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難聴は時間とともに進行しますか?

  • 公開日:2021.11.04
難聴 対処 種類
時計

難聴はどのように進行するのでしょう?その答えは難聴の原因によって異なります。補聴器を使用していても、耳の物理的なダメージの進行を止めたり、ゆっくりさせることはできません。しかし、脳の処理が関わる理解の低下のスピードは緩やかにすることができます。
適切に調整された補聴器を常に装着することで聞こえの問題を感じることが減らせます。一方で、補聴器が必要なのに使用していない場合、会話の理解力が低下する可能性があります。

どのような難聴が時間とともに進行しますか?

感音難聴

感音難聴では、内耳か聴神経、またはその両方が、通常は永続的な損傷を受けます。加齢に伴う難聴、つまり加齢性難聴(老人性難聴)はこのグループに該当します。時間とともに進行する傾向があります。

騒音も難聴の原因となります。「加齢性難聴と呼ばれる難聴の多くは、主に騒音によるものです」 と、元オージオロジスト(聴覚ケアの専門家)のヤン・メイズは言います。調査によると、騒音の少ない地域の住民は 「高齢になっても聴力が健聴レベルである」 と示されています。

きこえを損なうほどの騒音のある工事現場で作業しないほうがよいです。20歳から69歳までのアメリカ人の成人の約4分の1が騒音性難聴ですが、その半数以上は職場では騒音からのダメージを受けてはいません。イヤホンを通して大きすぎる音で音楽を聞いたり、公共交通機関やコンサートやスポーツイベントに参加しているとき、あるいは電動工具や造園機器を使用しているときなどの騒音が原因と考えられます。

大きな音を聞けば聞くほど、ダメージは大きくなるので、この種の難聴は時間とともに進行していきます。

突発性難聴

突然 (いっぺんに、または3日以内に)、 難聴になった場合は、直ちに医療機関を受診してください。通常、このような変化は片耳だけに起こります。正確な原因は確定されないことが多いです。突発性難聴は通常は感音難聴ですが、約半数の症例では2週間以内に聴力の全部または一部が回復します。しかし、治療を遅らせてはいけません。治療可能な期間は1か月以内で終わってしまうのです。

伝音難聴は一般的に進行性ではなく、通常は治療や手術で改善できる難聴の一種です。耳あか、滲出液、外耳道閉鎖などの異常、鼓膜の穿孔などが原因で音が内耳に届かない場合におこります。

なぜ高齢者は聴力が低下する傾向があるのですか?

男性

主な原因は加齢と騒音への曝露であり、それは通常は両耳に等しく影響します。徐々に長年に渡って進行していくので、家族や友人は本人よりも早く気づくかもしれません。

加齢性難聴は遺伝する傾向があります。

さらに、高齢者によくみられる問題 (糖尿病、高血圧、心臓の病気、脳卒中など) がきこえに影響を及ぼすことがあります。

様々な薬が内耳に損傷を与えることがあり、それは、ときに永久的に残ることがあります。しかしそれらの薬は、高齢者に多くみられる病気 (がんや心疾患など) の治療に必要になることがあります。

遺伝性難聴には中年期に現れるものもあります。例えば、中耳内で骨が異常に成長する耳硬化症です。

最後に、前述したように、騒音によるダメージは時間とともに蓄積していきます。もしあなたが自身の難聴を補うためにテレビを大音量で視聴しているのであれば、近くにいるすべての人のきこえを危険にさらしていることになります。電動のこぎりや芝刈り機も同じです。

大音量の機器を使用しなければならない場合は、騒音を最小限に抑えながら聞く必要のある音を安全に増幅する保護ヘッドフォンまたはイヤーマフを装着して、難聴を予防してください。

補聴器は加齢性難聴の進行を遅らせますか?

Use it or lose it使わなければだめになる)」 という古いことわざがあなたのきこえに当てはまります。難聴に適切に対処しないと、音を処理する脳の部位が文字通り小さくなります。それは脳萎縮と呼ばれています。これはうつ病や認知機能低下につながる可能性があります。

それが、残存聴力を守るためにできる限りのことをすることが重要な理由の1つです。補聴器は音を増幅することしかできません。;脳が音を処理しなければならないのです。

要点:目に関して言えば、良く知られているように眼鏡は白内障や失明を矯正することはできません。同様に、補聴器もあなたの今の聴力を利用するものでしかありません。

聴覚神経を刺激し続けるためには、自宅に一人でいるときでも、日常的に補聴器をつける必要があります。幸いにも、通常はその刺激に反応できます。聴力は時間の経過とともに低下する可能性がありますが、聴覚の専門家による定期的な検査によって、補聴器が正しく調整されていることを確認できます。

耳がほんとうに聞きにくくなったら、どうすればいいですか?

難聴が高度または重度になったとしても、 「パワー」 または 「スーパーパワー」 補聴器が使えるので心配しないでください。その他の選択肢としても、埋め込み型骨導システムや人工内耳があり、高齢者を含むあらゆる年齢の人に使用できます。

助けて!新しい補聴器をつけ始めてから、難聴が進行しているようです。

医師

補聴器が聴力をもっと低下させるのではないかと心配する人もいます。それは、その補聴器があまりにも大きな音に設定されている場合にのみ起こります。これは、しかるべきサポートを受けずに聴力も測定せずに選択し、聴覚ケアの専門家によって調整されない補聴器では問題になる可能性があります。

適切に調整された補聴器を装着し始めると、ときに、補聴器を外したときの方がきこえの問題に鋭く気づく人がいます。以前は、補聴器がなくても聞こえると考えていたのですが、今はそれでは聞こえないのです。

これは、実際には良い兆候です。それは、あなたの脳があなたが以前は聞き逃していた音を処理し始めたことを意味します。そのため、それらの音を聞くことができないと、今や補聴器があるときとない時との差に気付くことができます。おめでとうございます!あなたの周りの世界に対する認識が広がったのです。


■本記事について

本記事は米国Healthy Hearingにて掲載された記事を、一般的な情報提供を目的として意訳、また日本国内の事情に沿うように加筆再編成したものです。本記事のコピーライトはhealthyhearing.com及びheatlhyhearing.jpに帰属します。本記事内に掲載された名称は、それぞれ各社の商標または登録商標です。また、出典や参照元の情報に関する著作権は、healthy hearingが指定する執筆者または提供者に帰属します

■英語版記事はこちらから

米国「HealthyHearing202197日の記事「Does hearing loss get worse over time?」(心理学と健康が領域のジャーナリスト Temma Ehrenfeld寄稿)

https://www.healthyhearing.com/report/53243-Will-my-hearing-loss-get-worse

  • 記事投稿者

    ヘルシーヒアリング編集局

    ヘルシーヒアリング編集局

    1. ポータルサイト「ヘルシーヒアリング(healthyhearing.jp)」の運営
    2.「安心聞こえのネットワーク」連携サポート

  • 記事監修者

    田中ちえみ

    田中 智英巳

    デマント・ジャパン株式会社 アドバンスト・オーディオロジー・センター・センター長、ハワイ大学マノア校 Adjunct assistant professor, 静岡県立総合病院 客員研究員、ASHA認定オーディオロジスト、ハワイ州オーディオロジスト。■詳しいプロフィールを見る■

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