補聴器について

難聴があると分かったら

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補聴器は、聴覚ケアにおける聞こえの改善のために有効な対処方法のひとつです。先進の補聴器についてどんなスタイルがあるのか、またその機能や技術についても見ていきましょう。


まずはどうぞ安心してください。聞こえづらさを感じているのはあなただけではありません。実際に、日本国内での推計では約1,430万人*、米国では約3,800万人の人々が難聴を抱えているとされます。補聴器は、難聴に悩む多くの方に対し聞こえの改善として、かつてのような生活の質(QOL)を取り戻していくことに貢献できます。今日の補聴器は、極めて小さなサイズに現代科学技術の驚異が凝縮されている精密機器ともいえます。補聴器は、難聴の種類、聴力、予算、また一人一人の生活習慣に合わせて多くの選択肢があります。

*Japan Track 2015

補聴器の助けによって、毎日の様々な場面でもっと楽に過ごせます
補聴器の助けによって、毎日のさまざまな場面でもっと楽に過ごせます

ここでは、どのような選択肢があるのかをご理解いただくために補聴器についてまず概説をお届けします。補聴器にはさまざまなスタイルがあります。先進の補聴器の世界についてまずは理解を深めていきましょう。

補聴器の種類とスタイル

すべてのデジタル補聴器は、音を拾うための少なくとも1つのマイクロフォン、音の増幅を行うためのアンプや補聴器の機能を最適化するためのコンピュータチップ、耳に音を届ける音の出口となるスピーカー、電源用の電池といったパーツで構成されています。これらの構成部品は、補聴器の「心臓部」と言えます。聴覚ケアの専門家や補聴器販売店の専門スタッフへご相談いただく際、専門家やスタッフは耳の状態や聞こえのニーズなどを考慮し、皆さま一人ひとりにとって最良の補聴器スタイルを見つけ出すサポートを行います。

補聴器は、耳穴に補聴器を挿入する耳あな型と耳の後ろにかけて装用いただく耳かけ型の2つのスタイルに大きく分類できます。それぞれのスタイルはさらに様々な大きさや形状があります。

以下でご紹介するタイプの補聴器は耳あな型に区分されます。つけてしまうと周りから見えないほど小さいものから、耳のくぼみ全体を覆うタイプまでその大きさはさまざまです。

  • 見えない耳あな型補聴器(IIC:Invisible-in-the-canal)とそれに続くほとんど外から見えない耳あな型補聴器(CIC:completely-in-the-canal):IICとCICは、最も小さな補聴器です。これらは耳の奥にぴったりと納まり、一般に軽度または中等度の難聴に適しています。IICは耳の形によっては作成ができないこともありますが、CICは多くの方にフィットします。サイズが小さいため、「目立たないこと」を第一優先とされる方へは有力な解決策の一つとなります、
  • カナル(ITC):カナルサイズの補聴器は、標準的なサイズとされ快適で使いやすい製品です。IICやCICよりも少し大きいため、一つ上のサイズの電池を使用することができます、取り扱い方法も易しく、また幅広くいろいろな難聴に対応できます。
  • ハーフ(Half)フル(Full):カナルよりさらに大きめで操作性の高いハーフサイズからさまざまなタイプの難聴に対応し耳のくぼみすっぽり覆うフルサイズまで幅広い種類があります。ハーフサイズ、フルサイズの補聴器はさらに取り扱いが簡単であるため、指先の器用さに不安を持たれている方にも安心です。ハーフ並びにフルサイズの補聴器は、補聴器本体サイズに余裕があるため、音量調整や補聴器プログラムを操作するボタンを設置できます。フルサイズではカナル、ハーフよりさらに電池寿命の長い電池を使用することもできます。
先進の補聴器は、目立つことなくスタイリッシュなデザインです
先進の補聴器は、目立つことなくスタイリッシュなデザインです

非常に細いイヤーチューブと耳の穴に目立たなく収まるイヤーチップなどを用いることで、耳かけ型(BTE)補聴器もより目立ちにくい小さいサイズが登場しています。また補聴器にデザイン性を取り入れたことも革新的といえるかもしれません。そのおかげもあり、耳かけ型補聴器はここ10年間安定した人気を保っています。これらの補聴器はさまざまな難聴に対処できる機能を搭載するに十分な本体サイズがあるため、取り扱いも簡単です。電池寿命が長いのも特長です。

