 子ども
幼児

言葉の発達は個人差が大きいものですが、「周りの子が話しているのにうちの子が話さない」と、心配になる方も多いのではないでしょうか。この記事では、言葉の発達の個人差や、相談先、聞こえの確認の重要性などについて解説します。相談を検討されている方は参考にしてください。

言葉の発達初期は個人差が大きい

言葉の発達は子どもによる差が大きいものです。言葉の発達の問題について考えるために、子どもごとの言葉の発達時期の違いについて押さえておきましょう。

月齢に合わせた言葉の発達の差については、以下の表が参考になります。言葉の発達に関して、どのくらいの割合のお子さんがどのくらいの月齢でどのような発話ができるようになるのかがわかります。それぞれの項目において数か月以上の開きがあるのです。

言語発達初期の個人差の幅

項目 25%の子が達成 50%の子が達成 75%の子が達成 90%の子が達成
意味なくパパ、ママなどと言う 6.0カ月 8.0カ月 10.0カ月 12.0カ月
意味のあることばを一語言う 9.2カ月 12.0カ月 14.8カ月 17.6カ月
ママ、パパ以外に2語言う 12.0カ月 14.3カ月 16.7カ月 19.0カ月
3語言う 13.2カ月 15.6カ月 18.0カ月 20.4カ月
6語言う 15.7カ月 17.9カ月 20.0カ月 22.2カ月
二語文 19.7カ月 22.7カ月 2歳1月 2歳5月
出典:「子どものこころとことばの育ち―親子を共に支援するために」日本小児耳鼻咽喉科学会

 

たとえば、「意味なくパパママと言う」時期を見ると、全体の25%の子どもが言えるのは6か月、90%の子どもが言えるのは12か月となっています。一般的に言われる「話し出す時期」は目安であり、個人による差が大きいといえるでしょう。

子どもの言葉が遅い原因

子どもの言葉が遅れる原因には、個人差の範囲の遅れと、なんらかの問題が想定される遅れがあります。それぞれについて見ていきましょう。

個人差の範囲の遅れ

背景に何か問題がなくても、言葉の発達が遅れることがあります。言葉を話し出す時期が遅くてもその後の発達はスムーズに進みます。

なんらかの問題が想定される遅れ

なんらかの問題が想定される言葉の遅れには次のようなものがあります。

  • 聞こえが悪い
  • 発声発語器官の障害(口蓋裂や舌小帯短縮など話しにくい口の状態)
  • 言語環境(言葉の刺激の少なさなど)
  • 発達障害などの発達上の問題

言葉の遅れが心配になった場合には、上記の項目一つ一つに問題がないのかどうかを確認していくことが大切です。

子どもの言葉についての相談先

子どもの言葉の遅れが心配になった際の相談先には、健康診査や小児科、地域子育て支援センター、自治体の相談窓口など、さまざまな場所が設けられています。自治体ごとに異なるので、窓口で相談してみると良いでしょう。

◆全国の窓口一覧ページ(子ども家庭庁)
https://www.cfa.go.jp/children-inquiries

 

健康診査では日常の聞こえに関する反応や言葉の発達についての質問用紙に記入したり、ささやき声への反応を自宅で保護者とチェックしたりします。必要に応じて医療機関に紹介してくれるため、どのような点が心配なのかを伝えましょう。

子どもの聞こえが気になったら早期の確認が大切

言葉の遅れの原因の中でも、聞こえは早期の確認が必要です。なぜなら、言葉の発達は耳から入ってきた音によってなされるからです。聞こえの障害に気づかないでいる期間が長引くと、言葉の獲得に悪影響が出てくる可能性が高まります。子どもは自分で難聴について訴えることがないので、周囲の人が気にかける必要があるのです。

聞こえにくさが疑われる症状には、以下のようなものがあります。

  • 呼びかけやテレビの音に反応しない
  • 月齢に比べて言葉の発達がゆっくり、発音がおかしい
  • 身振りを示さないと指示を聞き誤る
  • 騒がしいところで話しかけると反応しない
  • 話しかける方向によって聞き取れないことがある

難聴を早期発見して言葉の発達への影響を最小限に抑える効果が期待できるものとして、「新生児聴覚スクリーニング検査」があります。新生児聴覚スクリーニング検査は、難聴を早期発見して言葉の発達への影響を最小限に抑える効果が期待できるものです。そのため、自治体によっては公費による助成が行われています。

イージースクリーン

ただし、新生児聴覚スクリーニング検査で問題が指摘されなくても、中耳炎やおたふく風邪の感染、けがなどによって検査した後に難聴になる可能性があります。気になる症状があればその都度医療機関に相談することが大切です。

聞こえの問題が見つかった場合の治療・対応方法

聞こえの問題が見つかった場合の治療や対応方法についてお伝えします。

治療

中耳炎や怪我などの治る疾患が原因で生じる難聴の場合には、治療を受けることで改善が見込めます。

聞こえの補助

聴力が改善しない難聴の場合は、言葉の発達への影響を少なくするために聞こえを補う方法について早期に検討することが大切です。聞こえを補う方法には補聴器の使用や人工内耳手術などがあり、難聴が片耳か両耳か、聞こえにくさがどの程度かなどによって必要性が異なります。病院の医師に相談することをおすすめします。

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◆小児難聴とは?大人の難聴とどう違うのか解説
https://www.healthyhearing.jp/topics/topic-article-195

コミュニケーションや言葉の療育

難聴の影響で言葉の発達の遅れが疑われる場合は、難聴の診断を受けた病院や自治体の窓口などに相談しましょう。療育機関やろう学校、支援機関、リハビリ病院などといった相談先を教えてもらえます。

相談によって得られる支援には以下のようなものがあります。

  • 言葉の発達を促す方法の指導やリハビリ
  • コミュニケーション方法の指導
  • 補聴器や人工内耳を活用する指導
  • ろう学校や通常学校などの進学先についての情報提供

難聴の子どもへの支援はさまざまであり、適切なものを選ぶことは簡単ではありません。言葉の発達を促す方法一つをとっても、音声でのやりとりを中心に伸ばす方法、手話を用いる方法、両者の併用などがあります。補聴器や人工内耳などの装用の際には医療機関と教育機関との連携も必要になるため、より複雑です。ご家族だけで悩まずに、子どもに合った支援について専門家と相談して決めていくことをおすすめします。

子どもの言葉が遅いと心配になったらまずは相談しましょう

子どもの言葉が遅いと心配になったら、相談機関や小児科に相談しましょう。言葉が遅れる原因にはさまざまなものがあり、1つずつ確認することが大切です。聞こえの問題でも言葉が遅れる可能性があり、その場合には早期の対応がすすめられます。普段から聞こえについて周囲が気にかけておけるとよいでしょう。

  • 記事投稿者

    言語聴覚士ライター大井純子

    言語聴覚士として病院・訪問でのリハビリに約20年間従事。
    「コトバの力で誰かをサポートする」をモットーに、言語聴覚士として働くかたわら、医療記事作成や電子書籍出版サポートなどに取り組んでいる。

  • 記事監修者

    高島 雅之先生

    『病気の状態や経過について可能な範囲で分かりやすく説明する』ことをモットーにたかしま耳鼻咽喉科で院長を務めている。■詳しいプロフィールを見る■

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