  • ライト(RITE:Receiver-in-the-ear)またはリック(RIC:receiver-in-canal)補聴器:ライト型(リックと呼ばれる場合も)補聴器では、補聴器本体内部ではなく、イヤーチップにスピーカーを内蔵しています。これにより、マイクロフォンとアンプを耳の後ろに装着する小さな補聴器本体に入れた状態で、スピーカーを鼓膜の近くに配置することができます。
  • 極細チューブとイヤピースを主に使用するミニ耳かけ型補聴器(ミニBTE):ミニ耳かけ型は、耳の後ろに隠れるように設計されており、音を耳に届けるための極細のチューブも使用できます。ライト型補聴器(RITE)と同様に人気があるスタイルです。より広範囲の難聴の方々に対応できるよう、さまざまなイヤーピースが利用可能になっています。
  • イヤモールドを備えた耳かけ型補聴器:イヤモールド(オーダーメイドの耳せん)が付属している耳かけ型は、軽度から重度のさまざまなタイプの難聴に対応できます。補聴器本体のサイズに余裕があるので、ここまでにご紹介してきた他のスタイルと比べ、ボリュームや様々な機能、よりパワーのあるアンプなどを搭載することができます。

補聴器専門の製造メーカー

補聴器は、補聴器を専門とするメーカーによって主に開発されています。難聴者の多様なニーズに対応する補聴器を市場に投入するために、メーカー各社は研究開発に多額の投資を行っています。メーカーはまた、補聴器ユーザーの求める予算に幅広く対応する補聴器を提供できるよう努めています。

最高の補聴器とは、あなたの聞こえのために働く補聴器です。

補聴器は、聴力やニーズまた補聴器の装用が初めてであるなどいろいろな条件を伺った後、聴覚ケアの専門家や補聴器販売店の専門スタッフが一人ひとりに合わせた調整を実施します(補聴器フィッティングとも呼ばれます)。補聴器メーカーは自社の補聴器に合わせて最適な調整を行うために必要な機材やソフトウェアを聴覚ケアの専門家や販売店に提供しています。耳鼻科での聴力検査を経て補聴器の購入を検討される際は、補聴器販売店でご自身のライフスタイルやニーズについて、また予算についても率直にお話しください。専門スタッフが、あなたのための適切な補聴器選びをサポートします。

補聴器のテクノロジーについて

現代の補聴器技術は、メーカー各社が打ち出す技術革新によって急速な進歩を遂げています。主要な補聴器メーカーは、補聴器製品を搭載機能や聴力レベル(軽度、中度、高重度難聴)などに合わせカテゴリーで分類しています。これは自動車メーカーが車をスポーツカーや家族向けなどタイプ別に紹介するのに似ています。

先進の補聴器は、そのほぼすべてがデジタル補聴器です。デジタル補聴器には、高い柔軟性があり、補聴器専門スタッフによる調整と聞こえのニーズを反映させたプログラム設定が必要となります。聞こえは極めて個人的なものであり、たとえ聴力が同じであっても、一人ひとり聞こえ方は異なるからです。現在の補聴器は一人ひとり異なる聞こえに合わせた調整が可能です。補聴器の性能差は搭載機能の自動化と関係があります。急激な周囲の音環境の変化にも迅速に適応できるよう補聴器が環境変化に合わせ自動で聞こえを調整します。また幅広い周波数帯域の音を処理できる補聴器はより自然な音を届けることができます。補聴器によっては、電池残量の低下や補聴器プログラムの切り替えをメロディで知らせる機能もあります。

一般に私たちは左右の耳で音を聞いています。脳は耳を通じて届いた音響情報をもとに音がどの方向から来るのかを理解します。補聴器の聞こえでは、2台の補聴器がワイヤレス通信機能によって連動して音の位置や空間情報を脳に届ける耳の機能を模倣しています*。

また、ワイヤレス補聴器はMP3音楽プレーヤー、テレビ、PCやまたBluetooth技術を搭載した携帯電話といった家庭電器機器と接続することができます。Bluetoothによるワイヤレス通信機能によって外部機器の音声を直接補聴器で聞くストリーミング接続が可能です。現代の補聴器は、聞き取りに役立つことはもちろん、IT技術などを取り入れた個人専用の電子機器ともいえるかもしれません。オーティコンの補聴器「オープン」の様にインターネットに接続可能な補聴器も生まれています。オープンは、電池の残量を補聴器に教えてくれたり、自宅のセキュリティシスと連携したり、照明のオンオフを補聴器の電源のオンオフと連動させるようなことも可能です。**

*左右の補聴器が連動する両耳通信機能を備える補聴器で可能
**オーティコンオープンのインターネット接続はIFTTTと呼ばれるWebサービスを使用しています。また一部のサービスはIFTTTに対応した電化製品などが必要です。

補聴器の調整

楽しいジョークを聞き逃すのはもったいない!
楽しいジョークを聞き逃すのはもったいない!

耳鼻科の勧めを受けて、補聴器を検討いただくことになりました。ご自身の聞こえにあった最適な補聴器を選択していただくためには、難聴の種類や、現在の聴力などの基本的な情報に加え、次のような要素もポイントとなります。

  • 予算について
  • 目立たない補聴器を必要としている
  • 社会的嗜好
  • 職業などの面での必要性
  • 趣味
  • 身体的な課題と器用さの問題(電池の交換など)
  • どのような技術を必要とするか
  • 必要な付属品

補聴器は非常に個別化された先進技術であるため、補聴器のブランド、スタイル、または製品に搭載された技術などは、必ずしもすべての方に適しているわけではありません。似たような聴力や難聴の症状を持つ方が2人いたとして必ずしも同じ補聴器にたどり着くわけではありません。聞こえの状態に加えて、日常生活の過ごし方の違いや補聴器へのニーズなどその他の選択基準に基づいてそれぞれに異なる補聴器を選択するかもしれません。口コミや周囲の人の意見は参考にしていただく価値がありますが、一方で一人ひとりの聞こえは異なり、補聴器の比較や評価を難しくすることもあります。どの製品や機能があなたの聞こえにとって理想的なのか、納得いただくまで補聴器専門スタッフにご相談いただくことが最善の方法です。

補聴器は慣れるまでの助走期間が必要です、難しさを感じたら悩まずにお買い上げの販売店へご相談ください

補聴器販売店において補聴器スタッフは、補聴器から最大のメリットを得られるように、機能の微調整や音量調整などといった最初の調整を行います。重要な点として、新しい補聴器を装用いただく際には聞こえに慣れるまでの一定の助走期間が必要です。これまで補聴器を長年装用いただいていたとしても、新しい補聴器の聞こえに慣れるまでには時に時間がかかることもあることをどうぞお知りおきください。補聴器専門スタッフのアドバイスにそって補聴器を装用いただき、装用の途中で難しさや不明な点に遭遇した際はどうぞいつでも専門スタッフへその旨を伝えてください。

補聴器の価格

補聴器は、耳のための小さなコンピュータと表現されることがあります。先進技術を小さなボディに詰め込んだ補聴器の価格は、片耳10万円前後の製品から、最高の技術を備えた50万円前後のハイエンド製品まで多岐にわたります。製品機能、サイズといった基本的な機能差に加え、個人で異なる聞こえのニーズや聞こえの好みをどれだけ調整に反映できるか、より高度な個別化調整機能の搭載もまた費用の差につながっています。

補聴器は、あなたの生活の質と健康への投資です。

補聴器を買うのはどうなのかなと思っていらっしゃる方でも、補聴器販売店を訪れた際にはたくさん質問をされたり、ご自身のニーズや要望を積極的にお話しいただいたりすることは意義があります。販売店の専門スタッフはお客様一人ひとりのもつニーズや要望に応え、また予算に合った最適な補聴器をご紹介すべく手を尽くします。

補聴器をより長くお使いいただくために

お買い上げの補聴器販売店でも定期的な補聴器のお手入れサービスが可能ですが、補聴器で最良の聞こえを実感いただくために、日ごろのお手入れ方法を学んでいただくことが大切です。毎日のお手入れとしてかわいたやわらかい布またはティッシュペーパーを用いて、お使いの補聴器からほこり、耳垢、また湿気を取り除いてください。毎日、補聴器のお手入れ時に、補聴器の聞こえに変化がないかを確認いただくことで、補聴器の状態がわかります。お手入れについてのご質問、また補聴器の聞こえに変化が生じた場合などは、お買い上げの販売店へご相談ください。

不具合によっては、補聴器メーカーでの修理が必要な場合もあります。

補聴器に関する多くの問題は、ご自宅でまたはお買い求めの販売店によって解決いただけますが以下の問題が見られた場合は、修理が必要な可能性があります。

  • 異音またはハウリングの発生が増えた
  • 音がプツプツと途切れたり、フワフワしているような気がする
  • 音が大きく歪む
  • 耳あな型補聴器の本体の表面(シェル)に穴や亀裂が生じた
  • 通常よりも電池の消耗が早い
  • 補聴器本体の部品が壊れた、または欠けていることに気付いた

補聴器販売店で問題を解決できない場合は、修理のためにお使いの補聴器をメーカーに送る必要があります。メーカーは補聴器の器種ごとに自然故障による製品保証を設定しています。補聴器販売店においては、お買い上げの際や修理に際しての保証条件の確認、また費用が発生しそうな際には、あらかじめ見積もり発行を補聴器メーカーに依頼するなどといった面からもお客様のサポートを行います。

補聴器の技術に関しては学ぶことが多くありますが、聞こえについて思い当たることがあれば、まずは今の聞こえを把握いただくためにも耳鼻科をご受診ください。

また補聴器についてのご相談は、どうぞお近くの補聴器専門店へご相談ください。補聴器販売店では専門スタッフが、より良い聞こえを得るために適切な解決策にはどのようなものがあるか、補聴器の働きについてもわかりやすく説明いたします。お近くの補聴器専門店をお探しの場合はどうぞ補聴器専門店検索をお試しください。